人と農家を直接繋げるお手伝い
こだわりの野菜や果物を、創意工夫のあるレシピでベーグルにする「ベーグルカンパニー」。食材の鮮やかな風味が堪能できるベーグルは、一度食べたら誰しも虜になるはずです。そんなベーグルのおいしさを支える野菜や果物は、懇意にするいくつもの地元農家や他県の農家から直接届くのだそう。そんな農家とのお付き合いは、どのように始まったのでしょうか。
お店を始めて数年が経ち余裕が出てきたころ、「自分たちにしかできないものってなんだろう」と模索していた茶野さん。そんなとき、農家を応援する活動を行う方から、「地元農家さんが強いこだわりを持ってつくっている野菜や果物を使えば、お店にも農家さんにもメリットがあると思うから、ぜひやってほしい」という話がきたのだそう。
もともと「ベーグルカンパニー」では、茶野さんのご両親が自宅の庭の畑でつくる無農薬のレモンやミカンをベーグルに使っていたそうで、当時は「旬のものって思いのほかお客さんに喜んでもらえる」と感じていた時期でもありました。
「お客さんたちに、『この辺りでも、レモンがなるんですか!』『地元のみかんでも、こんなにおいしいんですね』などと興味を持ってもらえて、とても好評だったんです」
そんなこともあり、すぐに行動に移した茶野さん。活動家の方に連れられて、伝統野菜ののらぼう菜を栽培する農家に出向いたのが最初で、それからは茶野さん自ら農家を開拓したり、逆に農家から声がかかるなどして、「ベーグルカンパニー」と地元農家の輪は次第に広がっていきました。
「農家さんたちは、自分たちの育てた農作物が、ベーグルになるのをとても喜んでくれていて」と話す茶野さん。そんな風に地元農家といい関係を築いてきたわけですが、それ以外にも茶野さんは地産地消に役立つための活動をしていました。それは、たとえばお店でイチゴのベーグルが並ぶ時期になると、お客さんに「とってもおいしいから、よかったら農家さんのところにイチゴを直接買いに行ってあげて」と言って農家さんを紹介したり、店のブログに農家のサイトのリンクを貼って宣伝したりすること。
「そうすると、お客さんって地元の人が多いから、農家さんを訪ねて購入してくれるんです。買った野菜や果物に感動するだけでなく、農家の方たちに親切にしてもらえるのを喜んでくれたりもして。農家さんも農家さんで、直接買いに来てもらえると喜びが一段と深まるようで、そんなやり取りを見ると、私も嬉しくなります。小さな活動だけど、そんな些細なことが結局は地元を元気にするっていったら、すごくおこがましいんですけれども」
ベーグルチップスで、食品ロス削減を
店内を眺めているとふと目に止まったのが、「ベーグルチップス」という商品。売れ残ってしまったベーグルを生まれ変わらせるために考えたものだとか。
「天気を読んでも外してしまうときがあり、雨降りなどでベーグルが売れ残ってしまうことがあります。愛情を持ってつくったものが売れないって、やっぱり心が折れてしまったりするんですよね。でも、『ベーグルチップス』があればそうはならず、フードロス削減にもつながるし、すごい助かります」
そのままワインのお供やおやつにするほかにも、アイスクリームに添えたり、クルトン代わりにするなど、さまざまな楽しみ方ができ、買い置きしておけばなにかと重宝しそうです。
「『向ヶ丘遊園に行くと面白いよ』とか、『農家さんのところに行って、農作物めぐりもできるよ』ってなったら、すごく楽しいかなーって」とも話す茶野さん。素材のおいしさが詰まったベーグルを提供し、地元をより魅力的にするために行動する、そんな素敵なベーグル屋さんでした。
<撮影/山田耕司 取材・文/諸根文奈>
ベーグルカンパニー
044-900-8700
10:00~18:00
日・月休み
神奈川県川崎市多摩区東生田1-2-12-101
最寄り駅:小田急線「向ヶ丘遊園駅」
https://bagelcompany.jp/
(通販あり)
https://www.instagram.com/bagelcompany/?hl=ja