• 天然素材にこだわった、安心でおいしいパン屋さんをご紹介。東京都文京区にある、根津神社のほど近くにある「ベーカリーミウラ」は、3種の自家製酵母を使いガスオーブンで焼き上げる、滋味深いパンを届けるパン屋さん。子どもの頃からおいしいものに目がなかったという店主、飛田憲彦さんにお話を聞きました。

    小麦の特性を生かした、ほどよいしっとり感

    「僕は生まれも育ちも東京なんですが、両親の実家が島根の奥出雲町にあり、農家をしていて。子どもの頃から長い休みになると遊びに行っていたんですが、土地で採れたものをいつも食べさせてもらっていましたね。そのおかげで、野菜を食べると『この野菜は味が濃いな』と感じたり、自然とおいしいものに敏感になったように思います」

    そう話すのは、千駄木にある自家製酵母のパン屋さん「ベーカリーミウラ」の店主、飛田憲彦さん。店名の“ミウラ”というのは、神奈川県の三浦半島からとったもので、もともとは逗子で営業。生まれ故郷の東京に戻ることになり、逗子から出張販売によく訪れていた馴染みのあるこの地へ、2017年に移転しました。

    画像: 小麦は8割が北海道産、残りは長野県産。粉の風味が楽しめるパンが並びます

    小麦は8割が北海道産、残りは長野県産。粉の風味が楽しめるパンが並びます

    画像: 心温まるほっこりした店内。地元のお客さんがほとんどという、地元密着型のパン屋さんです

    心温まるほっこりした店内。地元のお客さんがほとんどという、地元密着型のパン屋さんです

    画像: パン好きのお母さまの影響で、子どもの頃から大のパン好きだったという飛田さん。数々のパン屋さんやイタリア料理店で修業を積みました

    パン好きのお母さまの影響で、子どもの頃から大のパン好きだったという飛田さん。数々のパン屋さんやイタリア料理店で修業を積みました

    全粒粉の酵母、ルヴァンリキッド、牛乳酵母の3種類の自家製酵母を、パンによって使いわけ。全粒粉の酵母には、玄麦を農家から直接仕入れて、使う分だけをその都度、電動石臼でひいた全粒粉を使っています。全粒粉の酵母は、パンの味に奥行を持たせるため、すべてのパンに入れているのだとか。

    全粒粉の酵母で焼き上げた「ペカンナッツとチェリー」は、有機のペカン(ピーカン)ナッツとドライチェリーを練り込んだパンで、粉の香り豊かな生地と、ドライチェリーのキリリとした酸味、ペカンナッツのコクが溶け合います。

    画像: 女性のお客さんに人気という「ペカンナッツとチェリー」。クリームチーズを塗ってもおいしい

    女性のお客さんに人気という「ペカンナッツとチェリー」。クリームチーズを塗ってもおいしい

    画像: 中には具材がごろごろ。「ペカンナッツはバターのようなコクがあって、酸味の強いものと合うんですよね」と飛田さん

    中には具材がごろごろ。「ペカンナッツはバターのようなコクがあって、酸味の強いものと合うんですよね」と飛田さん

    「ベーカリーミウラ」のもうひとつの特徴は、ガスオーブンで焼き上げること。「ガスオーブンじゃないと、店をやらない」と決意し、「ガスオーブンの使用許可が下りる物件」というのが、物件探しの第一条件だったそう。

    ガスオーブンのメリットは、生地の水分を残した状態で焼き上げてくれることで、ほどよくしっとりとした食べやすい生地に仕上がります。また、数日経って硬くなっても、リベイクすれば、おいしく食べられるのだとか。

    画像: 機械や車いじりが得意の飛田さん。「このガスオーブン、タイマーがなかったので部品を買ってきて自作したんですが、もとからついているみたいでしょ」。さすがの腕前です

    機械や車いじりが得意の飛田さん。「このガスオーブン、タイマーがなかったので部品を買ってきて自作したんですが、もとからついているみたいでしょ」。さすがの腕前です

    さらに、ガスオーブンなら短時間で焼き上げることができるのも、大きな利点。パンは大きく焼いたほうがおいしいといわれますが、大型パンもガスオーブンなら難なく焼くことができます。飛田さんも大きく焼くことを意識しているそうで、「ライ麦パン」は、なんと幅90cmほどもあるビッグサイズで焼かれます。

    画像: ずっしり重い、特大サイズの「ライ麦パン」。スライスして量り売りもしてくれます

    ずっしり重い、特大サイズの「ライ麦パン」。スライスして量り売りもしてくれます

    「ライ麦パン」にはドイツ産有機ライ麦が使われ、ライ麦は使う分だけ前日に挽くことで、香りが華やかに。酸味もうま味も鮮烈で、自然のエネルギーに満ちた力強い味わいがします。

    「うちで、一番おいしいパンですね。甘いのにもしょっぱいのにも合います。ハチミツを塗ってもおいしいし、パルミジャーノ・レッジャーノを削ってかけて、オリーブオイルをつけて食べるのもおすすめ。洋風、和風問わず、どんなおかずとも合うように、配合を考えてつくっているので、白いご飯の代わりにしてみてください。カレーと一緒に食べてもおいしいですよ」

    画像: お店は谷根千エリアにあり、根津神社のすぐ近く。街散策の途中で、ぜひ立ち寄ってみてください

    お店は谷根千エリアにあり、根津神社のすぐ近く。街散策の途中で、ぜひ立ち寄ってみてください

    画像: サンドイッチやピザなど、軽食にぴったりのパンも。この日のピザは、ブロッコリー、レンコン、玉ねぎ入りで、野菜たっぷり

    サンドイッチやピザなど、軽食にぴったりのパンも。この日のピザは、ブロッコリー、レンコン、玉ねぎ入りで、野菜たっぷり

    画像: 牛乳酵母に使われているノンホモ牛乳のほか、チーズやヨーグルトなど、島根の木次乳業の乳製品も売られています

    牛乳酵母に使われているノンホモ牛乳のほか、チーズやヨーグルトなど、島根の木次乳業の乳製品も売られています

    「製法で最もこだわっているのは、水分の抜き差し」と飛田さん。「最近は、高加水のパンが流行っているようですが、そういう流行りには疎くて(笑)。それよりも、小麦の特性を見極めて、生地によって多めに水分を入れたり、逆に水分を抜いたりと、喉ごしがよくなるように考えてつくっています。たんぱく質の量のこととか、小麦の特性については製粉会社さんが詳しいので、情報をもらって参考にしていますね」

    画像: 名物の「コーンチーズ」。ひと口頬張ると、コーンの甘さとチーズのうま味が口いっぱいに広がります

    名物の「コーンチーズ」。ひと口頬張ると、コーンの甘さとチーズのうま味が口いっぱいに広がります

    画像: 中には十勝産の大粒コーンとマリボーチーズがぎっしり。表面をモッツァレラチーズが覆います

    中には十勝産の大粒コーンとマリボーチーズがぎっしり。表面をモッツァレラチーズが覆います

    国産小麦のほかにも、有機のナッツやドライフルーツを使うなど、パンに使う食材は、自然の力を蓄えたおいしいものを選択。サンドイッチのフィリングはマヨネーズからすべて手づくりで、焼き菓子のペースト類も自家製。「買ってきたものはゼロですね。厨房のなかでつくったもので完結しています」という飛田さん。どれも手を抜かず、ていねいに。そうして生まれたパンは、心と体に養分を与えてくれる、自然の恵みに溢れたパンでした。

    画像: 小麦の特性を生かした、ほどよいしっとり感

    <撮影/林 紘輝 取材・文/諸根文奈>

    ベーカリーミウラ
    03-5834-8972
    8:00~18:00 ※月曜のみ11:00〜18:00で、食パンと限定サンドイッチの日
    火・水休み
    東京都文京区千駄木2-2-15 原野ビル1F
    最寄り駅:東京メトロ千代田線「千駄木駅」、「根津駅」



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