旅の楽しみは、図書館のレシピ本とつくる時間
旅が大好きなKathyさん、スイーツ巡りするのかと思いきや。旅先で通うのは、お菓子屋ではなく図書館! ひたすら図書館にこもり、現地のレシピ本を読みあさると言います。ノートを見せてもらうと、手書きで写したレシピ。おいしそうなレシピを見つけると、英語のレシピを読み解いて、試作するのがなにより楽しいそう。
「はじめてアメリカを旅したのは20歳のとき、L.A.でした。友だちとディズニーランドやユニバーサルスタジオに行きましたね。20代半ばくらいから、一人で行くようになってからは、観光はめっきりしなくなりました。たいてい1ヶ月くらい旅するので、キッチンがある部屋に泊まって、自炊。日中は図書館にこもって本を読み、ファーマーズマーケットで材料を集めてつくる、それが楽しみなんです」
Kathyさんにとっては、宝探し。どこにいてもつくる時間がしあわせです。
お菓子も本も、つくる過程が楽しい
本が大好きで、自分でも本が出したかったという、Kathyさん。これまでに3冊のレシピ本をつくりました。撮影も文章もデザインも、みんな自分で! ページをめくると思いが溢れ出して、わくわくします。
1、2冊目は「Friendship Cooking」。
友だちに料理してもらい、レシピをおしえてもらってつくりました。
「ふだん何気なくつくっている料理っておもしろいでしょう? お菓子じゃないことをあえてやりたかったし、みんながどんな料理をつくっているか、知りたかったから、1冊目は友だちのレシピを集めた料理本になりました。
取材という名目で、友だちを訪ねて旅行がてら出かけられるし、その人といっぱい話すことで、お互いを知ることにもつながる。1冊目がすごく楽しかったから、2冊目も!」
京都・大山崎COFFEE ROASTERSの中村さん、STOCKの佐藤さん、キッチンみのりの山上さん……、2冊目には京都でおなじみの店主や料理家もお目見えします。
3冊目は「CINEMATIC SWEETS」。映画の中に出てくる、お菓子のレシピ。はじめて、自分のレシピだけでつくった、一冊です。
「コロナ禍で、取材にも行けないので、自分一人で打ち込んでできるものをやろうと。映画が大好きでいつかやってみたかった、このテーマを選びました。DVDで一本一本見直して、気軽につくれるものから、試作を重ねて厳選した15のレシピです。映画もやっぱりヨーロッパより、アメリカ! しっくりくるんです」
「マイブルーベリーナイツ」のブルーベリーパイ、「シェフ」のベニエ、「ジュリー&ジュリア」のアーモンドチョコレートケーキ……。好きな映画からつくるもよし、つくってから映画を観るもよし、夢が広がる一冊です。
本だけでは伝わらないものを、伝えたくて
ご縁がつながって、いまでは東京でも教室を主宰。京都と東京、行き来を楽しみながらつづけています。
「お菓子は途中で味見ができない。料理と違う、そこが難しいところで、お菓子づくりは過程がとても大事なんです。つくり方を説明するだけでは伝わらない、そこを伝えたい。だから、オンラインレッスンは私には向いてないかなって思います」
感覚やコツを覚えてもらいたいから、対面にこだわって。
「食べたいからつくるというより、つくる時間が好き。何かをつくるために、準備することが好きなんです」
心の中にはもう、4冊目の本があるKathyさん。次もまた、Kathyさん自身のレシピになりそうで、お菓子とおなじ、本をつくる過程を楽しんでいるところ。つくることが、人生をおもしろくします。
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Kathy’s Kitchen
京都・元田中と東京・都立大学にてお菓子教室を主宰。スケジュールはHPにて。
インスタグラム:@kathybaker511
KYOTO
京都市左京区田中東春菜町32-2 The SITE内 南棟1F
TOKYO
東京都目黒区八雲1−8−7
宮下亜紀(みやした・あき)
京都に暮らす、編集者、ライター。出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。『はじめまして京都』(共著、PIE BOOKS)ほか、『本と体』(高山なおみ著)、『イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由』(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、『絵本といっしょにまっすぐまっすぐ』(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)など、京都暮らしから芽生えた書籍や雑誌を手がける。
インスタグラム:@miyanlife