森に行きたいなぁ……
小さい頃から大好きな絵本があります。いわむらかずおさんの「14ひきのシリーズ」です。
小学2年生の頃、学校の図書館で絵のかわいらしさに心惹かれて手にすると、そこにはネズミ家族の日々の営みが、これまたかわいらしく描かれていました。
もしかしたらこの小さな生き物は、私たちの知らないところで楽しく過ごしているのかもしれない。そんな風に考えると通学路の田んぼ道も雑木林も、なんだか見え方が変わってきました。
ネズミ家族が住んでいるんじゃないかと、木の根元を探してみたり、枝の上で遊んでいるんじゃないかと背伸びしてみたり。
幼い私の想像力をくすぐって、森へと誘ってくれたのがこの絵本でした。
子供が生まれたら、絶対にこの絵本を買うと決めていました。こんな楽しくて可愛くて外に遊びに行きたくなる絵本は他にないと思うのです。
私はどうも小さい生き物の暮らしというものが好きらしいです。子供のおもちゃに「シルバニアファミリー」というものがあります。シルバニアの森に住む動物たちのドールハウスといえば想像しやすいですかね。
ウサギさんやクマさんやネコさんたちの家族、小さな家具、小さな食べ物、全部小さいけれど子供騙しじゃない精巧な作りの品々に、幼稚園児だった私は心鷲掴みにされてしまいました。
初めて買ってもらったシルバニアファミリーのセットは今も大切に我が家で飾られています。
シルバニアファミリーにも想像力を掻き立てられるものがあります。遊び方のルールがあるわけではなく、自由に遊べるところも好きなところです。余談ですが、お人形に名前がついていないのも、そういう目的があるらしいです。
それこそ子供の頃は毎日1話ずつ話を進めていました。これがなかなかおませな設定で。これは、ばあちゃんと一緒に見ていた昼ドラやNHKの朝ドラの影響です。幼いながらに昼ドラの「ぬかるみの女」というキャバレーの話が大好きだったのです。
想像しながらの1人遊びが好きだったせいか、高校生になってからは演劇に熱中しました。よくよく考えてみれば1人でやっていたごっこ遊びに、友達が加わって、本物と見まごうようなセットや小道具、衣装まで着けるのだから、これは贅沢で盛大なごっこ遊び。好きにならない訳がないですね。
今でも時々、森に行きたいなぁと思います。仕事で田舎の方に行くと待ち時間に虫を捕まえて遊んでしまいます。一度ロケ先にいた子供に笹舟を作って小川に流す遊び方を教えたら、すごく気にいってくれて、お礼に私の似顔絵を描いてくれました。こんな交流が今は1番楽しいなと思います。
大人になってから、お酒や夜更かしで大人の遊びはもう楽しみ尽くした感のある今、子供の遊びを習得してワクワクを増やしたいなと思っています。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。