• 東京・松陰神社前にあったカフェ「カフェロッタ」は、2021年9月、20年の歴史に幕を閉じました。店主の桜井かおりさんは、どんなときでも“楽しみ”を見つけるのが得意です。さて、今日はどんな“楽しみ”が見つかるでしょうか。今回は番外編、花と手紙にあふれた、カフェロッタのしあわせな最終日のお話です。

    花いっぱいの最終日

    最終日のまかないは、スタッフみんなが大好き、わたしも大好きなご近所さんの『美の輪寿司』の巻き物を10分弱でちゃちゃっとつまみました。(流し込んだが正しいかもー)

    営業が最後の日、全国から立派なお花が届き、また店頭でもたくさんの花束をいただき小さなロッタはまるでお花畑のように。

    画像: 花いっぱいの最終日

    『最後の日はロッタちゃんにきれいなお花をたくさん飾っておめかししてみなさんをお迎えしよう計画』はあったものの、最後の1ヶ月はなんかもう日々忙しすぎてお花のことなど頭から欠落してました。たくさんお花をいただけておめかしできてよかったね、ロッタちゃん。

    わたしが好きなおやつもわたしが大好きなアルコールもお店が開けるんじゃない? ぐらいたくさんいただきました。きっと食事もできていないだろうとすぐ食べれる差し入れも。

    お客さまからのラブレターが力に

    まるでラブレターのようなお手紙も用意していた缶缶(カンカン)から溢れるほどいただき蓋が閉まらなーい! ことに。

    お店のオーナーさんにお手紙なんて書いたことありますか? わたし、ないです。みんな想いを伝えて素敵。

    画像: 20年でいただいた数々のお手紙は、わたしの宝物

    20年でいただいた数々のお手紙は、わたしの宝物

    『ロッタを作ってくださってありがとうございました』の一行には胸がいっぱいになりました。

    わたしの責任は、とにかく最後まで体調崩さないこと。元気に店に立つこと!

    そのために普段と変わらず毎日よく食べ、よく飲み、よく笑いを心がけていたけど、それでも今だから白状しちゃうけど持病(めまい)が出てしまったり寝れなくなっちゃったり、あと体重もすこしだけ減ってくれていました。笑

    1時間の時間制限、15分で食器を下げて洗ってテーブルや椅子を消毒、そして次のお客様をお迎えするをたしか5回転したのかな? いや、6回だったかな?

    スタッフが次のお客様を迎える準備をバタバタとしてくれている間、わたしは本にサインをしたりご一緒にお写真を撮ったりおしゃべりをしたり。

    きっと夕方の予約時間のわたしたちはボロボロバサバサだったと思う。すみませんでした。

    画像1: お客さまからのラブレターが力に
    画像: 自分でタイルを貼った棚も、20年どうもありがとう

    自分でタイルを貼った棚も、20年どうもありがとう

    画像: 欠けちゃった部分も愛おしい

    欠けちゃった部分も愛おしい

    閉店後、「あーぁ、終わっちゃったね」といただき物のビールを呑みながら片付けをはじめているとサプライズで友人たちが次から次に会いに来てくれて。

    コロナ禍で打ち上げもできない時だったのでなにも考えていなかったけどおかげでロッタらしく笑いの中であたたかく小さな打ち上げができたこと、あの日のあの時間は一生わたしは忘れないでしょう。ほんとうにみんなありがとう。

    画像2: お客さまからのラブレターが力に

    拙著の『おわりに』の最後に『自分には花の首飾りをかけてあげたいです。』と書きました。

    この日、友人から贈られたかわいい花の首飾りがわたしにはかけられていました。

    お・し・ま・い。

    読んでくださってありがとー!

    画像3: お客さまからのラブレターが力に

    <撮影/林紘輝>



    画像4: お客さまからのラブレターが力に

    桜井かおり(さくらい・かおり)

    文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。いまは、文筆業や、買い付けなどを行う。初の著書『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)が好評発売中。

    インスタグラム:@kaorilotta



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