• 天然素材にこだわった、安心でおいしいパン屋さんをご紹介。「365日」は、生産者さんとのつながりを大切に、契約農家から取り寄せた野菜や果物を使うパン屋さんです。オーナーは、菓子づくりや料理にも長年携わった経験を持つ杉窪章匡さん。その技術を生かしてつくる、絶品のパンをご紹介します。

    つくる人と食べる人の架け橋に

    国産小麦の風味が生きた、口溶けなめらかなパンを提供する「365日」。野菜や果物を使ったパンも多くありますが、その野菜や果物は契約農家から直接届くもので、そのほとんどがオーガニックや自然栽培のものなんだそう。契約農家の数はいまや60軒以上にものぼると、オーナーの杉窪章匡さんはいいます。

    「“生産者と消費者の間に立つ”という想いでやっています。生産者さんのセールスマンといったところですね。小麦はすべて国産小麦を使っていますが、一部の地域だけでなくあえて日本全国の小麦をつかっているのも、そのためです」

    画像: 店オープンの朝7時、または昼の12時頃に、最もパンの種類が揃います。ケーキやデリが並ぶのは、11時過ぎ

    店オープンの朝7時、または昼の12時頃に、最もパンの種類が揃います。ケーキやデリが並ぶのは、11時過ぎ

    画像: 契約農家による野菜や果物も店頭で販売。まるまるとした「太秋柿」は熊本の「にしだ果樹園」が手がけた、月読み自然栽培のもの

    契約農家による野菜や果物も店頭で販売。まるまるとした「太秋柿」は熊本の「にしだ果樹園」が手がけた、月読み自然栽培のもの

    画像: 「キッシュロレーヌ」をはじめ、野菜を使ったキッシュも定番

    「キッシュロレーヌ」をはじめ、野菜を使ったキッシュも定番

    独立して「365日」を立ち上げる前から、食材に強い興味を持っていたと話す杉窪さん。仕事とは関係なく、畑に見学に行ったり、農家のお手伝いをしたりしていたのだそう。

    「いい素材を使うことが何より大事だとずっと思っていて。それには、何がよくて、よくないかを理解して、目利きのように選べないとダメで。でも、それだけじゃなく、そもそも農業に興味があったというのもありますね。自然栽培でいうなら、循環や多様性といったテーマはすごくおもしろいです」

    そんな農家さんとの密なお付き合いを象徴するパンが、「ハタケ」です。その名のとおり、畑に見立てたパンで、和風フレンチトーストに野菜をのせたものなのだそう。いただいてみると、キッシュのような甘い生地から、ほんのりと漂う滋味深い香り。それは、なんと赤味噌でした。

    画像: 「ハタケ」の野菜は、その日に農家から届いたもの。この日は、スイスチャード、チンゲンサイ、ケール、ホウレンソウでした

    「ハタケ」の野菜は、その日に農家から届いたもの。この日は、スイスチャード、チンゲンサイ、ケール、ホウレンソウでした

    聞くと、こちらは店の人気パン「100%=ソンプルサン」のリメイク商品。「100%=ソンプルサン」をキッシュのアパレイユに浸し、赤味噌とタプナード(オリーブやアンチョビを使ったソース)、クレーム・エペス(発酵させた生クリーム)を合わせたものを上にのせ、“土”を表現。その“土”に野菜と自家製ベーコンをたっぷりとのせています。

    「『ハタケ』をつくったのは、女性だけで営む三重県の農家さんの野菜を使って何かやりたいと思ったのがきっかけです。赤味噌をそのまま使うと味が上品にまとまらないので、タプナードと合わせました。食材を掛け合わせるときは風土に合ったものがいいと考えているんですが、三重県は大平洋側で、ヨーロッパでいうと地中海側のようなもの。地中海といえばオリーブやアンチョビなので、タプナードにしたんです」

    そんな発想が生まれるのも、杉窪さんがパティシエとして長年レストランで働いた経験を持つからこそ。職種はパティシエでも、レストランの厨房にいると料理をつくらされるため、料理の腕が随分と鍛えられたそうです。

    画像: スタッフの指導にあたる杉窪さん。これまで培った技術やパンづくりの考えが、スタッフたちに引き継がれています

    スタッフの指導にあたる杉窪さん。これまで培った技術やパンづくりの考えが、スタッフたちに引き継がれています

    画像: 全粒粉とライ麦の生地に、クルミと無農薬の天日干しレーズン、クランベリーが詰まった「ノワレザン」。ハードチーズをのせワインと一緒にいただいてもおいしい

    全粒粉とライ麦の生地に、クルミと無農薬の天日干しレーズン、クランベリーが詰まった「ノワレザン」。ハードチーズをのせワインと一緒にいただいてもおいしい

    お菓子の技術もパンに生かして

    パティシエの経歴がもっとも長い杉窪さんならではともいえる、菓子の技術を応用したパンが食パンです。「北海道×食ぱん」は、小麦、牛乳、バターのすべてを北海道産のものでつくった食パンで、バターの芳醇な香りが楽しめるリッチなパン。

    画像: 「北海道×食ぱん」は、北海道の農家、前田さんがつくる「はるきらり」を使用。福岡産の小麦と生クリームを使った「福岡×食ぱん」もあり、食べ比べてみるのも楽しい

    「北海道×食ぱん」は、北海道の農家、前田さんがつくる「はるきらり」を使用。福岡産の小麦と生クリームを使った「福岡×食ぱん」もあり、食べ比べてみるのも楽しい

    画像: 食ぱんは、耳が薄いのも特徴的。耳の部分が主張せず、さらっと食べられます

    食ぱんは、耳が薄いのも特徴的。耳の部分が主張せず、さらっと食べられます

    いただいてみると、驚いたのはその食感。すーっと溶けていくようで、口溶けのよさは格別です。

    「バターはグルテンを出すのを阻害してしまうので、普通、バターは最後に入れるんです。でも余分なグルテンが出てしまうので、ひきが強くなったり口溶けが悪くなったりする。なので、うちでは、最初からバターを入れます。

    クッキーとかでやるんですが、サブラージュといって、小麦とバターをすり合わせてつくる製法があるんです。そうするとグルテンの発生が抑えられ、サクサクした感じになる。パン生地をつくるときに、その状態を最初につくってからグルテンを出しているので、余分なグルテンが出ないんです」

    画像: パティシエとしての技術とセンスが堪能できるケーキも並びます。見るからにおいしそう!

    パティシエとしての技術とセンスが堪能できるケーキも並びます。見るからにおいしそう!

    画像: 「十勝エッグフォレスト ネラの卵のプリン」は、養鶏家にお願いして独自の飼料で育ててもらっている鶏の卵を使用。卵の上品な風味となめらかな食感がたまりません

    「十勝エッグフォレスト ネラの卵のプリン」は、養鶏家にお願いして独自の飼料で育ててもらっている鶏の卵を使用。卵の上品な風味となめらかな食感がたまりません

    パンだけでなく、料理にもお菓子づくりにも深く携わってきた杉窪さん。おいしいものをつくるには、いい素材を使うことが何より大切と考え、その考えが、食べる人とつくる人を結びつけることへとつながりました。生産者の想いが詰まった素材の豊かな味わいを、そのパンからぜひ感じとってみてください。

    画像: お菓子の技術もパンに生かして

    <撮影/山川修一 取材・文/諸根文奈>

    365日
    03-6804-7357
    7:00〜19:00
    無休
    東京都渋谷区富ヶ谷1-2-8
    最寄り駅:小田急線「代々木八幡駅」、東京メトロ千代田線「代々木公園駅」
    https://ultrakitchen.jp/
    https://www.instagram.com/365_nichi/



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