(本記事は『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活』(エクスナレッジ刊)からの抜粋です)
干物をベーコンとしてとらえると、料理の幅が広がります
あるとき魚の干物について考えたことがありました。
きっかけは、スープ作家の有賀薫さんとの会話。「干物って和の料理にしか使えないイメージがあるけれど、サラダとかスープに使えないだろうか。山口さんがつくっている、肩の力の抜けたお惣菜に入れたら楽しそう」といわれたのです。
確かに干物は日持ちするからよく買っていたけど、あまりレパートリーがなく「ただ焼いただけ」となりがちでした。
干物のおいしさは、何といっても「凝縮された魚のうま味」。干すことによってアミノ酸が増え、無駄な水分もなくなり、味も濃厚に。鮮魚の焼き魚より、干物を焼いたほうがごはんが進むのは、そんな理由です。
「魚の干物=うま味が凝縮した高たんぱく質の食材」と抽象化したとき、「それって、ベーコンと同じように使えばよいのでは?」と、気付いたのです。
ポテトサラダにパスタ類、キャベツと一緒にさっと煮など。「干物は、煮てもおいしいんだ」と発見し、ツイッターで発信したら、とてもたくさんの反応をもらいました。
骨が少ないのでさば干物が便利ですが、あじやかますなどもおいしい。おなじみ塩ざけも、同じようにベーコンとして考えて使ってみたら、これまた便利。どちらも冷凍できるので、よく使う人は常備しておくと安心です。
さば干物と塩ざけのいいところ
◎ 気軽に使える、うま味が凝縮した高たんぱく素材
◎ 塩けがついているので、ほぼ味付け不用
◎ 冷凍保存もできるので、常備ストック可能
さば干物といんげんのパスタ
「さば干物=ベーコン説」を体感できるのが、こんなパスタ。合わせる野菜はお好みで。レモン汁やこしょうをふっても。
材料(ひとり分)
◎ さば干物 | 1/3枚(約60g) |
◎ さやいんげん | 8本 |
◎ パスタ | 100g |
◎ にんにく | 50ml |
◎ オリーブオイル | 1片(チューブでもよい) |
◎ 塩 | 適量 |
つくり方
1 いんげんは4cm 幅に切り、にんにくは薄切りにする。
2 フライパンににんにく、オリーブオイルを入れ、弱火で1分ほど加熱する。香りが立ったらにんにくを取り出し、さば干物を中火で2分ほど焼く。
3 鍋に1リットルの湯を沸かし、小さじ2の塩を加え、パスタを袋の表示通りゆでる。
4 ヘラで2のさば干物をほぐし、いんげんを加えてさらに2分ほど焼く。3のパスタとゆで汁大さじ2を加えて全体を混ぜ、塩で味を調える。器に盛り、取り出したにんにくをのせる。
塩ざけと白菜の豆乳クリーム煮
白菜と塩ざけ、豆乳の組み合わせは、ホッとしたい日におすすめ。豆乳は煮込みすぎると分離してしまうので、さっと煮で仕上げます。
材料(ひとり分)
◎ 塩ざけ | 1切れ(約70g) |
◎ 白菜 | 2枚 |
◎ 酒 | おおさじ1 |
◎ 豆乳 | 50ml |
1 塩ざけ、白菜は食べやすいサイズに切る。
2 フライパンに塩ざけを入れ、中火で2分ほど焼く。表面に焼き色がついたら白菜、酒、水50mlを加えてふたをし、中火で2分ほど煮る。
3 白菜がしなっとして火が通ったら、弱火にして豆乳を加え、30
秒ほど煮て火を止める。
山口祐加さん
1992年生まれ。出版社、食のPR会社を経てフリーランスに。料理初心者に向けた料理教室「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活動を行う。noteでは現在2万人のフォロアーがおり、気軽に始めて楽しく続けるための自炊のコツを発信中。著書に『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』(実業之日本社)、『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活』(エクスナレッジ)がある。
<撮影/土田凌 構成/田中のり子>
『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活』(山口 祐加・著/エクスナレッジ・刊)
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