• 種や苗を買わなくても、野菜を育てる方法があるのをご存知ですか? 芽が出て育てることができる、果物や野菜の種、野菜くずが台所にはたくさんあります。なかでも人気で使いやすい、葉ネギとラディッシュの育て方を紹介します。

    台所から育てよう

    画像1: 台所から育てよう

    野菜では、カボチャなど種を取り出しやすいものは、よく発芽します。トマトなど種が取り出しにくいものは、コンテナの片隅にでも放置しておけば、春に芽を出します。再生できる野菜の代表選手である豆苗は、そのまま育てるだけでなく、豆をバラして土に埋めれば、エンドウとして育ちます。

    果物では、ビワの発芽率が驚異的。スイカやメロンなどのウリ科の仲間、柑橘類の種もよく芽が出ます。アボカドの種もおもしろいです。固い種皮を突き破って出てくる細い茎に驚きますよ。

    乾物の豆は種そのものです。黒豆、ひよこ豆、レンズ豆などは、水に浸してスプラウトとして育てることもできますし、土に埋めても育ちます。

    画像2: 台所から育てよう

    ダイコンやニンジン、カブ、ビーツ、ラディッシュなど根菜の野菜クズは、水栽培で楽しみましょう。根元を水平に切って、少しの水に浸しておきます。しばらくすると緑の芽が顔を出すので、好みの大きさでベビーリーフとして収穫します。

    ジャガイモ、キクイモ、サツマイモ、サトイモ、ナガイモなどのイモ類は、土に埋めてみましょう。深さのある鉢か、買ってきた培養土の袋の上部を開けて使う、袋栽培もおすすめです。

    ニンニク、玉ネギなどの鱗茎菜類やネギの仲間も、水栽培からでも、そのまま土に植えても育ちます。

    「葉ネギ」の育て方

    【分類】ヒガンバナ科ネギ属 【原産地】中国西部・シベリア

    画像1: 「葉ネギ」の育て方

    味噌汁など日々の料理に欠かせない葉ネギ。九条ネギに代表される細ネギですが、緑の部分を小口に切った後、根元はどうしていますか? 少しだけ残すことも、根が付いているのにゴミにすることも、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

    ある日、その根元をなんとなく植木鉢に挿してみました。しばらくすると、切り口から新しい葉がちゃんと顔を出したのです。捨てられるはずだった葉ネギが、第二の人生を歩み始めたということです。なんと嬉しいことでしょう! 今では庭のあちこちにネギの顔が見えます。ところ構わず植えていますが、どれも元気に育っています。

    画像2: 「葉ネギ」の育て方

    葉ネギはコンパニオンプランツ(近くで栽培することでお互いの成長に良い影響を与えるとされる2種類以上の植物の組み合わせ、またはそれらの植物のこと)としても優秀です。虫を遠ざけ、病気を予防するなどの効果があります。とくにアブラナ科の葉野菜と相性が良いので隙間に植えています。

    苗を買わなくてもできる簡単栽培。知ってしまったら、もう捨てられませんね。

    食べ方
    香味野菜として様々な料理に。

    「ラディッシュ(二十日大根)」の育て方

    【分類】アブラナ科ダイコン属 【原産地】ヨーロッパ

    画像1: 「ラディッシュ(二十日大根)」の育て方

    種蒔きほど楽しいものはありません。土の中から顔を出す双葉のかわいらしさには、何度見ても心を打たれます。

    この楽しさを体験するなら、ラディッシュがおすすめ。二十日大根とも呼ばれるその名の通り、二十日でダイコンになる小さな野菜です。実際にはもう少し日数がかかりますが、おおよそ1ケ月後には、ぷっくりと膨らんだ実を収穫できます。

    画像2: 「ラディッシュ(二十日大根)」の育て方

    芽が出たら、隣と触れない程度に間引きをします。根元をハサミで切ると簡単です。この間引き菜も食べられますよ。寄り合っていたお隣さんが急にいなくなり、残された方はフラフラしてしまうので、土寄せをして安定させます。

    間引きなどとそれらしいことを書きましたが、適当に種を蒔いて放置しても、環境が合えば育ちます。植物なので当たり前ですが、収穫せずに育てれば、花が咲き、種ができます。

    そのこぼれ種から、庭の思わぬところでラディッシュが勝手に育っていることがあるのです。花壇のレンガの外や雑草が生えまくる中に、立派な赤い実を見つけたことも。小さいながらたくましい野菜なのです。

    画像3: 「ラディッシュ(二十日大根)」の育て方

    アブラナ科の植物には、モンシロチョウが卵を産みます。虫が付くと聞くと、急にやる気を失うかもしれませんが、それが自然の営みというもの。それでも短い期間で収穫できる分、虫を気にする期間も短くて済みます。そういうものだと知っておくだけで、気持ちが違うのでは。

    画像4: 「ラディッシュ(二十日大根)」の育て方

    双葉も間引き菜も実も葉もすべてが食べられます。丸いのや細長いの、赤やピンク、黄色、白とバリエーションがあるのも楽しい。最初の種蒔きは、ラディッシュがおすすめです。

    食べ方
    とれ立ては生でがぶりと。辛味が気になるなら薄くスライスして。たくさんとれたらマリネやピクルスに。炒めたり、スープにも。

    ラディッシュの梅マリネ

    画像1: ラディッシュの梅マリネ

     ラディッシュを食べやすい大きさに切る。

     つぶした梅干し、酢、はちみつを加えて、全体を和える。

     

    本記事は『食べられる庭図鑑』(良原リエ著 アノニマ・スタジオ刊)からの抜粋が元になっています



    良原リエ

    画像2: ラディッシュの梅マリネ

    音楽家。アコーディオニスト、トイピアニスト、トイ楽器奏家として、映画、TV、WEBムービーなどの演奏、制作に関わる。インテリア、手作り、リメイク、子育てなど、ライフスタイルすべてが活動・表現の場になっている。自身の暮らしや手作りのものを紹介しているインスタグラムも人気。著書に『たのしい手づくり子そだて』『まいにちの子そだてべんとう』(アノニマ・スタジオ)、『トイ楽器の本』(DU BOOKS)、『音楽家の台所』(コノハナブックス)など。
    インスタグラム@rieaccordion

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