• ホテルで味わう名物スイーツと、おいしさの裏側にあるストーリーをお届け。今回は、2019年に新ホテルとして開業した虎ノ門・The Okura Tokyo「オーキッド」でいただける〈レモンパイ〉。特別な空間でゆったりひとり時間を楽しめるホテルでのひととき。宿泊はなかなかできなくても、お茶や息抜きに、甘いものを食べる時間って非日常を味わえますよね。自宅でホテルの味を楽しめる持ち帰り・お取り寄せ可能なお菓子もあわせて紹介します。

    搾りたてのレモンの風味が感じられるオークラの〈レモンパイ〉

    名前も姿も一新した「The Okura Tokyo」(ジ・オークラ・トーキョー)

    画像: 2019年に開業した「The Okura Tokyo」外観

    2019年に開業した「The Okura Tokyo」外観

    1962年の創業から約50年を経て、「ホテルオークラ東京」に本格的な本館建て替えの話が持ち上がったのは、2000年初頭のこと。当初は東翼、南翼、北翼の三翼からなる伝統の「三ツ矢式建築」を残す案なども議論されましたが、基礎からすべてを新設することに決定。諸外国からもファンが訪れるなど、多くの人から惜しまれるなか、本館は2015年8月をもって閉館しました。

    2019年9月に開業した「The Okura Tokyo」は、オークラ創業から掲げる「世界に通じるもてなしの心」 はそのままに、異なるコンセプトを持つ2棟での構成に一新。17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」と、41階建ての「オークラ プレステージタワー」です。

    今回は、「オークラ プレステージタワー」内でいただけるスイーツを紹介します。

    パイ、レモン、メレンゲが三位一体となった味わいの〈レモンパイ〉

    画像: 「オーキッド」内観(画像提供:The Okura Tokyo)

    「オーキッド」内観(画像提供:The Okura Tokyo)

    オークラ プレステージタワー5階にあるオールデイダイニング「オーキッド」は、ダイナミックな吹き抜けとオープンキッチンが特徴。

    早朝から夜までオープンしているので、家族での朝食や、商談、大切な人とのディナーまで、あらゆる目的に合わせて利用することができます。

    そんな「オーキッド」で、ティータイムにいただきたいのがオークラ伝統の〈レモンパイ〉。

    画像: 「パイ・ア・ラ・モード」1,600円(税込)

    「パイ・ア・ラ・モード」1,600円(税込)

    ホテルオークラ東京開業当時に、全シェフが召集され、それぞれが考案したレシピの中から選ばれたという伝統あるスイーツ。

    塩味のあるパイ生地の上に、レモンのクリームをカスタードのように炊き上げて流し入れ、メレンゲを絞ってオーブンで焼くという、いたってシンプルなレシピです。

    「召し上がっていただくと、逆にインパクトがないかもしれません。すごくやさしい口どけで、レモンの酸味と生地の塩味、そういったものが時間の経過とともに体の中に浸透していくようなお菓子だと思います」(The Okura Tokyo シェフパティシエ 中村和史さん)

    画像1: パイ、レモン、メレンゲが三位一体となった味わいの〈レモンパイ〉

    メレンゲがサクッとしているうちに、早速いただいてみると……搾りたてのレモンを感じる香りがほのかに、そして均等に口の中に広がります。

    決して酸っぱいと感じることのないレモンのクリームと、やさしい塩味の感じられるパイ生地、そして軽いメレンゲが合わさったときの、たまらぬ幸福感!

    どれもまったく違った食感で、それをかろうじて実感しながら、3つがすぐにひとつになっていく感覚。こんなスイーツが50年以上前から存在していたなんて、当時の人にとっては、大変贅沢なスイーツだっただろうと感じた食体験でした。

    画像2: パイ、レモン、メレンゲが三位一体となった味わいの〈レモンパイ〉

    「〈レモンパイ〉が生み出された当時は、今のように生菓子がたくさん食べられるわけではなかったと思いますが、やっぱり生のものって身体への影響が強いんです。だから、しっかり火が通っているスイーツに回帰していくというか、巡り巡ってまた人気の出る時代がくる。こういった伝統菓子は廃れることがないので、いつでも基本に忠実につくりながら、お客さまがまたここに戻ってきてくれたらいいな、という感覚でつくっているんです。我々が提供したいのは、時間と手間をしっかりとかけたお菓子ですから」(中村さん)

    オーキッドで〈レモンパイ〉をいただく際には、「パイ・ア・ラ・モード」を注文。
    レモンパイ、チョコレートパイ、アップルパイのなかから選んだパイの横に、ミルキーなホイップクリームと、ホテルメイドのアイスクリームが添えられてサーブされます。

    どれもオークラの歴史が感じられる、由緒正しき一皿。レモン色のグラデーションで、とことんさりげないプレートは、だからこそ惹きつけられる魅力があります。これぞ長年ファンが絶えない理由なのかもしれません。

    四季を感じられる5種類の〈ケーク〉をおもたせに

    画像: 左から「マロン」、「紅茶」、「オランジェ」、「ショコラ・グリオット」、手前が「フリュイ」

    左から「マロン」、「紅茶」、「オランジェ」、「ショコラ・グリオット」、手前が「フリュイ」

    The Okura Tokyoの開業と同じタイミングで発売をスタートした5種類の〈ケーク〉。

    実は以前、「ワンパウンドケーキ」という名前で、ずっしりしたフルーツケーキの販売があったそう。しかし、新ホテル開業の際に「今の時代には、もっとシンプルでスタイリッシュな形のほうがよいのでは」と、一新。

    彩りや素材で日本の四季を感じられるような5種類は、見た目の華やかさはもちろん、1本ずつ異なる味わいが楽しめます。

    「バターがしっかり入っているので、火も同じくらいしっかりと入れています。1本あたりの焼き時間はおよそ90分くらいですかね。そうすることで、バターと砂糖の甘みが十分に出て、風味の立つ焼き上がりになるんですよ」(中村さん)

    お酒もしっかりと効いていて、奥深い味わいを感じられる一品です。

    画像: 「フリュイ」4,800円(税込)

    「フリュイ」4,800円(税込)

    宝石のように美しいケーキは、おもたせにぴったり。
    上品なペールピンクの箱も特別感があって、受けとる側もしあわせな気分になれそうです。

    画像: 150種以上の商品がそろうデリカテッセン「シェフズガーデン」。〈レモンパイ〉〈ケーク〉どちらもで購入可能 (画像提供:The Okura Tokyo)

    150種以上の商品がそろうデリカテッセン「シェフズガーデン」。〈レモンパイ〉〈ケーク〉どちらもで購入可能 (画像提供:The Okura Tokyo)

    緻密に再現された「オークラロビー」

    画像: 上階からみると、梅の花のように見えるテーブルと椅子

    上階からみると、梅の花のように見えるテーブルと椅子

    前身のホテルオークラ東京といえばすぐに思い出されるのが、あの本館の「オークラロビー」。

    建築家・谷口吉郎による設計で世界中の人々に親しまれていたロビーは、建て替えの際に再現することが前提だったそう。

    本館解体の前に、各部の実測調査や各意匠のディテールに至るまで、その材質や構造についての学術調査が行われました。ロビー全体を3Dスキャンし、採光の角度などを吟味した結果、南側に90度回転させて再現されたのが、現在のオークラロビーです。

    画像: アクリル板で金糸を挟み込んで貼り合わせた、オークラ・ランターン。古墳時代の水晶の装飾玉がモチーフ

    アクリル板で金糸を挟み込んで貼り合わせた、オークラ・ランターン。古墳時代の水晶の装飾玉がモチーフ

    ホテルオークラ東京の時代に愛された、オークラ・ランターンをはじめ、麻の葉文様の美術組子や四弁花文様など、細部にいたるまで緻密に再現されたロビーは、何時間でも眺めていたくなるような美しさ。

    「 “和風” ではなく、ジャパニーズモダンなんです」と、広報の松本さんがいうように、日本の伝統を感じられる建築を見たいと言われたならば、ここに連れてきたいと思うような空間です。

    設計を手掛けたのは、旧本館ロビーを手がけた谷口吉郎の息子である谷口吉生。
    親子二代で引き継ぐ伝統は、純粋な “再現” ではなく、装い新たに生まれ変わった “刷新”。

    それが建物だけにとどまらず、訪れる人の雰囲気や、ホテル全体がまとう空気、そしてここでいただける食事やスイーツにも感じられました。

    The Okura Tokyo
    東京都港区虎ノ門2丁目10-4

    ・東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅徒歩5分
    ・東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅徒歩10分
    ・東京メトロ銀座線、東京メトロ南北線「溜池山王」駅徒歩10分
    03-3582-0111

    The Okura Tokyo公式サイト  
    オンラインショップ

    オーキッド
    6:30~22:00(直近の状況により、営業時間・休業日等が変更になる場合があります)

    〈撮影/山川修一 取材・文/山下あい〉



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