日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
12月7日 6時57分
二十四節気・大雪(たいせつ)
雪が降り積もり、あたり一面白銀の世界に
冬将軍が到来し、山々では大いに雪が降り、積雪も進むころ。
平地でも雪が降り、豪雪で大変な地方も見られます。
とくに日本海側での積雪は、ここ数年記録的な数字を見ることが多く、雪の事故などのニュースも耳にします。
自然を侮らず、その恵みを受けながら、冬景色やウインタースポーツを楽しみたいものです。
大雪の期間の七十二候
12月7日から12月11日ごろ
大雪初候・ 閉塞成冬[そらさむくふゆとなる]
実りの秋が終わり、あらゆる動植物が冬の支度に入るころ。
冬も本番。
野山や森の木々も、春の芽吹きまでは息をひそめているかのようです。
山の動物たちも冬眠に入ります。
12月12日から12月16日ごろ
大雪次候・ 熊蟄穴[くまあなにこもる]
「蟄」とは“こもる”という意味。
動物たちが冬ごもりに入る時期で、 熊も冬眠するころということを表しています。
動物たちが冬の眠りにつき、雪に覆われた山は静か。
まるで山全体が眠っているかのようです。
12月17日から12月21日ごろ
大雪末候・ 鱖魚群[さけのうおむらがる]
“鱖魚”は「けつぎょ」と読みますが、一般的に「鮭」のことを指します。
この七十二候には、産卵のために大量の鮭が川をさかのぼるころという意味が込められています。
誰が教えたわけでもないのに自分の川に戻る。
その習性は千古の昔から変わりません。
やがて力尽きた鮭も、野鳥や熊の餌となり、自然の営みとして循環していきます。
その実が黄色に色づくころ。
冬が間近のしるしです。
◇ ◇ ◇
* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
◇ ◇ ◇
*本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
*二十四節気、七十二候の日付は2021年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。