• 友人たちからは「収納名人」としても知られる、北欧雑貨店SPOONFULのおさだゆかりさん。彼女流の「収納術」は、「隠す」と「見せる」のさじ加減がポイントのようです。今回は、キッチンの収納 を拝見します。
    (『天然生活』2014年5月号掲載)

    目にも楽しい、おさだゆかりさんの収納

    雑貨の買い付けが生業で、ふだんから買い物も大好き。

    仕事でもプライベートでも、日々、大量の「もの」と接し、収納は、一生の課題ですと話す、おさださん。

    けれど、「もの」を山のように所有しつつも、部屋の中はいつも驚くほどすっきりと整っています。

    「家にあるものはどれも、“これが好き” と思って、連れて帰ってきたもの。愛着のある雑貨や道具を、できるだけ気持ちよく見せたり、納めてあげたりしたいと、常に試行錯誤をしている感じです」

    散らかるのは嫌なので、ものは基本的に何かに収納。逆に表に出すのは「飾る」とき。それが輝いて見える配置を真剣に考えます。

    また、「このびんに何を入れようかな?」「お菓子の型を収納具に使えるかな?」と、収納のアイデアも絶えず検討中。

    悩みながら、楽しみながら、おさださんの収納生活は今日も続きます。

    画像: 目にも楽しい、おさだゆかりさんの収納

    おさだ家の間取り

    画像: おさだ家の間取り

    SPOONFUL・おさだゆかりさん
    キッチンの収納

    好きなキッチン雑貨は「あえて見せる」ことを意識し、隠す部分は、使いやすさを考えて機能的に整理。そのふたつのメリハリを利かせて、自分らしい空間に。

    画像: シンクとコンロと平行に配置したキッチンカウンターが、ダイニングスペースとの仕切りに。雑貨類が並ぶオープン棚は「見せる収納」のメインとなるスペース

    シンクとコンロと平行に配置したキッチンカウンターが、ダイニングスペースとの仕切りに。雑貨類が並ぶオープン棚は「見せる収納」のメインとなるスペース

     ビーカーを収納アイテムに

    イギリス製の古い「パイレックス」のビーカーを、スウェーデンの木製ハンドクラフトのカトラリー入れに。

    「高さがあるガラス器は長いものを入れてもバラバラしないし、中身がよく見えるので、お目当てのものを取り出しやすいんです」

    画像: コンロ横のツール入れは「トンフィスク」の白磁キャニスターで統一

    コンロ横のツール入れは「トンフィスク」の白磁キャニスターで統一

     彩りの布小物はあえて見せる

    木、ガラス、金属など「素材の色」と、白が基調になっている、おさださん宅のインテリア。

    そこに鮮やかな色をさすと空間のよいアクセントになるので、ミトンはコンロ前や冷蔵庫の前面など、あえて見せる置き場所にかけて。

    画像: 北欧のテキスタイル会社「ヴォッコ」「ティオグルッペン」のミトン

    北欧のテキスタイル会社「ヴォッコ」「ティオグルッペン」のミトン

     オープン棚は素材別収納で整頓

    家をリノベーションしたとき、手持ちの雑貨類のサイズを測り、それに合わせて特注したというオープン棚。

    枠内ごとに素材を決め、ガラスはガラス、かごはかご、というふうに統一して置くと、見た目もすっきりまとまる。

     スーパーの袋は細身の麻袋に

    使用頻度の高いスーパーのレジ袋は、冷蔵庫の横の、さっと取り出しやすい場所に。

    収納袋にしたのは、藤原千鶴さんのルームシューズが納められていたリネン製の袋。

    「縦に細長くてコンパクトなサイズが、ちょうどよくて」

     用途に合わせてかごを活用

    デンマーク製のアンティークのかごは、かなりの大サイズ。

    床に置くとそれなりにスペースをとられてしまうので、冷蔵庫の上に載せて目線を上に。

    中にはエプロンやキッチンクロスなど、台所まわりで使う軽めの布物を収納。

    画像: 背の高いかごはびん類、平たいかごは箸など、形に合わせて物の収納を

    背の高いかごはびん類、平たいかごは箸など、形に合わせて物の収納を

    ◇ ◇ ◇

    画像: シンクまわりは、ワイヤーのかごやスタンドを使い、道具類を機能的に配置

    シンクまわりは、ワイヤーのかごやスタンドを使い、道具類を機能的に配置

     見た目も楽しい道具はぶら下げて

    アクリルたわしやコーヒーフィルター入れ、木製トングなど、使用頻度も高く、デザインに動きがあってかわいい雑貨は、シンクまわりにぶら下げて。

    棚下には細いバーをつくり付けて、小型のS字フックを賢く活用。

    画像: 友人作のアクリルたわしは古いものもとっておき、大掃除にも活躍する

    友人作のアクリルたわしは古いものもとっておき、大掃除にも活躍する

     「双子置き」で空間にリズムを

    岩塩やこしょうのミル、塩を入れた小びんなど、デザインが好きな容器は「2個買い」「複数買い」して、双子のようにそろえて置くと、見た目もまとまり、おしゃれな雰囲気に。

    一カ所だけでなく、数カ所に「双子」を置くとよい。

     残量が一目瞭然なガラス器にお米を

    実家から送られてくるという主食のお米は、「ウェック」のガラスキャニスターに収納。

    「2kg分が納まるサイズなら、冷蔵庫の上に置いても重たくなりすぎないので、上げ下げが楽ちん。なにより、残量もひと目でわかり、便利です」

    ◇ ◇ ◇

    画像: 食器を入れる引き出しとオープン棚を組み合わせた、キッチンカウンター内部

    食器を入れる引き出しとオープン棚を組み合わせた、キッチンカウンター内部

     引き出しの中はアイテム・素材別

    シンクの対面にあるキッチンカウンターの側面は引き出しになっており、食器類を収納。

    ここはカップ類、ここはガラス器など、アイテム別、素材別に置き場を決めて、見た目にも統一感を。

    底には滑り止めシートを敷いている。

    画像: 1段目は、よく使うカップ類。裏印が見えるように伏せて入れる

    1段目は、よく使うカップ類。裏印が見えるように伏せて入れる

     パウンド型をトレイに

    古道具のスウェーデン製パウンドケーキ型を、コンロ裏のオープン棚のトレイに。

    中にはガラスびんに移し替えたスパイス類のコレクションを収納。

    深さがあるので倒れにくく、奥のものも取りやすい。料理中もさっと手を伸ばせて便利。

    画像: 業務用のジャムびんを通販で取り寄せ、スパイス入れとして活用

    業務用のジャムびんを通販で取り寄せ、スパイス入れとして活用

     よく使う茶葉類は木箱にひとまとめ

    物は、ときに、「アイテム別」ではなく「用途別」にまとめることも。

    紅茶などの茶葉類は木製の茶さじと一緒に、曲げ木のオーバルボックスにひとまとめ。

    「お茶の時間にしようかな」と思ったとき、さっと取り出せるのがうれしい。

    画像: 人から頂く機会も多い茶葉。少量のものは、そろいのびんに入れ替えを

    人から頂く機会も多い茶葉。少量のものは、そろいのびんに入れ替えを




    〈撮影/上山知代子 取材・文/田中のり子〉

    おさだ・ゆかり
    北欧雑貨のオンラインショップ「SPOONFUL」店主。北欧関連著書多数。近著は「北欧ヴィンテージ雑貨を探す旅」amazonで見る

    SPOONFUL:https://www.spoon-ful.jp/
    Instagram:@spoonful321

    撮影/上山知代子(うえやま・ちよこ)
    https://www.ueyamachiyoko.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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