リビングのテラコッタタイルを探しに、サルベージショップへ
イギリスでは、去年から新型コロナウイルス感染防止のための規制が少しずつ緩和され始めました。そろそろ親戚、友人を家にお誘いできるようになるのをきっかけに、重い腰をやっと上げ、我が家のリビングルームの改装をスタートしました。
デザインを練り、まずは素材探しです。床のビンテージのテラコッタタイルを探しに、時おり、好きで訪れるサルベージショップ(古い建築素材や置き物屋さん)にリサーチに行ってみました。
古民家などから出た古い木材、フック、ドア、石像などが、所狭しと敷地に並べられています。やっぱり、オンラインショップより、触った感触や色を実際に確認できる実店舗見が好きです。
夫はやる気、工事はDIYでやることに
このお店で、お目当てのテラコッタタイルを見つけることができました。ハンドメイドでつくられているから、一枚一枚、個性があります。さっそく、オーダーしましたが、その前に、まずは、セメントで固められた床を、どうにかしなければなりません。
職人さんに頼もうと考えた私の横で、床暖房やタイルの敷き方のYouTubeを見始めた夫は、もう自分でやる気満々です。私も歳を重ね、少し丸くなったのか、本人に任せることに決めました。
夫がドリルで床を削っている間に、私と子どもたちは、お店で長く外に置かれていたので、苔や土で汚れているタイルを、せっせとスポンジで洗います。
工事中はベッドの下に避難する愛猫たち
家の中は、削られたセメントのほこりと、ドリルの音で、すごい状態です。猫のディエゴとココは、ベッドの下に隠れて出てきませんが、作業が止まると、ときどき、好奇心の強いココのチェックが入ります。
スペーサーを入れて目地の幅を均一にして、床の表面が平行か確認しながらの作業です。やっとセメントを剥がせたら、少しづつタイルを敷き始めます。ハンドメイドで表面と横がでこぼこしているタイルを貼るのは、初心者には難しいのですが、「自分でやる!」と宣言した夫は、もう後には引けません。
一枚一枚、丁寧に敷いて、目地を入れ、タイルの上にはコーティングを塗り、完成です。
DIYは家族の時間
床のタイル敷きが終わり、次は壁のペンキ塗りです。このリビングルームには、建てられた当時の板のパネルが残っています。このパネルと壁の色をそれぞれ違う色、2色に決めました。
ペンキ塗りは子どもたちの出番です。子どもたちも成長し、きっとこの家が家族みんなで改装に関わった最後の家になるんだろうなと思うと、なかなか感慨深いです。
最後は照明です。
コッツウォルズの小さな街 ストラウドにある、古い工場などの照明を扱うショップに行ってきました。元々、古い羊毛の工場を利用されたショップです。
どれもすてきでしたが、ひとつ、形、色がとても柔らかいデザインの照明に目が留まりました。部屋の真ん中ではなく、コーナーに照明を取り付けました。照明が付いて、なんとか、出来上がった小さなリビングルーム。
素材を、ひとつひとつ選ぶところから始まった改装でした。タイル洗いでは、子どもたちとゆっくり、いろいろな会話が出来、とても、豊かな時間が過ごせたと思います。ディエゴもココも、騒音には悩まされましたが、いまとなっては床暖房で大喜びです。
とはいえ、我が家の改装、まだまだスタートしたばかりです。亀のようなスピードですが、気長に、ゆっくりと改装を楽しんでいきたいと思います。
<撮影・文/コヅエ ガーナー>
コヅエ・ガーナー
神戸市出身。イギリス・コッツウォルズ在住。ソフトファニシング・インテリア、風水インテリアデザイナー。2008年からMistyInteriorをスタートし、ロンドンを中心に活動している。