上の写真)
かわいきみ子・著『女の子と男の子のおでかけ服』(主婦と生活社)より
リバティプリントのパフスリーブワンピース:女の子のあこがれのパフスリーブとギャザー。ともに、甘すぎないように適度にボリュームを抑え、きれいなシルエットに仕上げました。
――これまでの著書本では、発表会用のドレスや結婚式でのお呼ばれ、お誕生日会というシーンでの「女の子」に特化した作品の印象がありますが、今回は男の子服も発表されているのがとても新鮮に感じました。
かわいきみ子さん(以下、かわいさん):
友人や若い知人にお孫さんや赤ちゃんができたという知らせがあり、しばらくするとどんどん育っていく様子がメールで送られてきます。
私自身もふたりの娘の親ということもあり、いままで女の子のお洋服を多くデザインしてきましたが、男の子のお母さんやおばあちゃまからのリクエストがとても多かったので、今回、男の子のお洋服もデザインしました。
――今回のテーマは「おでかけ服」ということですが、スーツやドレスのようなかっちりとしたフォーマルまでは着飾らなくていいけれど、ちょっと普段とは違い、おめかしして出かけたいときにぴったりな服ばかりですよね。
かわいさん:
そうですね。小さかった子どもたちの成長に伴って、日常とは違う気分で過ごす日も加わってきますよね。
そんな日に、その子に似合うお洋服で出かけることができたら、それは家族にとっても、お子さんにとっても、とても幸せなことだろうと思うのです。
そして、子どもや孫ができた友人たちとのやり取りのなかで、「やっぱり男の子も女の子も動きやすく洗濯ができるものが子どもにとって一番」だと改めて感じるようになりました。
ですから、この本では天然素材を中心に、縫いやすく着せやすい、洗濯のできる素材を主にセレクトしています。
――本の中では、モデルの男の子と女の子もかわいくて、見ているだけでほほえましいですね。女の子向けのハンドメイド服の本は多くありますが、難しいものでなければ、男の子にも「つくってみたい」「つくってあげたい」と思う人も多いのでは?
かわいさん:
季節ごとにいろいろなアイテムを紹介しているので、扱いやすい布で始めてはいかがでしょう? おそろいでつくるのもいいですよ。
――ただ、男の子の長袖シャツなどを手づくりするのはとても難しい気もするのですが、初めてでもつくれるのでしょうか?
かわいさん:
つくり方については、工程をていねいに写真付きで説明していますので 、ひとつひとつ積み重ねていけば、きっとでき上がりますよ。
基本をマスターできたら、衿や袖など、パーツの組み合わせを変えてアレンジにも挑戦してみてください。雰囲気の違うデザインに仕上がり、アレンジの楽しさを発見できると思います。
もちろん、基本スタイルも色や柄、素材を変えてつくるだけで印象は変わりますので、何着もつくっていただけたらうれしいです。
――今回の本のなかで、これはおススメという1着を選ぶとしたら、どれでしょう。
かわいさん:
まっ赤なスプリングコートはぜひ見ていただきいですね。
ボタンとボタンホールの位置を左右変えれば、男女兼用できるシンプルなデザインにしています。また、成長の早いお子さんでも3年くらいは着られるようにと、袖はラグランスリーブにしています。
小さなお子さんもシンプルなコートは、とっても素敵ですよ。
――最後に先生から、読者の方へひと言お願いします。
かわいさん:
ホームメイドの洋服でおでかけする日が、いつもより思い出の多い一日でありますように。
何年かして着られなくなった洋服を手に、子どもの成長を思い出とともに実感できるのが、手づくりの本当の楽しみかもしれません。
こんなときだからこそ、また家族でお出かけができる日を思いながら、お家時間ではお洋服づくりにもチャレンジしていただけたらと思います。
<撮影/成田由香利 取材・文/北川恵子>
かわい きみ子(かわい・きみこ)
デザイナー。文化服装学院デザイン科卒。NHK「すてきにハにメイド」をはじめ、テレビや書籍、雑誌、個展にて、洋裁と手芸の幅広い手法を取り入れた作品を発表。『イチバン親切なソーイングの教科書』(新星出版社)など、初心者にもやさしい、数々の入門書やワークショップで人気を集める。2020年春に『女の子と男の子のおでかけ服』(主婦と生活社)、『わたしのトートバッグ』(家の光協会)を発売。