久しぶりのロンドンでのアンティークマーケット
残暑お見舞い申し上げます。イギリス・コッツウォルズは、涼しい日が続いたかと思いきや、急に蒸し暑くなったりの天候です。そんな中、ロンドン郊外のアンティークマーケットが久しぶりに開催されるのを知り、夫と一緒に行ってきました。
ロンドンに住んでいた頃は、よく通っていましたが、コッツウォルズに越してからは、少し足が遠のいていました。ふだんは、屋内で陶器類やジュエリーなど、屋外で家具や雑貨類などが売られていましたが、今回は、屋外のみの開催でした。
私がアンティーク、古いものに興味をひかれるようになったのは、高校生の頃からです。その頃、ロンドンに留学していた叔母が日本に持ち帰ったアンティークの家具などを見せてもらったのが、いま思えば、始まりだったかもしれません。
気が付くと、近くのお寺でたまに開かれる蚤の市に通い出し、大正時代の色のきれいなグラスなどにひかれたりして、見るだけでもとても楽しかったのを思い出します。久しぶりのマーケット、いつものように、「これ、なに?」のガラクタから、すてきなイスやテーブルなど、さまざまなものが並びます。
私の目に入るのは、だいたいが夫には「ガラクタ」の類に入るものが多く、お互いが気に入るのを見つけるのは、実はけっこう大変です。
そんなたくさんあるお店の中から、私の目に留まったのは、アンティークのリネンでした。ダイニングのイスのクッションカバーにする布を探していましたが、なかなか気に入るのが見つからず……、でも、この布の赤のストライプの入り方、質感がとてもよく、夫も気に入り、めでたく購入することになりました。
コッツウォルズのアンティークショップ
コッツウォルズには、アンティークショップが目抜き通りに軒を連ねている街もたくさんあります。お店ごとに、それぞれオーナーの個性が見えて楽しめます。私がよく行くのは、チッピング・ノートンやバーフォード、テトブリーという街です。どちらも小さな街ですが、多くのアンティークショップがあり、暮らしとアンティークが身近な存在だということがわかります。
家族に受け継がれるアンティーク
我が家のアンティークには、マーケットやショップで購入した家具や布類だけではなく、夫の実家からやってきたものもたくさんあります。ダイニングテーブルは夫の祖母から、食器、ラグ、リネン類などは義母から贈られたもので、いまも我が家で現役で使われているものも数多くあります。
義母が昔、インドに住んでいた頃に買ったアンティークリネンを、つなげてバスルームのカーテンにアレンジしたりと、そのまま使うだけではなく、違う使い道、デザインに変えてみるのも楽しいものです。
私が仕事でよく相談されるのは、ソファやアームチェアの布やレザーの張り替えについてです。ソファやアームチェアの張り替えには、布もたくさん使うので、新しく買い換えるのと同じくらいの費用がかかることが多いのですが、自分で選んだ布やレザーで張り替えを希望されるお客様がほとんどです。
「父がよくこのイスに座っていたのよ」などといった話しを聞くと、大切に使いたいという気持ちが伝わってきます。
数は少なくなってきていますが、職人さんたちがまだまだがんばってくれていて、布の張り替えだけではなく、家具の修理、削ってワックスをかけ直してくれたり、ラグに開いた穴を元通りにしてくれたりするのも心強いです。
本物の木の温かみ、純粋なリネン、綿の心地よさなどはもちろんのこと、年月を経たアンティークにはそこに積み重ねられた歴史の質感がプラスされ、磨けばまた光るのが魅力のように思います。
子どもの頃から毎年の誕生日プレゼントのひとつに、両親から小さな緑のグラスをもらっていた夫は、いま、そのグラスで食事前にシェリー酒をいただきます。
どこの国に行っても、粗大ゴミをのぞいたり、アンティークショップを見ると、吸い込まれてしまう私ですが、それをがまん強く待ってくれる夫と子どもたちに感謝しながら、今宵も一緒にシェリーをいただきます。
<写真・文/コズエ・ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMisty Interiorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。