おいしさに衝撃を受けた〈チーズビット〉
チーズ嫌いがチーズ好きになったスナック菓子。
「小学生のころ、チーズが嫌いだったんです。給食に出るプロセスチーズが苦手で、いつも友達にあげていました。ところがチーズビットをはじめて食べたときの衝撃といったら! チーズって、こんなにおいしいの!? と驚きました。日本で当時売られていたチーズとは違う味がしたんです。うまみがあって、淡白な味ではないのがおいしかったなあ。
当時は海外映画やドラマの影響で、パーティーごっこが流行っていたんです。グラスにポッキーをさしたり、ファンタを飲んだり、リッツパーティーなども。そのときに必ず買っていったのが〈チーズビット〉でした」(甲斐みのりさん)
大学を卒業し、お酒を飲むようになってから、海外製のナチュラルチーズを食べたときに「あ、チーズビットのようだ!」と思ったんだそう。本当においしいと思えるチーズに出合い、チーズ嫌いを克服した甲斐さん。
1970年代ですでに、海外製のナチュラルチーズを再現するようなスナック菓子をつくっていたカルビー。そのすごさを実感するエピソードです。
スイートコーンが隠し味。
1970年代後半、カルビーは、当時まだ日本に存在していなかったチーズ味のお菓子の開発をスタート。
「栄養価の高いチーズをお菓子に入れたい、当時憧れだった海外の味わいを取り入れたいという思いから開発がスタートしました。日本人が好むチーズの香りや味を試行錯誤しながら、苦労の末に生まれた商品です」(カルビー マーケティング本部/王ユウさん)
1964年に、小麦に天然エビを練り込んだお菓子「かっぱえびせん」を開発。
その後も「サッポロポテト」にはじゃがいもや野菜、「サッポロポテトバーベQあじ」にはじゃがいもと肉や野菜と、さまざまな食材を小麦と合わせてお菓子を生み出してきたカルビー。
〈チーズビット〉は、チーズを練り込んでいるのかな!? と思ったら、なんとスイートコーンをすりつぶしたものを練り込み、そのあとにチーズパウダーをかけているということがわかりました。
発売当時のパッケージには、しっかり “スイートコーン” の文字が明記されています。
コーンの甘みが入ることで、「あともう1枚!」と、後を引くようなうまみが出るそう。軽い食感も去ることながら、あの飽きのこない味わいは、スイートコーンの力だったんですね。
食べられるのは半年間だけ!?
実は〈チーズビット〉は3月〜8月までの期間限定商品ということをご存知でしたか? もともとは通年商品でしたが、1年近く休売をしていた時期がありました。
その後、復活のリクエストが多く寄せられたことから、当時同じく通年販売していた「おさつスナック」と半年ごとの入れ替え制にして販売したところ、ヒットしたんだとか。
スナックで季節を感じる、なんていうのも楽しいですね。
普段、ワインに合わせて食べることもあるという甲斐さんのおっしゃる通り、濃厚なチーズの味わいを堪能できる、大人のスナック。
これから徐々にスーパーで見かけるようになるはずです。ぜひお酒のおつまみにもどうぞ。
チーズビット 濃厚チェダーチーズ味
■ 内容量 57g
■ 想定価格 130円
■ メーカー カルビー
カルビー公式サイト 公式サイトを見る
〈撮影/山田 耕司 取材・文/山下あい〉
甲斐みのり(かい・みのり)
文筆家。静岡県生まれ。旅やお菓子、ホテルや雑貨など幅広い分野において、書籍や雑誌、webなどで執筆。著書に『アイスの旅』(グラフィック社)『たべるたのしみ』(ミルブックス)ほか多数。雑貨やイベントなどを企画する「Loule(ロル)」主宰。
インスタグラム:@minori_loule