弟宅にやってきた、足の病気“パテラ”を抱えた保護犬「バディ」
やせっぽちの黒いトイプードル
ベルが我が家の家族になって2週間後の2020年12月、ドッグトレーナーをしている私の弟宅にも保護犬がやってきました。
「この子を家族にしようと思う」
その日、ベルがいた保護施設を訪れていた弟から送られてきた画像を見て、正直びっくりしました。
真冬だというのに体の毛は顔まわりに少し残るだけですべて刈られ、丸出しになった手足も身体も痩せすぎてる……この子は今までどんな環境にいたんだろう。そう考えさせられる写真でした。
そしてその連絡の数時間後、ベルと同じ黒いワンコは、弟宅の家族になりました。
弟宅にやってきたワンコ。名前は「バディ」。犬種を聞くとトイプードル。
「えー? 本当に? トイプードルってこんなに小さかった?」と思うほど、骨格も小さくて、ちょっとぶつかったりつまづいたら骨が折れてしまいそうなほど細くて。
そんなバディもまた、ベルと同じく繁殖犬を引退したワンコでした。そしてパテラのグレード1※ということを聞いたうえで引き取ったのです。
※「パテラ」とは、英語で「Patellar Luxation」という名称の略で、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)という症状・疾患。トイプードルに多く見られる症状で、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置にから外れてしまった状態を意味します。グレードは4段階に分類され、グレード1は膝蓋骨を手で押すと脱臼し、自然と元の位置に戻る軽度の症状。
バディの気になる足の異変
バディがきて、すぐにベルとのご対面!
お互いどんな反応するのか、楽しみとドキドキの両方でしたが、どちらもおとなしく(笑)、喧嘩する事もなく仲良し。
よかった~とみんな一安心して2匹の様子を見ていたら、バディに気になることが。
「バディ、ずっと立ちっぱなしじゃない? 座ったり寝たりしないの?」と弟に聞くと、「実は家に来てから一度もお座りしてる姿を見ていないんだ。ケージに入ってるときもリビングに出てるときも、ずっと立っていて」
他にも気になることがあったので病院で診てもらうと、
「パテラグレード1ではなく、もう少し悪い状態。おそらく座るときに関節が外れて痛いから座ることができないんだろう。筋肉も全然ないし、体重も軽すぎる。歯の状態も悪いから全部抜かないといけないかも」とのことでした。
ベル以上に長い間繁殖犬として生きてきたバディもまた、ベルが我が家に来たときと一緒でトイレも知らないし、肉球もきれいで外の散歩は初めて。
ただベルと違うのは、バディは来たときからずっと震えてたし、緊張からか、気づくといつも前足を上げていたことでした。
「ワンワン」と声に出せなくて
そんなバディにもう一つ気になったことがあり、弟が言いました。
「バディ、声帯切られてるかも……」
テレビやインターネットで「繁殖犬として飼育しているけど、吠えたり鳴いたりするのがうるさいから声帯を切ってしまう」ことがあると見たことがありましたが、まさか本当にバディが? そんなこと、本当にあるの? 信じられない気持ちでした。
でも確かに声を聞いた事がないな……と思ってた矢先、バディが吠えたんです!
他のワンちゃんに向かって「遊ぼっ!」の、「ワンワンッ!」と吠えたつもりなのでしょうね。その声はよく聞いていないと聞き逃してしまうくらい小さな音で「シャンシャンッ!」と。
その後、病院でそのことを先生に話すと、やはり「本当ですね、声帯切られてますね」とのことでした。
弟宅に来てすぐの頃、少量のご飯も食べず、小さなおやつすら口にしなかったバディ。
フードはお湯にふやかしたらなんとか食べてくれましたが、おやつはなかなかむずかしく。後から考えたら、歯が悪くて食べられなかったんですよね。
走り方もベルとは全然違う。それはパテラがグレード1以上だったせいで筋肉がないから、そして今まで走ったことがなかったから。そんなことが、日々少しずつわかってきました。
ベルもバディも同じ元繁殖犬。
育った環境が違うし飼い主さんも違う。私たちには詳しいことは知らされないので、年齢だって、誕生日だって本当かどうかはわかりません。
ただ、散歩にも行けず、お座りもできない。声帯も切られ、ご飯も食べれないほどの歯の状態になってるバディを見たら、ただただ幸せになって欲しいと願うばかりです。
tomooo.25
夫、双子の男の子、元保護犬ベル、キンクマハムスターの4人+2匹暮らし。自宅の家具をほぼすべてDIYでカスタム。休みの日は家族でDIYをしたり、釣りやキャンプに行ったりとアウトドアが大好き。ベルを迎えてからはベルとの朝夕の散歩が毎日の日課。DIYのアイデアや、家族やベルとの暮らしについてinstagramやブログで日々更新中。
インスタグラム:@tomooo.25
ブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/tomooo-25/
犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。
保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。