手ごねでつくる味わい深い「修道院パン」
訪れる人みんなに満足してほしいと、多彩なパンを並べる「ジャンティーユ」。店主の坂口実さん、さおりさん夫妻のおすすめパンのひとつに「修道院パン」があります。
レシピの元となったのは、スイスの修道院でつかわれていた古いレシピで、実さんがフランスにいた頃に購入した本にあったもの。
もっちりした生地に仕上げるために、北海道十勝産の小麦を100%使用し、冷蔵発酵で一昼夜おいて、小麦の甘みを引き出しているのだそう。ボールを使って手ごねでつくるためできる量はわずかですが、時間をかけて丁寧につくります。
いただいてみると、外側はバゲットのようにパリッとしていますが、中はもっちり。すっきりと素朴でいて、噛むごとに深みが増していき、後を引く味わいです。厚めに切ってバターをのせてそのままかじったり、洋風のスープやおかずの付け合わせにするのもおすすめだとか。
スタッフを想う毎日のまかないから商品へ
新作パンが頻繁に登場するのも、「ジャンティーユ」の魅力。新作はスタッフみんなで考えているそうですが、アイデアの源のひとつに、さおりさんのつくるまかないがあります。
「スタッフたちの『お店に出しましょうよ!』という声に後押しされて、商品化することもときどきあって」とさおりさん。
最近では、たっぷりのフルーツとクリームチーズをのせた「フルーツピザ」が、まかないから商品へと昇格したのだとか。
そこで、お昼のまかないを見せていただくことに。
「今日はエビチリのタルティーヌをお店に出しているので、そのエビチリの残りと、冷蔵庫にあったシーフードミックスを加えました。チーズをのせて焼き上げ、唐辛子の千切りをトッピングしています。ほんと残りものばかりですね」
そうはいっても具材たっぷりで見た目も華やか。みんなが飽きないようにと生地の種類を毎日のように変えているそうで、そんなところからも、スタッフをねぎらう気持ちがひしひしと伝わってきました。
ときには昔買った本のレシピから、ときにはまかないから、ときにはみんなで知恵を出し合って、「ジャンティーユ」の新しいパンはつくられています。
「新しい素材がどんどん出てくるので、そういうものもできるだけ取り入れたい」と話す実さん。これからも新作に目が離せそうにありません。
<撮影/山田耕司 取材・文/諸根文奈>
gentille(ジャンティーユ)
03-3712-9610
8:30~19:00(カフェ12:00~14:00 ※現在、カフェの利用は一時休止中)
日・祝日休み
東京都目黒区目黒3-1-1
最寄り駅:JR「目黒」、東急東横線・東京メトロ「中目黒」
http://www.gentille.ne.jp/