• 奈良県・初瀬の古民家で、女性のための「ラクで、楽しい」食養生の知恵を考え、提案している大先輩、「やまと薬膳」のオオニシ恭子さんに、お餅を使って、簡単にできる「梅しょう番茶のお雑煮」のつくり方 を伺いしました。貧血気味だったり、元気がでないときなど、体調が、陰陽の7タイプのうちの「やや陰」タイプの人へのおすすめレシピです

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    「おまもり」の語源は“見守る”だそう。私が私らしく、居心地よく生きるための「おまもり」を分けていただきに、大段まちこ(フォトグラファー)&井尾淳子(フリー編集者)のふたりが、心とからだを整える魔法使いのような人々を訪ねます。

    おまもりルームより
    ふっくらとした愛を込めて。

    陰性の人に多い、からだの「冷え」

    フード*メディスナー©(食を通じて心身のトラブルを改善するエキスパート)のオオニシ先生は、それぞれの人の体調を「陰陽7タイプ」に分けて診断、適切な食のアドバイスを行っています。

    「やや陽」タイプだった大段さんへのアドバイスを伺った前回に続き、今回は「やや陰」タイプの私、井尾の体質&おすすめレシピを教えていただきました。

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    オオニシ:井尾さんは「やや陰」タイプね。大段さんの「やや陽」同様、「危険な地域」ではないですよ(笑)。

    (*陰陽7つのタイプについては、前々回vol.14 を参照ください)

    井尾:よかったー。

    大段:私も、お話がとても参考になりました。自分のからだのことが、さらにわかってよかったです。

    井尾:キャベツラーメンのレシピ、よかったですよね~(くわしくは 前回vol.15 をぜひ!)。先生の著書『なにを食べるかは からだが教えてくれる。』(PHP研究所) Amazonで見る にもチェックシートが載っていたので、以前やってみたんですが、そのときも「やや陰」でした。

    オオニシ:そうですか。ということは、体調はそんなに変わっていなくて、それが「日頃の自分のペース」ということですね。前回もお伝えしましたけど、「やや陰」~「中庸」~「やや陽」の間を行ったり来たりしていればいいので、いま、とくにからだに困ることがなければ、いいと思いますよ。極端に冷える、などはないですか?

    井尾:冷えは、あまりないです。最近、新型コロナウイルス感染症予防で、お店でも体温をよく計るじゃないですか。以前は35度台が多かったんですけど、いまはずっと36度5分で、手足もそう冷たくないかな?

    オオニシ:それならいいですね。体温が35度台っていう人、うちに来る方にも本当に多くてね。みなさん、冷えていますね。

    大段:「冷え」というのは、陰のタイプの特徴なんですか?

    オオニシ:そう。ですから、からだを温める食材を摂ったほうがいいんです。

    ふたり:ふむふむ。

    画像: 陰性の人に多い、からだの「冷え」

    陰性の人は、お茶にひとつまみの塩を

    オオニシ:女性としては、井尾さんの「やや陰」の合計数字でもいいと思いますけれど、仕事人としては、もうちょっと「陽」を増やした方が、エネルギッシュになるんじゃないでしょうか。

    井尾:たしかに、エネルギー不足は実感しています……。すぐ疲れてしまうし、朝起きるのがつらいし。

    オオニシ:疲れを溜めないようにするには、デスクワークのあとにからだをほぐすとか、少し発散をした方がいいですね。あと、普段の食事はもう少し、塩気をプラスして大丈夫。見たところ、塩気が足りていない感じだから。

    大段:そういうのは、どういうところでわかるのですか?

    オオニシ:それはね、唇や肌の色です。井尾さんは、下唇がちょっと白っぽいの。だから血も薄い。あと爪の色も、大段さんは赤みがあるけど、井尾さんは白っぽいでしょう。

    大段:ホントですね(ふたりの爪を見比べる)。

    オオニシ:ということは、大段さんの方が血が濃いんです。そして、皮膚を少し押してみると、大段さんはすぐ戻るけど、井尾さんは戻りが遅いでしょ。これだけ、ふたりの血の循環には違いがあるということ。井尾さんはご自分で「やることがスローだな」と思うことはありませんか?

    井尾:ドキッ! ありますー! しかもいっぱい!(即答)

    大段:(笑)

    オオニシ:それもね、普段の食事に塩気を足すといいですよ。きっと、普段お茶をたくさん飲んでいると思うけど、水分の摂りすぎは控えて。お茶を飲むなら、塩をひとつまみ程度入れるといいと思います。たくさんじゃなくてね。でも大段さんは、陽性タイプだから、塩気は控えてくださいね。

    大段:はいー。気をつけます。

    画像: 陰性の人は、お茶にひとつまみの塩を

    「陰性タイプ」は締める、「陽性タイプ」はゆるめる

    オオニシ:陽性と陰性のわかりやすい違いは、からだが「締まっているか」「ゆるんでいるか」。陽性の人は、ぎゅーっと締まる傾向があって、陰性はゆるみがちなのね。便秘の症状は陽性なのでゆるめないといけないし、尿もれの症状は陰性なので、締めないといけないんです。

    大段:ははぁ、なるほど。そういうところも、正反対なんですね。

    オオニシ:水分のとりかたひとつとっても、バランスよくなるように調整の仕方をお伝えするんです。人によって、どのくらいの段階なのかが違うから。その人が、いま7段階のどこにいるかがわかれば、治し方も見えてくるの。以前、肉食傾向の陽の体質の人で、三ヶ月も便秘に悩んでいるという方がいました。そんな状態で肉を食べると、さらに締まって、からだが詰まってしまうんです。

    井尾:ひゃー。それは大変。

    オオニシ:なのでその方には陰性の食材や調味料をたくさん摂って、とにかくからだをゆるめて出すようにして。いまは体調が中庸のバランスに戻ったので、すっかり治っていますけどね。

    大段:すごい。

    オオニシ:そして、陰性に寄っている井尾さんにおすすめなのは、梅しょう番茶 です。今回は、梅しょう番茶を使った、簡単なお雑煮のつくり方を紹介しますね。

    井尾:ぜひ!

    オオニシ:梅しょう番茶は貧血気味だったり、元気がでないときに気付け薬のような効果をもたらし、リフレッシュします。それにお餅を入れればもち米のエネルギーが加わり、相乗効果抜群ですよ。

    ◇ ◇ ◇

    梅しょう番茶のお雑煮のつくり方

    画像1: 梅しょう番茶のお雑煮のつくり方

    <材料・1人分>

    ● 玄米餅1個
    ● 梅干し中玉1個
    ● 三年番茶(水から沸かして煮出したもの)180ml
    ● しょう油少々(小さじ1/8)~
    ● しょうがの絞り汁少々(小さじ1/8)

    <つくり方>

     玄米餅を焼く。

     梅干しの種を取り、果肉を潰しておく。茶碗にしょうがの絞り汁、しょう油を加えてよく混ぜ、焼いた玄米餅・梅干しを入れて煮出した三年番茶を注ぐ。

    *梅としょう油はおいしいと感じる分量で調整してください。

    *お好みで三つ葉やゆず皮を入れても良い。

    画像2: 梅しょう番茶のお雑煮のつくり方

    ◇ ◇ ◇

    自然栽培のお茶もおすすめ

    大段:玄米のお餅でつくると、さらに良さそう。玄米は「中庸」の食材ですよね。

    オオニシ:そうです。お餅はちょっと焼いて入れると、香ばしくなって。またおいしくなりますよ。

    井尾:梅しょう番茶のお雑煮なんて、朝食に食べたらすごくいいかも。朝はたいてい何も食べなくて、午前中の取材のときはいつも、ふらふらしてます(涙)。

    オオニシ:朝、時間がないときは、梅しょう番茶だけでもいいんですよ。そうそう。みなさんにとってもおすすめのお茶があるので、ご紹介してもいいでしょうか。

    ふたり:もちろん! お願いします。

    オオニシ:奈良の大和高原にある標高400mの山中にある茶畑で、農薬も肥料も不使用のお茶づくりをしている「健一自然農園」さんのお茶です。とくにおすすめの三年晩茶は、丸三年以上育った茶葉も茶木も使っていて、陽の氣をたっぷり宿しています。からだが温まりますよ。

    井尾:「三年晩茶」、私買って帰りますー。

    大段:先生、陽のタイプの人のお茶は何ですか?

    オオニシ:段階にもよりますが、「やや陽」の大段さんには、新芽の部分だけを摘んでいる煎茶がおすすめですよ。

    大段:私も買って帰ります(笑)。

    気になる「健一自然農園」さんのお茶は以下オンラインショップで購入可能です。
    https://kencha.jp

     

    ……ということで次回は「やまと薬膳」の最終回! 女性のためのからだのケアを目的としたヒーリングステイメニュー「女性のためのウィークエンド」についてご紹介します。お楽しみに!

     

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    オオニシ恭子(おおにし・きょうこ)
    フード*メディスナー©。食養料理研究家の桜沢リマ氏に学ぶ。1981年渡欧。以来32年にわたり、東洋的食養法を基本としながらも欧州における素材と環境を取り入れた食養法「ヨーロッパ薬膳」の普及に努める。2013年1月より、奈良・初瀬の地に移住。女性のための食養生を考え、提案する「やまと薬膳」を主宰。それぞれのライフスタイルや体調を見ながら、その環境に適応した食事法を指導する。料理教室や各種オンライン講座等の詳細は、
    https://yamatoyakuzen.com/



    大段まちこ(おおだん・まちこ)
    フォトグラファー。かわいいもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。共著に『花と料理』(リトル・モア)などがある。
    http://odanmachiko.com/

    井尾淳子(いお・じゅんこ)
    フリーライター&編集。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。



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