団地の和室をセルフリノベーション
はじめまして。インテリア雑誌のライター&編集をしている大野祥子と申します。
築40年を超える団地風マンションに娘と2人暮らし。「古い団地を愛して暮らす」をテーマに、インスタグラムで暮らしの見直しを綴っています。
この連載では、私が暮らしを見直して実感したことや学んだことをまとめました。みなさんの見直しのヒントになればうれしいです。
暮らしを見直すことになったきっかけ
まずはこの写真をごらんください。変色して汚れたふすまや障子にぐるっと囲まれた、古臭~い和室。これは約1年前のわが家の様子です。
うちは築40年を超える団地風マンションです。住み始めてもう10年以上経ちますが、インテリアにこだわっていたのは入居当初だけ。忙しさにかまけて、次第に家のことに興味を持たなくなってしまいました。
「どうせ何をやっても古いし狭いから」なんてあきらめていたんです。
ところが、1年前のコロナ禍の中、家にいる時間が増えたことで自然と暮らしに目が向くように。
ベランダに椅子を出してお茶を飲んだら気持ちよかった! とか、家具配置を変えてみた、なんて小さなことを喜んでいるうちにどんどん楽しくなり、自分がインテリア好きだったことを思い出しました。
「この部屋をもっと自分好みの空間にしたい」という思いをきっかけに、暮らしを見直すことにしたんです。
ふすまを外したら空間が激変
古い団地にありがちなのが、和室を交えた細切れの間取り。いくら好きな家具をそろえても、引いて写真を撮ると必ずファインダーに入ってくるのがふすまや障子でした。
悩んだ末に取った方法は、思い切ってすべて取り外すことでした。
するとどうでしょう。部屋が一気にのびやかな雰囲気になり、広々と解放的な空間が現れたのです。
「うちは狭いし、古い和室だから好きなインテリアなんて楽しめない」というのが勝手な思い込みだったとわかりました。
思い切った部屋の使い方ができたことで居心地もよくなり、わが家が大好きな空間になりました。
ただ、メリットと同時にデメリットもあるので、実行するには慎重さも必要です。
| ふすまを外すメリット
◎ 部屋が広く使える
◎ 明るく開放的な空間になる
◎ インテリア写真が引きで撮影できる
| ふすまを外すデメリット
× プライバシーがなくなる
× 冬は寒い
× ふすまの置き場所に困る
ふすまの置き場所は、いまのところ娘のベッドの下に一部を収納しています。ただすべては収まらなかったので、別の部屋の隅に立てかけてある状態。これをどうするかは今後の課題です。
ふすまの代わりに布で仕切りを
ふすまの代わりに、ちょっとしたプライバシーを隠すのに重宝しているのが布です。
うちで使っているのは柔らかな印象を与えてくれるシングルガーゼ。透け感があるから圧迫感もなく、ゆるやかに視線を遮ってくれます。
ネットショップ「かくれ家」さんで注文し、家のあちこちで使っています。面倒なことは苦手なので、布は切りっぱなし、画鋲で何カ所か留めただけです。画鋲の穴ぐらいなら、賃貸でも許される範囲かなと。
| 布を仕切りにするときのポイント
◎ シンプルな色や透け感のある素材を使う
◎ 切りっぱなしでも問題なし
◎ 画鋲を使うと簡単に付け外しできる
押入れをオープン使いに
押入れのふすまを外すのは、ことのほか思い切りが必要でした。だって中のものをすべて見直さないといけないなんて、大変! 以前の私ならきっと言い訳して動かなかったことでしょう。
でも、部屋を見直し始めたことで「もっと居心地よくしたい」という思いがどんどん湧いてきて、最終的にはなんとか娘と一緒にがんばって、大量のモノを処分することに成功しました。
ふすまを外し、中のものをいったん全て出してから不要なものを処分。必要なものだけを収納し直しました。もともと持っていた「無印良品」の収納ケースやカゴ、木箱に収納し直しました。
ふとん類は「イケア」の “スクッブ” というケースを使うと立てて収納できます。ふだんは半分だけ布で目隠しすることで、見た目もスッキリします。
| 押入れをオープン使いするコツ
◎ いったんすべての物を出して必要なものだけを残す
◎ 収納アイテムは色や素材感を揃える
◎ ふとんは立てて収納すると空間を有効に使える
最後に。動画:ぐるっとルームツアー
去年の夏に撮影した、部屋のぐるっとルームツアーです。
いまとは少し様子は違うけど、ふすまを外した解放感が伝われば幸いです。
暮らしの見直しをすると、部屋だけでなく考え方や習慣にも変化があり、いいことがたくさんありました。
自分でやっていて感じたのは、見直しはどんな部屋に住んでいても、誰でも、いつでもできるということ。
私のように、ベランダに椅子を出してみるなど、まずは小さなことか始めてみると何か変化があるかもしれません。
〈撮影・文/大野祥子(https://www.instagram.com/shosworks/)〉
大野祥子(おおの・しょうこ)
フリーランスでインテリア雑誌のライター&編集を行う。おもな活動は「暮らしのまんなか」や「Come home!」など。全国を取材で回るのが大好きな、京都生まれの京都育ち。
インスタグラム:@showsworks