(『天然生活』2019年12月号掲載)
持ちモノの量を数で把握する
以前は、着ないのに持っているだけの服を目にするたびに罪悪感でいっぱいに。
「かわいそうに、それらの服は、私の手元にある限りはずっと日の目を見ることはないんです。それに気づいた途端、あっさり手放せました」
現在は、1アイテム5着までと決めています。1着ずつ写真を撮るのは大変なので、アイテムごとに1カットで撮影し、その出力紙を見て管理しています。
「これが、むしろよかったんです。ひと目で見渡せるので、客観的に自分の傾向を知ることができます。服を着ている姿を他人の目にさらしているわけですから、いわば公共活動。清潔感を大切にしたいものです」
動線に合わせた順番でしまう
井田さん宅のキッチンの引き出し、片づいているのはもちろんですが、調理道具の分け方にルールがあります。それは、“使う順番”になっていること。
材料の下ごしらえ→調味料を量る→混ぜる→盛りつける……など、調理の流れごとにツールを分けているのです。
ちなみに仕切りは、牛乳パックで手づくり。
「市販の仕切りやボックスだと、幅が狭かったり、短くて柄が長いモノははみ出したり、結局、うまく収まらないことも多いのです。これなら、長さも幅も自分好みにできますから、ストレスなく使えますよ」
牛乳パックの内側はコーティングされているので汚れもふき取れます。
冷蔵庫は見やすく、取り出しやすく
食卓にすぐに出せる自家製ピクルスや、少し手を加えれば食べられる下ごしらえした野菜、豆腐や納豆などは手に取りやすい場所を定位置にします。
つい、買ったまま冷蔵庫に入れがちな納豆ですが、フィルムをはがして1個ずつにするだけで、使うときに手間がひとつ省けます。
「冷蔵庫を過信してはだめ。入れておけば安心、ではなく、できるだけ短い期間で、鮮度のよいうちに食べ切ります」
冷凍庫は、まとめてつくった常備菜などを分けて立てて保存がおすすめ。
「重ねてしまうと、下のモノは忘れ去られてしまいがち。プラゴミを減らすため、ジッパー付き袋よりも保存容器で」
枠を決めて、そこに入るモノだけをしまう
あれも必要、これもいつか役立つかも……。そんなふうに考えて、モノを減らせない場合は、先に枠を決めてしまうのもひとつの方法です。
「本はこの棚に入るだけ、文房具はこの引き出しに入るだけ、と枠を決めると、『はみ出したら、多すぎるので処分すればいい』とわかるので簡単です」。
枠を決めてモノを管理していくうちに、だんだん、自分自身が持つべき適正量もわかってきます。
代謝がスムーズになると、どんどんスペースが空いてきます。
「場所が空いたからといって、新しい何かで埋める必要はありません。余白を眺め、風通しのよさを楽しんでいればいいのです」
〈撮影/萬田康文 取材・文/福山雅美〉
井田典子(いだ・のりこ)
整理収納アドバイザー。横浜友の会(婦人之友 読者の会)所属。NHK総合テレビの情報番組「あさイチ」などで、“片づけの達人” “スーパー主婦”として紹介され、話題となる。著書に『「ガラクタのない家」ー幸せをつくる整理術』(婦人之友社)など。
https://idanoriko.jimdo.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです