(『天然生活』2020年9月号掲載)
買い物は、自分が幸せになるために何かを選ぶ行為
「買い物は未来をつくる“投票”です」。
そう語るのは、貧困や環境問題に取り組むNPO法人「NGO GOODEARTH」代表の藤原ひろのぶさんです。
「そもそも買い物は、自分が幸せになるために何かを選ぶ行為。幸せとは、自分の人生にとって有益な“もの”や“こと”に、いかに時間を費やせるかで決まってきます。
自分が幸せを感じられるものやことにお金を使うことは、その“幸せの価値”を社会に広めることになる。それが“買い物は投票”と言われる理由です」
では、どんなお金の使い方をすることが、私たちにとって幸せなのでしょうか。
「もちろん、幸せの価値はそれぞれ違います。でも、だれもが衝動買いをして、後悔した経験はあるはず。それはお金も時間もむだにしてしまうだけで、幸せなお金の使い方ではないですよね」
自分なりの基準でお金の使い道を選ぶ
そこで大事なのは、自分なりの基準と意志を持ってお金を使うこと。
たとえば、その基準のひとつに、困っているだれかのため、未来の環境を守るために、というのもあるかもしれません。
「世界には、栄養失調の子どもを抱えて途方に暮れている母親や、ごみを漁って生き延びている子どもたちもたくさんいます。環境が汚染して健康を損なったり、自然が失われたりもしています。
しかも、それらの問題は、いまの私たちひとりひとりの生活スタイルと結びついています。だからこそ、何にお金を使うか、もう一度、真剣に考えてみたいですね」
とはいえ無理をしても続かないので、自分の身の周りでできることから始めたいもの。
いくら“いい”といわれているものでも、自分にとってベストとは限らないので、自分なりの選択基準を持つことがとても大切です。
「だれかに感謝されたり、何かに貢献したりすることは、それをする私たちにとっても喜びとなります。たとえば、環境のためによい商品を選ぶことは、地球や遠くのだれかのためだけでなく、自分の幸せにもつながります。
大切なのは、“してあげている”という感覚ではなく、自分ごととして一緒に参加する意識だと思います」
お金はあくまでも幸せを実現するための手段です。
自分がどうありたいか、何をしたいのかを考えて、有意義なお金の使い方をしたいですね。
〈監修/藤原ひろのぶ イラスト/山元かえ 取材・文/工藤千秋〉
藤原ひろのぶ(ふじわら・ひろのぶ)
NPO法人「NGO GOODEARTH」代表。貧困や環境問題に取り組み、日本で講演をしながら、バングラデシュで食事の提供と学校建設を行う。共著に『買いものは投票なんだ』(フォレスト出版)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです