(『天然生活』2020年7月号掲載)
カビ対策は “掃除” よりも “予防” が大切
「わが家は入居してから、浴室にカビが生えたことがないんです。家の定期点検時、床下などにも生えていないことがわかって業者の方も驚いていました」
そう語るのは合成洗剤を使わない「ナチュラルクリーニング」の講師を務める、本橋ひろえさん。
企業で合成洗剤を製造した経験や化学の知識を基に、汚れの特性を見極め、自然な洗浄剤で家じゅうを簡単に、きれいに保つ方法を10年以上、伝えてきました。
自身の経験からも、カビは、掃除よりも予防に力を入れてほしい、と本橋さん。
カビの胞子は目に見えなくても、空気中に漂い、好みの汚れに付着して菌糸を伸ばします。
実は、黒カビなど目に見える状態まで進むと、すでに根が深く、除菌はできても、黒ずみまで落とすのは至難の業。それよりも、カビが生える条件を防ぐほうが、掃除が難しくないそう。
「一度、 “リセット掃除” をしてみては? 梅雨入り前がチャンスです。この時季に汚れや雑菌を取り除いておくと、梅雨以降のカビの繁殖を効果的に抑えられます。気温が上がってあぶら汚れもゆるまり、水仕事もしやすいですしね」
ただし、洗剤や道具の選び方や掃除法を間違えると、カビを増やすことにつながるそう。
正しい対処法をしっかり身につけましょう。
【これはNG!】やっていませんか? 間違いだらけのカビ対策
正しく対処ができていないと、掃除自体がカビの原因になることも。思い当たることがあれば、要注意です。
×× これは NG! ××
黒や赤のカビがないから対策は万全
カビの胞子は、花粉と同じく、室内の空気中を漂う、目に見えないもの。黒カビや赤カビが生えている個所がなくても、気温が高くなる前に対策が必要
×× これは NG! ××
できたカビを落とすのが「カビ掃除」
黒いカビになったときには菌糸が伸び、すでに根が深い状態。除菌はできても、黒ずみを取りきるのは難しい。初期段階で食い止める掃除が大切
×× これは NG! ××
強力な洗剤ほどカビの除菌に効果的
黒カビの染みが落ちないからといって、強力なアルカリ性洗剤を使うのは、人体への影響が心配。除菌だけなら、アルコールを使えば十分できる
×× これは NG! ××
場所別に専用の洗剤を使っている
浴室用や台所用など、場所別の洗剤はほぼ同じ成分の中性洗剤。主成分の合成界面活性剤は、カビの栄養となる油脂が原料で、すすいでも落ちにくい
×× これは NG! ××
台所などのヌメリは中性洗剤で洗う
台所のシンクや浴室につくヌメリは、汚れではなく、カビ。中性洗剤で洗うと、かえって栄養を与えることに。こすり洗い後にすすぎ、しっかり乾かすこと
×× これは NG! ××
押し入れや靴箱の壁は水ぶきする
水分は、カビの生える大きな原因のひとつ。換気が悪く、湿気がこもりやすい場所での水ぶき掃除は、厳禁。水の代わりに、早く乾くアルコールを活用
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〈監修/本橋ひろえ イラスト/ホリベクミコ 構成・文/秋山香織〉
本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
ナチュラルクリーニング講師。北里大学衛生学部化学科卒業後、化学薬品企業に就職。自身と子どものアトピー体質をきっかけに、掃除や洗濯、洗剤を科学的に解説する「ナチュラルクリーニング講座」をスタート。著書に『ナチュラルおそうじ大全』『ナチュラルおせんたく大全』(ともに主婦の友社)などがある。天然生活本誌にて「季節のナチュラル掃除と洗濯」を連載中。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです