しその薬膳的効能ついて
食卓でおなじみのしそ。実は、葉と茎と実は少しずつ異なる効能を持ち、それぞれが漢方薬として使われます。
たとえば、9月頃から生えてくるしその実は、「紫蘇子(しそし)」という漢方薬の生薬(そのまま製薬の原料とするもの)にもなっている薬効の高い食材。
発汗を促して解熱したり、胃液の分泌をよくして胃腸を整えたり、魚介の毒を予防するなどの働きがあるとされています。
しその葉も同様な働きを持つ、「蘇葉(そよう)」という名の漢方薬です。
しそはとても強い植物なので、プランターや小さな庭でも手軽に育ち、こぼれ種でどんどん繁殖するので、ぜひ育ててみてください。
夏は葉を、秋は実を存分に利用できます。
【保存食】しその実の塩漬け&しょうゆ漬けのつくり方
香り高く、プチプチとした食感がもち味のしその実。炊きたてごはんにのせたり、ごはんに混ぜておにぎりにしたり。お豆腐にかけてもおいしいです。
塩漬けやしょうゆ漬けにすると長期間保存でき、重宝する保存食になります。
しその実は、先端に花が少し残っているくらいのタイミングで収穫すると、かたすぎず食べやすいですよ。
材料(つくりやすい量)
〈塩漬け〉 | |
● しその実 | 50g |
● 塩 | 6g(しその実の重量の12%) |
〈しょうゆ漬け〉 | |
● しその実 | 50g |
● しょうゆ | 適量 |
つくり方
1 しその穂を洗って水けをきる。穂先から根元に向かって指の腹でやさしくしごいて、しその実をはずす。
2 アク抜きをする。塩分濃度3%(分量外)のたっぷりの塩水に、1を2時間〜ひと晩漬けてアク抜きをする。
3 塩漬けをつくる。2をざるにあげ、さらしなどで水けをしっかり拭いてから密閉袋に入れ、塩を加えてもみ、空気をしっかり押し出して口を閉じる。冷蔵庫で2〜3日おく。
4 しょうゆ漬けをつくる。2をざるにあげ、さらしなどで水けをしっかりふく。煮沸消毒した密閉性の高い瓶に入れ、全体が浸かる程度のしょうゆを加える。ラップなどで表面を覆い、ふたをする。冷蔵庫で2〜3日おく。
※冷蔵庫で2〜3カ月保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」