我が家におもちゃのピアノがやってきました
先日、娘を連れてやしろ優ちゃんのお家に遊びに行かせてもらいました。
優ちゃんの息子くんとは歳も近くて、色んなこと参考にさせてもらっています。
そんな中、優ちゃんの家で娘が食いついたのが、おもちゃのピアノ。
コストコで5千円くらいで売っているらしいんですが、そこはさすがの優ちゃん。メルカリでゲットしていました。
おもちゃのピアノって、おもちゃにしては、なかなかいいお値段ですよね。
「誰かくれないかな。」と、ぼんやり思っていたら、「オレが買う!」と夫が豪語して、我が家にコストコのおもちゃのピアノがやってきました。
そしたらこれ、なかなかちゃんとピアノなんです。
娘は朝起きると、ここへ最速ハイハイで駆け寄って、ジャンジャカかき鳴らすようになりました。そうなんです。楽しいんです。
私も遊びでそれを弾いていたのですが、ムズムズとピアノ弾きたい欲が出てきたので驚きました。
何を隠そう、私は4歳から中学3年生までピアノを習っていました。ところが、先生もお手上げ状態の下手くそっぷりでした。
運動神経の悪さなのか指が回らない、楽譜もなんとなくしか読めない、聴音と言って、先生が引いたフレーズを楽譜におこすっていう練習があるんですが、これに至っては一度も100点もらえずにいました。11年のキャリアはなんだったのか。
だから、憧れはあるものの自分の実力にガッカリしちゃって、中学3年生以降はピアノに触らずに生きてきたのです。
それがここにきて、ムズムズとピアノ弾きたい欲が湧き上がってくるなんて。
そこで、ピアノスタジオを2時間レンタルして弾いてきました。大好きなジブリの曲を弾くのです。中学の頃に練習していた物より、はるかに簡単な楽譜を買いました。そしたらどうだったと思います。
そこそこ弾けました。本当にそこそこ。つっかえつっかえ、あの頃よりだいぶ見えづらくなった楽譜のオタマジャクシに目を凝らし、更に動かなくなった指を精一杯回らせて。
ところが、そこそこで落ち込んでいた中学時代とは違った感情が湧きました。
40歳になるまで、ずっと弾いていないのに、そこそこ弾けるってすごいよ! 久美子! と、自分で自分を褒めてあげたい、有森裕子さんの気持ちになったのです。
あの頃はもっとちゃんと弾けないとダメだと思っていました。憧れの曲もこんなんじゃ弾けないと、基礎練習ばっかり。誰にも聴かれたくなくてコソコソと。
でも40歳の久美子は、もうそんな風にピアノを弾きません。好きな曲を下手くそなりに、かき鳴らすのです。間違っていても心の赴くままに、かき鳴らすのです。疲れを知らない子供のように!
この歳になって、変なプライドがなくなったのか、やりたい事に夢中になれる自分を発見して、少し嬉しくなりました。
あれ? もしやこれは芸術の秋ってやつでは? ずっこけピアノ演奏ですが、これも芸術ということで、いっちょよろしくお願いします。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。