もう執着は手放して、コーヒーを飲んで「ヒュッゲ」しよう
部屋をキレイにすることを諦めました。
新年早々なんて情けない宣言してるのよ。と、自分でも思いますが、薄々感じてはいたのです。私の家はキレイになりません。
掃除機はかけています。お風呂もトイレも洗面所も磨いています。埃は……あります。物は元にある場所に戻しています。でもその途端に床に広がる物、物、物。
犯人は私ではありません。1歳の娘がおもちゃのみならず、手に届く範囲の物は全て掴み取り、床にばら撒くという鬼の所業を繰り返しているのです。
出かけるための荷物をまとめて、あとはここにお財布を入れるだけだからと、少しチャックを開けておこうものなら大惨事。詰めこんだはずの全ての物が、再び床にばら撒かれています。
「あ、荷物チェックしてくれたんだぁ。わぁ~い。」と力なく呟き、再びカバンに物をしまっているときの徒労感は言葉になりません。
娘本人はとっても楽しそうなので、注意はしますが怒る気にもなれず、怒ったところでまだピンとこないんだろうなぁ、なんて思っているうちにどんどん予定の時間が過ぎて、出かける前にどっと疲れ果てる私なのです。
高校生の時に演劇部に入っていたのですが、そこでとことん時間の使い方を指導されました。
全てを自分たちで作っていた私たち部員は、大会数日前まで台本が出来上がらないとか、大道具ができてないとか、小道具がないとか、そんなことがよくあって、顧問の先生にみっちり叱られていました。なのに本番はやってくる恐ろしさ。
あの日から私は、前もって分かることは、先に用意する癖がつきました。今の仕事も前日にスケジュール変わったり、あれが必要、あれがない! なんてことがよくあるので、シミュレーションして前もって予測できそうな事態に備えるという癖が。
それが私のよいところ。くらいに思っていたのですが、そんなものを手放す時がきたのかもしれません。
「前もって用意して、キレイにしておきたい。」というのは美点かと思っていましたが、もしかしたら、ただの執着かもしれない。
そんな執着は手放して、「明日のことは明日やる。明日のことなんて誰にも分からないんだから。」という、ある種の身軽さも必要なのかもしれません。
例えるならスナフキンのような、必要最低限の荷物だけ持って、今の時間をゆったり楽しむ余裕を身につけよう。こういうのを「ヒュッゲ」って言うんでしたっけ?
そんなこんなで私、散らかり放題の家を眺めながらコーヒーを飲んで「ヒュッゲ」しています。
「それ、片付けたくない言い訳じゃない?」と、勘づいた皆さん。
正解です。どうか内緒にしておいてください。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。