今の私なら、できそうな気がする
そうだ、フォカッチャをつくろう。私は思い立ちました。フォカッチャならいけるかもしれない。
以前もこちらのコラムで書かせて頂いたのですが、私はずっとパンづくりに憧れています。いつかは、すごい手さばきで、すごいパンをつくって、ムフムフ微笑むのが夢なのです。
皆さんはご存知でしょうか? アマゾンプライムに、「ベイクオフ」という番組がありまして、プロではないアマチュアの皆さんが、出されたお題に対してお菓子やパンをつくってトップを競い合うという、それはそれは私好みの番組があるのです。
日本版が最近配信されましたが、元はイギリスの番組で、日本版とイギリス版、どちらも観ているのですが、アマチュアの皆さんの成功や失敗を観ていると、「私もやってみたい。失敗してもいい。挑戦することが大事なはず!」という気持ちがムクムクと湧きあがってくるのです。
とはいえ、私は何度かパンづくりに挑戦していますが、コメントに困るような出来栄えの物しかつくれていません。その出来栄えをご覧ください。
見た感じ良さそうですか? ハロウィン仕立てのパンは、初めてつくった代物ですが、これはもはやパンではありません。良く言えばスコーンのような食感。正直に言えば乾いた紙粘土です。
ドーナツ座布団のようなパンは? これは異様にしょっぱくて食べられる物ではありません。
と、こんな仕上がりですので、これは勉強と経験を重ねるしかないと理解したのです。ところが、「ベイクオフ」を観ていると、今ならできそうな気がしてくるではありませんか。
ちょっとした、コツや注意点なんかが、情報として入ってくるおかげかもしれません。あとは、とりあえず突っ走ってみるB型射手座の性格かな。
そこで思ったのが「フォカッチャつくろう。」なのです。フォカッチャは割と初心者向きのパンらしいです。さすが学んだだけのことはあります。いきなりハードなパンはつくりません。
絶対成功させるぞ。材料を揃えて、スケジュールを決めました。
ところが、この日につくると決めてワクワクしていた日に限って、娘の保育園から呼び出しが。
鼻水ダラダラで苦しいらしく、泣きじゃくる娘。薬を飲んで一旦落ち着いたものの夜に熱が出て、夜間までやっている病院に駆け込みました。
ようやく熱も下がって、寝てくれた。と思った時、自分の夕飯の材料が何もないことに気がつきました。
今からフォカッチャつくる? いや、それは狂気の沙汰です。家に何かないか探してみると、ホットケーキミックスがありました。それを焼いて食べている時に思ったのですが、ホットケーキミックスって、めちゃくちゃ有能ですね。
「こんな簡単に、こんな美味しいホットケーキがつくれるなんて…… もうこれで良くないか?」
フォカッチャをつくるのはだいぶ先になりそうです。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。