「洗濯」は工程数の多い家事
「洗濯」って、洗濯機がやってくれるからラクでしょ? と思っているのは、洗濯を担当したことがない人ではないでしょうか。
洗濯って、家事の中でも意外に工程数が多い作業だと思うんです。
洗濯そのものは洗濯機がやってくれるとして、洗濯物の仕分けや洗う前の準備は必要だし、乾燥まで一貫して洗濯機にやってもらうとしても、乾燥しきれない厚手のものもあるし、早めに取り出さないとシワがついてしまうものもあります。
乾燥機を使わないなら、干して乾いたところを取り込み、たたんで、それをまたしまう。ここまで一貫でやってくれるマシンはいまのところ出ていません。
「洗濯」の工程を減らしたい!
せっかく乾いた洗濯物も、ソファや和室の畳の上に積み上げたままでは、散らかってしまうし着替えも探しづらい。部屋干しを取り込めないでいたのが、リモートの画面に映り込んでしまって気まずい思いをすることも……。
そんな洗濯の工程を、減らすことができなくても、なるべくやることを減らし、徐々に家族に移管することで負担を減らせたら、メイン家事担当者としては嬉しいですね。
私も、この20年で大分やることを減らしてきました。
その1 わが家の洗濯の工程
通勤のない私は朝洗濯・朝干し派。
家族4人分の洗濯物を干す物干し竿はベランダの奥に3本。その手前には、折りたたみ式のタオルバー型の物干しスタンドを置いています。
まずカゴを3つ用意し、洗濯機から出した洗濯物を、
① 洋服やバスタオル
② 下着やハンカチなど小物
③ 靴下
と仕分けしていきます。
大物カゴの中のワイシャツ類はハンガーに掛け、小物類はピンチハンガーに吊るし、厚地のデニムやバスタオル、日によっては、シーツ類は物干しざおに直接掛けて乾かします。
Tシャツ類は物干しスタンドに2つ折りで。3つ目のカゴに残った靴下は、カゴの縁に掛けて乾かしてしまいます。
一日分の洗濯物干しにかかる時間は、5~7分です(時々計っている)。
その2 雨の日対策は扇風機!
終日晴れの日であればこれでいいのですが、雨が降り出したら、ベランダへの出入り口のすぐの場所に取り付けた「天井付け物干しバー」に洗濯物を移動します。
この下から扇風機やサーキュレーターでまんべんなく風を当てれば、梅雨時でも雑菌が繁殖せずスッキリ乾きます。浴室乾燥機よりもこちらの方が早く乾くようです。
物干しバーはホームセンターで購入できますが、天井の下地によっては工務店に依頼した方が安全です。買う前に購入店で施工の相談をするとスムーズでしょう。
その3 仕分けは家族の人数分+1個のカゴで
洗濯物の仕分けに使ったカゴは、乾いた後の取り込みにも使います。
同じカゴを5つ持っているのですが、取り込むとき、家族1人につき1個のカゴを割り当て、それぞれに乾いた洗濯物を分けて入れていきます。
5つ目のカゴは、全員が共用するタオル類です。
その4 乾いた洗濯物の処理は各人に
子どもたち(社会人娘、大学生の息子)のものは畳まず、カゴに入れただけで渡します。そして、カゴは必ず返却させます。
カゴをリビングに放置したり、渡したカゴを返さなかったりするときは実力行使に出ます(カゴの中身を各人の部屋に知らんぷりして置いてきてしまうなど)。
部活の忙しい中学生まではたたんであげていましたが、成長したいま、もうそんな義務はありません。
その5 夫の洗濯物
残業の多い夫の洗濯物は、サービスとして平日はたたんでしまっていますが、休日は夫にも洗濯物をたたませます。しかし、見ていると、たたんでいるというよりは丸めている感じです。
とはいえ自分の服ではないので黙って見ています。若い頃は、夫のワイシャツやハンカチもいちいちアイロンがけしていましたが、もうやめました。
脱水後、すぐに取り出してパンパン叩いて干せば、形状記憶ワイシャツにアイロンは不要です。
夫の職場は、出勤後すぐに作業服的な制服に着替えるので、スーツやワイシャツにはあまり気を使わずに済むのがラッキーなところ。たまにスーツで出かけるときもありますが、服のシワや靴の汚れが彼の仕事上の評価を下げるのであれば、それは仕事の一部ですから、自分で管理するべきでしょう。
最近では私服のシャツも、ときどきは(私の監視下)アイロンがけもやらせています。
その6 家族にやらせるときの注意点
タオルやシーツ類を家族にたたませることもあります。そのとき、私と違うたたみ方をされると正直イライラします(裏返しにたたむとか、縁が見えない畳み方をするとか)。
以前はいちいち文句を言って直させたりもしましたが、もうやめました。家族とはいえ自分ではない人間を、軋轢なく思い通りにするには、気の遠くなるような手順が必要で、私にはそこまでの気力はありませんでした。
「私にとって気分のいいたたみ方」を押し付けるよりは、家庭の平和を重視した結論です。
その7 たたまない人対策
なかには、どうしても洗濯物をたたまない家族もいます。息子です。
小学生の時はともかく、思春期を迎える頃からさっぱりたたまなくなりました。いちいち指摘するのに疲れたあげく、現在は彼の服はTシャツに至るまで、なるべくハンガーで乾かすことにしています。
彼の部屋に長い洋服用のハンガーバーを設置したので、すべての服をそこに掛けて収納させています。なのでこれは、
「服を掛ける場所の確保」
と、
「ムダな服を減らす」
の2本柱で成り立つやり方です。
この方法は、家事やしつけの観点からはほめられたやり方ではないかもしれませんが、積み重なった服で「部屋がゴチャゴチャする」、たたまないために「シワシワになってしまった服を着ていく」よりはマシになりました。
片づけの点でも、彼の見た目の点でも、この方法はいまのところベストの解決法です。近々姪が出産しますが、仕事を続けるなら、家族全員分をこの方法でやってもいいのではないかと、勧めようと思っています。
その8 「洗濯」と「衣類管理」を切り離そう
「洗濯」という家事は、「衣類の管理」と一体化されがちですが、そこを分離し、「洗った服は自分で片づける」という原則を設けることで、家事のメイン担当者の仕事は激減します。
ただ、全部自分の思う通りにするわけにはいきません。そこは潔くあきらめ、
・家族が清潔で(なるべく)シワのない服が着られること
・家の中が乱雑にならないこと
が維持できることを目標に、家族の成長とともに「管理部門」を移管するのが、長い目で見ると得策ではないでしょうか。
〈撮影/山田耕司〉
金子 由紀子(かねこ ゆきこ)
1965年生まれ。出版社での書籍編集者を経てフリーランスに。1973年、第一次石油ショックで大人たちの買いだめにショックを受ける。自らの出産・育児経験から「現実的なシンプルライフ」の構築の傍ら、All About「シンプルライフ」初代ガイドを務める。近著に『クローゼットの引き算』(河出書房新社)amazonで見る 、『50代からやりたいこと、やめたこと』(青春出版社)amazonで見る 、『ためない習慣』(青春文庫)amazonで見る ほか20冊以上。