夫婦で愛する〈甘栗むいちゃいました〉
むいてあるんだ!と感動した甘栗。
「はじめてむき栗と出合ったときは『むいてある!すごい!』と感動しました。幼いころ、田舎町の祖母と暮らしていた時期があり、栗や芋など収穫したものを蒸してよくおやつにしてくれました。そのせいか、“おばあちゃんちの味” 的な、渋いおやつが好みなんです。
お祭りや食品街の出店で買う天津甘栗も大好物。自分でむいて食べるのが一般的でしたから、むき栗の登場にはとても驚きましたね。〈甘栗むいちゃいました〉は食べきりサイズがちょうどよくて、つい手が伸びてしまうおやつです」(網中いづるさん)
普段から、素材を味わえるおやつが好きだという網中さん。地元の小さなお店で、柚子など地元の食材を使ったおやつもよく買うといいます。
むき栗をアルミパウチ包装にした、初の商品。
1998年に誕生した〈甘栗むいちゃいました〉。自然な甘さのお菓子が流行しはじめ、食事とおやつの境界線が曖昧になってきた時代。大人の小腹を満たす甘さ控えめなおやつとして、むき栗を持ち運べるようにするのはどうかと生まれた商品です。
「当時すでにむき栗はほかのメーカーが販売していたのですが、それをアルミパウチ包装でお菓子として打ち出したのが日本初だったんです。パッケージとネーミングのインパクトも相まって、大ヒット商品となりました」(クラシエフーズ マーケティング室/有賀文威さん)
ほかにも商品名の候補はあったのか気になり質問してみると、「その頃は、ちょうどポケットモンスターが流行していたので、“ポケットモンブラン” (ポケモン)という候補もありました。でもこれはあくまでむき栗であって、モンブランではないので嘘になるよね、と落選。その後、“はにかみ” みたいなことも含めて『むいちゃいましたけど、どうですか?』ということを商品名に込めました」(有賀さん)
当初は決まったエリアで、かつ駅の売店などに限定して発売されていましたが、品質の良さやネーミングのインパクトが広まり、2000年から全国に展開されました。
和栗では表現できない甘さ。
「天津甘栗と比較すると、やわらかく食べやすいのが特徴です。天津甘栗よりも水分が5%多いというデータも。栗自体は、中国の河北省のものを使用しているのですが、ほかの地域よりも糖度が高いのが特徴です。小粒でありながら甘味がギュッと凝縮しています。和栗と比べても、糖度が高いので煮詰めたり加糖する必要がなく、ほくほくとした自然な甘さが楽しめます」(クラシエフーズ マーケティング室/柿本麻理さん)
実は網中さん、以前、東京・富ヶ谷に住んでいた際には、渋谷駅前の交差点近くにある天津甘栗屋さんに通っていたこともあったそう。
「職場が渋谷と近かったので、自転車通勤をしていて。よく寄り道ついでに甘栗を買っていましたね。夫も渋谷勤務だったので『甘栗買ってきた』と、お土産にしてくることもしばしば。つい先日、家族で『コロナ禍で、あの甘栗屋さん大丈夫かな』と話題になって、グーグルマップでお店が無事かどうか調べてしまいました」(網中さん)
現在の住まいである大分・別府に移住するずっと前から、甘栗が大好き。見つけたらついつい買っちゃうおやつとして、網中さん家のラインナップに並ぶ〈甘栗むいちゃいました〉。
「甘栗むいちゃいましたけど、どうですか?」なんて、スーパーやコンビニで語りかけられたら、それはもう、いただくしかありませんよね~。
甘栗むいちゃいました 35g
■ 内容量 35g
■ 希望小売価格 162円(税込)
■ メーカー クラシエフーズ株式会社
公式サイト 公式サイトを見る
〈撮影/山田 耕司 取材・文/山下あい〉
網中いづる(あみなか・いづる)
1968年生まれ。アパレル会社勤務を経て2002年にイラストレーターとして独立。エディトリアルの仕事を中心に、ファッションブランドへのデザイン提供など幅広く活動する。1999年ペーター賞、2003年TIS公募プロ部門大賞、2007年講談社出版文化賞さしえ賞受賞。装画に『三つ編み』(早川書房)、『完訳クラシック 赤毛のアン』シリーズ(講談社文庫)、『プリンセス・ダイアリー』シリーズ(河出書房新社)、『アンデルセン童話 赤いくつ』(角田光代・文/フェリシモ出版)ほか多数。