• 鉢やプランターなど、容器を使って植物を育てる方法のひとつに袋栽培があります。今回ご紹介するのは、プチプチとした食感と甘みが特徴のミニトマト。限られたスペースでも、野菜づくりが初めてという人でも手軽に栽培できます
    (『袋栽培でかんたん野菜づくり』より)

    育てやすく人気の野菜「ミニトマト」

    ミニトマトはナス科に属し、失敗が少なく、育てやすいので、特に人気の野菜です。

    特徴は、茎や葉をつくる生長(栄養生長)と、花や実をつける生長(生殖生長)が同時に行われること。主茎の生長点は、本葉を8枚ほど形成した後に、実となる第1花房(トマトが最初につける花房)ができます。

    そして、第1花房より上は、葉→葉→葉→花房→葉→葉→葉→花房というように規則的につきます。どの花房も一定の方向に出るのが不思議です。

    種まき・植えつけ

    ミニトマトは、ポリポットに種をまいて苗を育ててから、袋に植えつけて栽培します。種をまく時期が過ぎてしまっていたら、購入した苗を植えつけるのがおすすめです。

    ポリポットで種まきから始める場合、培養土を入れた1つのポットに1粒の種を1cm程度の深さの穴に入れ、培養土をかぶせ、水差しまたは小さなジョウロで慎重に水やりをして保温して育苗します。

    苗の葉が5枚以上に育ってきたら、深植えにならないようにして、1袋に1本の苗を植えつけます。

    画像: 種まき・植えつけ

    DATA
    連作
    3年やすむ

    発芽適温
    25~30℃

    生育適温
    ・昼間25~30℃
    ・夜間10~20℃

    適切な袋の容量
    30リットル

    袋の適した置き方
    縦向き

    栽培管理と収穫

    画像: わき芽は伸びないうちに摘み取る

    わき芽は伸びないうちに摘み取る

    わき芽を取る

    生長するにしたがって、葉のつけ根にわき芽が出てきます。わき芽はあまり伸びないうちにすべて摘み取るのがポイントです。わき芽を摘み取らないでいると、栄養がわき芽の生長に使われ、実の生長が遅れてしまいます。

    画像: わき芽を取る

    支柱を立てる

    植えつけから2〜3週間経つと、茎が伸びてきます。袋の3カ所に3本の縦支柱を立て、横支柱もつけて固定します。支柱が立てられたら、ミニトマトの生長に応じて、ひもなどで8の字形に茎を支柱に誘引します。

    ミニトマトは開花後40〜50日で着色が始まり、50〜60日で成熟します。実が赤く熟したものから順に、こまめに収穫しましょう。

    収穫は実をつけている軸の部分を剪定ばさみで切り取ります。収穫が遅れると、虫や鳥に食べられてしまうので気をつけます。

    8月の暑い時期も実が赤く熟してくるので、水やりは1日も欠かさずに行いましょう。

     

    本記事は『袋栽培でかんたん野菜づくり』(秀和システム)からの抜粋です


    梁川 正(やながわ ただし)
    農学博士。京都教育大学名誉教授。京都教育大学環境教育実践センターにおいて、野菜や花卉、イネ等の栽培指導や、栽培植物の残渣を堆肥として利用する「食の循環の教育」の指導を行う。研究面では、球根花卉やラン等の組織培養によるウイルスフリー化や無菌培養の簡便化に関する研究を推進。退職後は、各種公開講座や園芸大学等で、袋栽培で野菜や花卉を育てる方法やその楽しさ、容器等で簡便に育てる活動の普及に努めている。



    This article is a sponsored article by
    ''.