• 寒さがゆるめば、山菜がおいしい季節。ちょっとした下ごしらえで、春の息吹を存分に感じる食卓に。料理サロン「野菜の食卓」主宰の白戸啓子さんに、うるいのおいしい調理法と下ごしらえの仕方を教えていただきます。
    (『天然生活』2018年5月号掲載)

    うるいの特徴

    画像: うるいの特徴

    おいしい時期:5~7月(露地)/2~4月(ハウス栽培品)

    さわやかな風味とぬめりが特徴。あくはほとんどないため、さっとゆでるほか、生食も可能。独特の歯ごたえを楽しみたい山菜。

    ※「おいしい時期」は、その年の気温や天候、地域などによって前後します。また、促成栽培ものは、時期が早くなります。

    うるいのおいしい調理法と下ごしらえの仕方

    名前は知っているけれど、どう扱うか、どう食べるかが、わからない。そんな声におこたえして、下ごしらえの基本とおすすめの調理法などを紹介します。

    調理法

    塩ゆでして、あえものやおひたしに。あえものは、黒ごまやからしマヨネーズなど、コクのあるあえ衣と相性がいい。炒めもの、天ぷら、汁の実にも。または、生食でサラダに。キュッキュッとした独特の歯触りと若干のぬめり、ほのかな苦味を味わう。

    下ごしらえ

    とくに必要なし。

    保存方法

    湿らせた新聞紙に包んでから、ポリ袋に入れる。切り口を下にして立て、冷蔵庫の野菜室で2〜3日保存可。

    いまは‟贅沢”な存在の山菜。本来はとても身近な食材

    山菜には、‟贅沢”な印象があります。ほんの少し、アクセント的に味わう嗜好品に似た存在。ところが、白戸啓子さんいわく、「昔は‟それしか食べるものがないから”山菜を多く食べていた」そう。

    「現在は季節に関係なく野菜が流通しているけれど、本来、山菜が出まわる早春は、野菜の端境期。この時季に食べられるものって、山菜くらいしかなかったんですよ。本来は、贅沢どころか、とても身近な食材。昔の人は、食べづらいような食材も、生きるためにどうにか工夫して、食べられるようにしていたんですね」

    また、山菜といえばあくが強いため、下ごしらえが面倒なのも、つい敬遠してしまう理由。けれど、扱いの簡単な、あくの少ない山菜も、実は幾つもあるのです。

    「多くの野菜が春を問わず流通している状況で、いまも山菜だけは、春のひと時しか出まわりません。そういった意味では、いまはもう、‟贅沢”な存在ともいえますね」

    春の山菜は、その一瞬を逃したら、もう次には、出合えないかもしれない存在。さて、今年は、幾つの春を楽しめるでしょうか。



    〈取材・文/福山雅美 イラスト/はまだなぎさ〉

    白戸啓子(しらと・けいこ)

    2005年に立ち上げた、野菜に特化した料理サロン「野菜の食卓」主宰。2008年から「伝統野菜プロジェクト」のメンバーとして、出身地である青森をはじめ東北地方や山間部に残る伝統野菜や料理、暮らしの知恵を現代に活かす活動を長く続ける。2013年に野菜のおすそ分けのバッグの本『新聞で作るナチュラルエコバッグ』(自由国民社)を上梓。ワークショップを都内で定期開催する。2020年に埼玉県ときがわ町の山間部に移住し、地元の採れたて野菜と向き合う生活をスタート。http://vegefull.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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