• 世界の暮らしには、私たちの知らない美しいもの、おいしいもの、たくさんの楽しみがあります。本連載では、約4年半、ミャンマーで暮らした経験を持つ、今野まやさんが出合った、美しいアジアの手仕事、暮らし、文化を紹介します。今回のテーマはものが生まれる瞬間です。大自然と寄り添う暮らしとともに、お楽しみください。

    夏が来るたびに思い出す、ミャンマーの美しい海

    家族で何度も訪れたイガパリの美しいビーチ

    こんにちは。moringa(モリンガ)の今野まやです。

    いまは大変な状況下にあるミャンマーの平和を心から祈りながら、本連載ではミャンマーの素晴らしさ、現地での暮らしや経験、モリンガを通して学んだことなどをお伝えしたいと思っています。

    夫の転勤で始まった家族4人のミャンマー暮らし。滞在中の4年半には、国内のいろんなところを旅しました。美しい自然が広がるミャンマーの景色は、私にとっても家族にとっても、見るたびに帰りたくなる大切な場所です。

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    私たちが暮らしたヤンゴンは、年間平均気温が30度近く、そして雨季と乾季がある熱帯モンスーン気候エリア。

    雨季は、雨、雨、雨の日々です。嵐のようなスコールが日常のため学校のイベントや催しもなく、主に家でゆっくり過ごし、完全オフモードのリラックスシーズンになります。

    (ちなみに、雨といっても、ゲリラ豪雨のようなもので、ドドドーーというど迫力の雨音です)

    そのため、海への旅は主に、乾季の12月から4月に楽しみます

    旅が気持ちいい季節になると、子どもたちの学校を通して知り合ったお母さん同士で「あそこが素敵だったよ」「ここは絶対行くべき!」などと情報交換。子どもたちも、「あの子は今週末、海に行くって」とワクワク、ソワソワ。次はどこに行く? と家族でも盛り上がります。

    なかでも記憶に残る美しい海を、2箇所紹介したいと思います。

    美しい秘境のアラカンロッジ

    画像: ロッジの前に広がるビーチ。こんなに毎日夕日を眺めたのは人生初めての経験でした

    ロッジの前に広がるビーチ。こんなに毎日夕日を眺めたのは人生初めての経験でした

    ひとつ目は、ミャンマーの西部、ラカイン州・アラカンのロッジ。まさに秘境のイメージです。

    仲良しファミリーから「ここは楽園!」と聞いて以来、「いつか絶対に行ってみたい!」と強く憧れていた場所でした。

    現地での夫の仕事が落ち着き、日本への帰国も見えてきた頃、思い切ってアラカンへの旅を計画。いよいよミャンマーの楽園へ出発です。

    目的地のアラカンは辿り着くまでがそれはそれは長い道のりで、ヤンゴンから車で9時間ほどかかります。

    舗装された道ではなく、まさに自然道。片方には原生林の山がそびえ立ち、もう片方は深い崖という細い道をひたすら進んでいきます。いま思い出してもトラウマになるほどの恐怖の道のり

    なかなか手軽に行ける場所ではありませんが、その分、自然の姿をそのまま残すアラカンの海はとても美しいものでした。

    広く白い海岸には、ロッジ以外は何もありません。ただただ、美しい海と、静かな時間が流れるのみ。滞在して数日過ぎると、時計も携帯も見なくなります。

    空腹で目覚めたら、おいしい朝食でお腹を満たし、家族で海へ。疲れたら本を読んだり、トランプをしたり。そして、再び海に出かけて、夕日を見ながらボーと過ごす。ゆっくりと夕ごはんを食べたら海辺に座り、空から落ちそうな星を眺めながら星座の話をしたり。

    そんな1週間を過ごしていると、どんどん自分が浄化されていくようでした。

    画像: ロッジの厨房。アラカン族の村の方が調理してくれます。ピザ窯もあり、ゲストの子どもたちがスタッフと一緒にピザづくりを楽しむことも

    ロッジの厨房。アラカン族の村の方が調理してくれます。ピザ窯もあり、ゲストの子どもたちがスタッフと一緒にピザづくりを楽しむことも

    スタッフは、すべてアラカン族の村人で、ロッジの運営で村の暮らしが成り立っています。はにかんだ笑顔が最高で、チャーミングで魅力的。料理上手で、そして何よりみんな親切です。私と娘がクラゲに刺されたトラブルのときにも親身になって助けてくれ、いまでもとても感謝しています。

    画像: どこまでも広がるアラカンの静かで美しい海

    どこまでも広がるアラカンの静かで美しい海

    画像: 宿泊したロッジの室内。昼間は窓を開けて気持ちいい風を感じてのんびり過ごす

    宿泊したロッジの室内。昼間は窓を開けて気持ちいい風を感じてのんびり過ごす

    画像: ロッジの朝食メニュー。朝は洋食の手づくりパンか地元スタイルのライスで

    ロッジの朝食メニュー。朝は洋食の手づくりパンか地元スタイルのライスで

    画像: 部屋の前がもうビーチ。テラスに座って、海を眺めることもできます

    部屋の前がもうビーチ。テラスに座って、海を眺めることもできます

    ミャンマーのリゾート・ガパリ

    ガパリのビーチ。森の中のロッジも自然の景色の邪魔をしない

    西部のベンガル湾に面したガパリは、観光客も訪れるリゾートビーチです。ミャンマーの都市・ヤンゴンから飛行機で1時間くらいの場所にあり、アクセスしやすいのも魅力です。

    ミャンマー滞在中は、何度も訪れました。

    海沿いには、高い建物もなく、小さなロッジが並び、美しい大自然のなかでの時間を心ゆくまで過ごすことができるのです。

    食事も、ローカルの素敵なレストランが数件ありますし、ホテルでもおいしい食事をとることができます。元気があれば、ボートに乗って釣りに出るのも楽しいですよ。

    あまりにも大好きすぎて、ちょっとだけ秘密にしておきたい、そんな大切な場所です。

    滞在していたホテルのロッジ。ビーチまで歩いて1分なので、朝起きたらそのまま海に直行

    画像: レストランは海の上に

    レストランは海の上に

    ものが生まれる瞬間

    ガパリビーチの美しいサンセット

    旅で得る7日間は、ただただ大自然と向き合える贅沢な時間です。

    都心の娯楽もない分、起きる、食べる、運動する、寝るがルーティーンで毎日繰り返されます。1日の行動がとてもシンプルに。同時に心もシンプルになります。

    そして、暮らしに関わるもの、ひとつひとつも。

    余計なものが取り除かれた素の気持ちに心地よくフィットしたのが、天然素材から生まれたいいもの、人の手によってていねいにつくられたものでした。

    モリンガのビーチバックも、そんな豊かな旅での経験から生まれました。ミャンマーの美しい手織りの技術を使い、地元の大地でつくられるコットンで。

    手にとってくださった方にも、心地いい瞬間が訪れたらいいなと思っています。

    画像: ミャンマー中部にあるパコック地方の村で制作しているモリンガのビーチバック。海への旅の経験から生まれたバッグです

    ミャンマー中部にあるパコック地方の村で制作しているモリンガのビーチバック。海への旅の経験から生まれたバッグです

    画像1: ミャンマー滞在中の旅の記憶と、ビーチバッグと/モリンガ・今野まやの「アジアの手仕事」
    画像2: ミャンマー滞在中の旅の記憶と、ビーチバッグと/モリンガ・今野まやの「アジアの手仕事」


    今野まや(いまの・まや)
    モリンガ主宰。7年前に夫の転勤によりミャンマーへ移住。現地でミャンマーのものづくりに触れ、2016年、手織りの布を使ったテキスタイルブランドmoringa(モリンガ)を設立。2019年家族とともに帰国。
    インスタグラム:@moringahandmade
    facebook:https://fb.me/moringahandmade
    HP:モリンガ



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