(『天然生活』2020年9月号掲載)
自分なりのもの選びの基準を持つことが、自分らしい暮らしをつくる
「自分なりの基準を持つということは、何に“幸せの価値”を感じるかということ。それは人それぞれ違ってOK。値段の安さを価値だと思う人もいれば、高いことに魅力を感じる人もいます。
自分なりの価値基準が明確であるほど、その基準でものを選ぶことが人生の満足度につながると思います」
ただし、価値基準を支える知識は必要。たとえば、手頃な価格で香りのよい柔軟剤がいいと思っていても、合成香料の強い香りにアレルギー反応が出てしまうことも。
「そういう体験をすると、それまでの自分の価値基準がひっくり返ることも。もし、香りの害をこうむる前に“香害というものがある”と知っていれば、もの選びの基準が変わっていたかもしれません。自分にとって価値のある基準を持つために、広く、正しいことを“知る”ようにしたいですね」
知識を得ることで、自分が本当に大切にしたいことが何か、冷静に見極められるようになります。
たとえば……どちらが食べたい?
きれいな海で育った魚
汚れた海で育った魚
体験にお金や時間を使うことが、人生を豊かに
自分なりの基準を持つための知識を得るにはどうしたらいいのでしょうか。
「知識を増やしてくれるのが、“体験”。体験を重ねると視野が広がり、価値基準もそれに合わせて変化して確固たるものになります。これからはものを買うよりも、そういう体験にお金や時間を費やすことが大事になってきます」
いつも市販の切り身を買っていると、海で魚を見ても食べられるのか、食べられないのかがわかりません。ナイフを使って魚をさばく体験をしていれば、いざというときに自分の生活を自分で守ることもできます。
「いざというときのための体験の必要性をふだんから感じるのは難しいかもしれません。しかし、たくさんの体験から知識を得て、本当に必要なことを見極める目を養うことは、心豊かな毎日を選び取ることになります。それは個人だけでなく、社会の幸せな未来にもつながっていきます」
たとえば……キャンプをすると
〈監修/藤原ひろのぶ イラスト/山元かえ 取材・文/工藤千秋〉
藤原ひろのぶ(ふじわら・ひろのぶ)
NPO法人「NGO GOODEARTH」代表。貧困や環境問題に取り組み、日本で講演をしながら、バングラデシュで食事の提供と学校建設を行う。共著に『買いものは投票なんだ』(フォレスト出版)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです