(『脱白髪染めのはじめかた』より)
血流が悪くなりがちな頭皮はケアが必要
血流のスムーズな循環には、筋肉のポンプがきちんと働き、血液を送り出す必要があります。
ところが、最も髪の勢いを大切にしたい頭頂部の頭皮には、筋肉がありません。筋肉に付随する太い血管もなく、あるのは毛細血管のみ。そのため、とても血流が悪くなりやすいのです。
私たちが悩む薄毛や白髪の問題は、ほとんどここに原因があると言えます。
毛細血管は髪を作り出す毛母細胞に繋がっていて、酸素や栄養を送り、健康な髪を作っています。
ここの血流をよくするには、側頭部や後頭部など筋肉がある部分から動かしていき、頭頂部に血流を促してあげるといいのです。
頭頂の血流がよくなれば、硬さも和らぎ、ふっくら柔らかい頭皮を維持できます。
ブラッシングやシャンプーではこの頭部の筋肉の位置を意識しましょう。
朝に、夜に、気づいたときに、ブラシ1本で頭皮マッサージ
大人の女性のブラッシングは、髪よりもむしろ頭皮にします。
頭皮マッサージを毎日続けるのは難しいですが、ブラシを介して行うと心地よさもあり、習慣にしやすくなります。しかも指先より頭皮に当たる面積が大きいので、まんべんなく頭皮の血流を促すことができます。
ブラシ選びのポイント
ブラシはピン先に触れるとしなるくらいのやわらかなタイプがおすすめ。ピン先が曲がらない硬いブラシや、頭皮に当たると痛いものは、地肌に小傷をつけてしまうので使わないようにしましょう。
ブラッシングのやり方
1 側頭筋〜僧帽筋(そうぼうきん)
耳上あたりにブラシをぴったり当て、耳上の側頭筋から僧帽筋にかけて数回とかす。先に頭皮用美容液や育毛剤をつけてから行うと浸透が高まる。
2 僧帽筋〜後頭筋
頭を下向きにし、血流が頭頂に向かうよう 意識しながら襟足から上に向かって数回とかす。
3 後頭下筋群
後頭部の骨の出っ張りのすぐ下にブラシをピタッと当て、小さく円を描くように動かす。頭全体がポカポカしてきたら、血流がよくなってきた証拠。
4 前頭筋
額に少しかかるように、生え際にブラシをタテにピタッと当て、小さく円を描く。スタンプを押すように移動させていく。
5 帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)
全体に血流を行き渡らせるように、斜め、前、横からとあらゆる方向からとかす。毛細血管のすみずみまで血流を送る。
本記事は『脱白髪染めのはじめかた』(グラフィック社)からの抜粋です
<イラスト/IKULA>
伊熊奈美(いくま・なみ)
1972年生まれ。美容エディター・ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会 毛髪診断士 認定指導講師、(社)国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修する。特にヘアケアに精通し、現代の毛髪科学に基づいた知見をリアルな生活に取り入れやすくするメソッドに定評がある。集英社『LEEweb』、朝日新聞土曜版『be』など連載多数。講演活動も幅広く行う。また、最新の化粧品や家電等に触れてきた経験から、美容関連企業のコンサルティングやプロモーションにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)がある。
インスタグラム:@namiikuma_hairista
http://hairista.jp
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