残ったパンが蘇る! その深い味わいに感動
湘南小麦の全粒粉を配合した滋味深いパンが人気の「にちりん製パン」ですが、それとは別に、古いパンを再利用するという驚きの方法でつくられるライ麦パンが密かな人気を集めています。
パンづくりを一手に引き受ける店主の津野大吾郎さんは、とにかく研究熱心。分厚いパンの専門書を読み漁り、心惹かれたのが、古いパンを再利用するというドイツの伝統的な製法でした。残ったパンを空焼きしてとっておき、それを水でふやかしてからパンの仕込みのときに生地に混ぜるというものだそう。
「単にパンを再利用できるだけじゃなくて、そうすることで味に奥行きがでるんです。保水性が高まり日持ちがよくなるという利点も。それに、古いパンを入れることで、生地に水を多く加えられるから、食べやすくもなるんです。食感でいうともちもちに近いかな」
早速いただいてみると、ライ麦の力強い旨味が口いっぱいに。しっとりした食感も手伝って、野菜や果物にも似たような、生命力をも感じさせます。リピート買いする方も多く、そのおいしさは、日本在住のドイツ人の方が「ドイツのパンと同じ味がする」と太鼓判を押すほどだそう。
同じ生地でも、違った楽しみができるパンに
「にちりん製パン」には、シンプルがゆえに小麦の味を引き立たせるパンが多く並びます。その筆頭が「食パン」で、バターや砂糖は一切加えずに焼き上げた素朴な味わい。それでも、湘南小麦の全粒粉を配合したり、自家製酵母の力をかりてゆっくり発酵させることで、噛むほどに旨味を感じる深い味に仕上がっています。
そんな食パンと同じ生地で焼いたのが「角パン」。チャバタやリュスティックにも似た四角い形の不思議なパンです。
「つくってみてわかったんですが、同じ生地でも、食パンと食べ比べるとけっこう味が違うんです。食パンは膨らませるためにしっかり生地をこねるんですが、角パンはあまりこねないので、その違いが大きいのかなと。角パンのほうが小麦の持つ甘さがストレートにでています」
最後に、まだまだある「にちりん製パン」の人気パンをご紹介。
「余計なものはそぎ落として、材料はできるだけシンプルに」を理想とする「にちりん製パン」。でもそこに、古いパンを再利用したり、自家製酵母で時間をかけて発酵させたり、こね方を変えたり、水分量を変えたりと、創意工夫を重ねることで、奥行きのある複雑な味わいをつくりあげていました。ぜひとも奥深いパンを味わいに、足を運んでみてくださいね。
<撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>
にちりん製パン
0467-67-3187
10:30~17:00
木・金休み
神奈川県鎌倉市山ノ内1388
最寄り駅:JR横須賀線「北鎌倉」
https://www.facebook.com/pages/category/Wholesale-Bakery/にちりん製パン-928442977167389/
※臨時休業などはfacebookにてお知らせしています。