寝坊に、三文の徳無し
自慢ではないが、私は早起きが苦手だ。
歳を取ると、早起きになる、と言われるが、歳を取っても早起きは難しい。
小学生時代からの宵っ張り。夜中12時過ぎまで、勉強ではなく、ラジオを聴いたり、本を読んだり。当然、朝は起きられない。
授業開始8時半(?)なのに、いつもギリギリ。友人が見かねて、登校時に誘いに来てくれ、それで何とか間に合った。
大学も期末試験に寝坊して追試を受ける羽目に。よくぞ卒業できたもの。会社務めをするも、遅刻の繰り返し。普通務めは断念。時間を自由に使える消費生活アドバイザーに。
取材を受ける側となったが、これまた失敗。10時開始の市民講座を引き受けたのはいいが寝坊。スマホや携帯が無い時代、大慌てで電車に。ところが路線を間違え、あらぬ方向へ。あっと気が付き、講座担当者に連絡、30分遅れで開始、大恥をかいた。そこでようやく気が付いた。朝開始の仕事には向いていない。
長年の習慣は恐ろしい。いつも12時過ぎに寝床に入り、ともすると2時近くに。身体に疲労が無い時に、早く寝ようと布団に入っても、かえって目が冴え逆効果。
講座遅刻以来、午前中の仕事は、迷惑をかけるので断ることに。また遠くの仕事も、遠い分迷惑もかけやすいのでやめた。
「早起きは三文の徳」と言うが、私には、一生徳がない、ということだ。
<文/阿部絢子 イラスト/北村人>
阿部絢子(あべ・あやこ)
生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。