ようちゃんから学ぶ「いまを大切にする生き方」
「猫甲状腺機能亢進症」のようちゃんの「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)=生活の質」をアップすることを目指して、わが家で投薬治療以外でしていることを少しご紹介します。
現在闘病中のようちゃんのために、まずは「フードの質の向上」「ホメオパシーや乳酸菌の摂取」「経絡マッサージ(本やwebから情報を得て)」などがあります。
そして、偶然の出会いで知り合った「アニマルコミュニケーター」さんを通じて、ようちゃんと、茶トラのロンのいまの気持ちを聞く、ということを度々しています。
「アニマルコミュニケーター」とは、動物たちの気持ちを言葉に置き換えることができる能力、技術を持つ方のお仕事です。
私はようちゃんから、たくさんのことを教えてもらっています。
ようちゃんはとてもマイペースに、病気である自分を受け入れて、自分自身の身体と心と向き合っているように見えます。
過去への後悔もなく、未来への不必要な不安もなく、ただ淡々とありのままの「いま」をのんびり、きっと楽しく、生きています。マインドフルネス(いまこの瞬間を大切にする生き方)ってこういうこと?
そんな姿に私は何度も胸を打たれました。
”信じるか信じないかはあなた次第”というところもあるかもしれませんが、私自身はアニマルコミュニケーターさんを通じて、ロンとようちゃんと話ができたことで、より深い信頼関係を持てるようになったと感じています。
対話を通して1番ハッとした言葉は、 ロンの言葉として聞いたこの言葉です。
「あやちゃんはようちゃんのことを”病気のようちゃん”としか見てないよ。ようちゃんは病気になっても変わらず呑気で優しく明るいようちゃんだよ。ようちゃんをただのようちゃんとして、明るく、いままで通り接して。ようちゃんもそれを望んでいるよ」
と、諭されました。
そうなんです。私は「こんなに痩せてかわいそう。毎日お薬飲んでかわいそう、、泣」という感情が先に立ってしまい、ロンのいう通り「ようちゃん=かわいそう」と心のどこかで思ってしまっていました。
そして、そのアニマルコミュニケーターさんからは「ようちゃんの本来持っているからだの力を信じてください。たくさんほめて、大丈夫だよ、大好きだよ、と声をかけてくださいね。心配する気持ちは痛いほど分かりますが、『心配』を『信頼』に変えてください」と、メッセージをいただきました。
この言葉はいまもずっと胸の一番深いところに残っていて、ようちゃんが体調を崩しがちになるといつも思い出しています。
「ようちゃんは強い子だから大丈夫だよ。がんばってて偉いね。大好きだよ」と、声に出して伝えながら身体を撫でています。
言葉にすると不思議なもので、自分自身も落ち着いてきます。
病気は悲しい体験かもしれませんが、闘病をきっかけに、より深くお互いを理解することができた気がします。
病気が発覚してからそろそろ4年。
時に、低気圧だと下痢や嘔吐で体調が悪い日が続くこともあり、何度か覚悟をしましたが、病院の先生と相談しながらその時にできる精一杯のお世話をして、ようちゃんの身体を信じていたら、6月16日に16歳のお誕生日を迎えることができました。
ようちゃん本当にすごい!
抱っこすると羽のようにふわりと軽くなってしまったけど、調子の良い日は、「おかえり~」と玄関にゴロンとお出迎えしてくれます。ドアを開けてようちゃんが待っていてくれると家に帰ってきたんだな、と、とても安心した気持ちになれます。
”いつも通り”を過ごしているようちゃんは、たまに失敗しちゃうけど、トイレもいつもの場所でする努力をしてくれています。
夜明けごろ、気配を感じてふと目を覚ますと、ようちゃんが顔の近くで、大きな黒目がちな瞳でこちらをじっと見つめていることがあります。
ようちゃんにそっと触れると、その小さくなった身体をわたしのすぐ側で横たえて、ぐるぐるぐるぐる、と小さく低い音で喉を鳴らしてくれます。
そうして、ようちゃんのお腹に頰を寄せて「神様どうかもう少し長くこうさせていてください」と祈 るのです。
仔猫のように小さくなったようちゃんだけど、いまでも毛並みはふわふわしていて見かけはずーっと可愛いまま。お客さまが来たらだれよりも玄関にお出迎えをしてくれて、みんながお茶をしているときはそっと近くに座って話を聞いている、ようちゃん。
みんなようちゃんのことが大好きだよ。
たくさんのミラクルを見せてくれるようちゃんを、これからも信じて、一緒に生きていきたいです。
砂原 文(すなはら・あや)
写真家。
明治大学政治経済学部卒業。インテリアや料理など、暮らしまわりの雑誌や書籍の撮影で活躍。ほか、写真展なども開催している。夫、娘、猫2匹と暮らす。写真集『pili』が発売中。
Instagram:@trans_parence721