チャールブリー名物、壁に飾られるクリスマスツリー
イギリスでは都市によりますが、12月2日、ロックダウンが明けてお店が再開しました。
お店にはクリスマスディスプレイが華やかに飾られ、コッツウォルズの村々にも活気が少し戻ってきました。私が暮らすチャールブリーでは、名物の家の外壁に飾られるクリスマスツリーがお目見えです。
ロンドンから引っ越してまず驚いたのが、この外壁のツリーです。ロンドンでは目にしたことなく、夫の家族も聞いたことがないと驚いていました。
11月に外壁用のツリーの申し込が始まり、12月の第一土曜日に配達されます。もちろん、本物のもみの木です。
20mの電飾ライトを巻き付けるのは、いつのまにか夫の仕事となりました。この巻き付ける作業、実はけっこう大変ですが、壁に飾られたツリーを見ると、夫も満足そうです。
この時期のイギリスは日が暮れるのがとても早く、夕方の散歩の時間にはすでにまっ暗ですが、家々の外壁に飾られたツリーや窓際に飾られたツリーを観ながらの散歩はとても暖かい気分になります。
近所のセント メアリー教会の敷地では、ミニツリーのデコレーション大会も行われています。子どもたちやチャリティのために集まったグループなどが参加し、それぞれ工夫を凝らして見応えあります。
アドヴェントカレンダーになった街の窓
12月1日からクリスマスまでの日数を数えるアドヴェントカレンダーというものがありますが、今年は、子どもたちのために25軒の家や、教会、お店がそれぞれの窓にアドヴェントカレンダー1日ずつの飾りつけをする、街がアドヴェントカレンダーになるイベントも始まりました。
1日から25日までの窓を探せる地図もつくられました。工夫を凝らした飾りつけは、大人も充分楽しめます。今年は大変な年だったけど、テディベア探し、かかし大会、アドヴェントカレンダーなど、子どもたちに楽しかった思い出が残るとうれしいなぁと思いながら鑑賞しました。
心温まる家族と過ごすクリスマス
クリスマスはキリストの生誕祭ですが、こちらでは、日本のお正月のように家族、親戚と共に過ごす特別な日でもあります。義理姉夫婦の家に、私たち家族、義理の兄の家族、そのほかの親戚も集まり、みんなで料理やテーブルセッティングのお手伝いをして準備します。朝早くから、七面鳥をオーブンに入れ、ブレッドソース、ポテト、お野菜など、クリスマスのための特別な料理がつくられます。
テーブルには、紙でできたクラッカーが用意され、食事の前にみんな、両側の席の人とクラッカーの端と端を持ち、引っ張り合いをします。引っ張られて壊れたクラッカーの中からは、おまけのような小さなおもちゃ、クイズが書かれた紙、紙の王冠などが出てきます。
みんな紙の王冠をかぶりクイズを出し合いながら、やっと「ハッピークリスマス!」と乾杯になり、ランチが始まります。ランチの後は、毎年恒例のエリザベス女王のスピーチを義理の母は楽しみにしています。子どもたちもすっかり成長しましたが、やっぱりプレゼントが待ちきれません。
クリスマスツリーの下に置かれたたくさんのプレゼントを開けたくて、開けたくて、「これはおばあちゃんへ、これはママへ……」と、仕分け始めたりもします。
サンタクロースにも感染予防?
サンタクロースは、イギリスでは、ファーザー クリスマスと呼ばれています。暖炉から降りてくるファーザー クリスマスのために、グラスにミルクとビスケットを用意する家庭が多いですが、今年は、除菌ジェルも一緒に置かれているとラジオのニュースで流れていました。
毎年、見慣れていた風景も、今年は、集う家族の人数も制限されています。いままでのあたり前ができなくなったけど、その分、いままで気づいていなかったり、見えていなかった、周囲のやさしさがたくさん見えた1年でした。
今月のわが家の窓際ギャラリーには、アンティークの木のおもちゃのノアの箱舟を飾りました。大変だけど、みんなで乗り越えようね、の気持ちを込めて。
家の前を通る子どもの「ノアの箱舟だぁ!」の声を、ひそかに喜んでいる私です。
それでは、みなさま、すてきなクリスマスをお過ごしください。
ハッピークリスマス!
<写真・文/コズエ・ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMisty Interiorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。