• 歳を重ねていくと、さまざまな不安が出てくるもの。ひとり暮らし歴40年以上の阿部絢子さんもそのひとり。不安とは「見えないオバケ」という阿部さんが行き着いたのは、不安や悩みの自己処理方法=自分流のオバケ解消法を持つこと。自分がどうしたいかを考え、選んでいくこと。阿部絢子さんの健康の不安との向き合い方について。
    (『ひとりサイズで、きままに暮らす』より)

    ひとり暮らしは、健康があってこそ

    ひとりが全ての基本だから、自分が倒れたらそこで暮らしはストップする。これが、ひとり暮らしの不安材料の一つでもある。

    若くて、体力や気力、持続力などがあるときは、倒れそうになってもカバーできる力が残っているが、年を取ったらそうもいかない。カバー力さえなくなってくるから、無理は禁物なのだ。

    画像: ひとり暮らしは、健康があってこそ

    ひとり暮らしは、年相応の健康な身体があってこそだが、といって若いときの体型や健康を求め、無茶な体力づくりや健康食品にチャレンジして身体を壊したり、経済的負担がかかっては元も子もない。

    友人の母は、 80歳を過ぎてから健康を気づかいジムに通い出したそうだ。80歳を過ぎてジムに行くというのがすごい! と私は思ったが、なんとその上、筋トレマシーンを使用したという。

    どれほど健康を心配したのだろうか。ジムでマシーンを使った直後は大丈夫だったそうだが、帰り道、歩けなくなるほど疲れきっていることに気がついた。

    「母は家まで辿り着くのもヘロヘロだった」と友人は言う。その後、二度とジムには行かなかったそうだ。

    それは当たり前だと私は思う。もちろん、年を取ったときの体力は人により違うが、これまで一度も体力作りをしてこなかった人が、急に歩いたり、走ったり、マシーンを使ったりして、すぐに体力が取り戻せるわけではない。

    私もこれまで体力作りなど考えたこともなかったし、何もしてこなかった。

    ところが最近になり、体重の増加に気づいて、熱量消費をしなければと住居区の無料ストレッチとリズム体操講座に参加してみると、思いのほか楽しかった。気に入ったのは、疲れるのだが、音楽に乗ってのリズム体操。

    ただ、それも通いたい気分のときにきままに行くので、一向に体重は減少しないし、体力維持もできているかどうか不明だ。

    健康づくりは無理せず自然体で

    画像: 健康づくりは無理せず自然体で

    年を取ると、誰しも体力維持を望み、健康願望が強くなる。とにかく元気でいたいのだ。

    それは、暮らしの不安が健康不安と直結しているからかもしれない。充実した暮らしは、自分が元気でいてこそ成り立つからだ。

    しかし、年を取るということは、体力低下、気力低下、集中力低下に少しずつ進んでいくということでもある。

    若いときと同じを求めてもしかたがない。年は年なり、自然体でいくしかない。無理してギアを切り替えようとしても、かえって不調になるばかりだ。

    無理できる人はほどほど無理していいが、無理のきかない人はなんでも少しずつ、自分流の自然体でギアチェンジするしかない。

    健康損ないはしかたがないと受け入れて怖がらずに、損ない方も人それぞれ自然体でいいのだと、考え方を切り替えていくといい。

    本記事は『ひとりサイズで、きままに暮らす』(だいわ文庫)からの抜粋です

    〈イラスト/樋口たつ乃〉

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    阿部絢子(あべ・あやこ)
    1945年、新潟県生まれ。共立薬科大学卒業。薬剤師の資格を持ち、洗剤メーカー勤務を経て、生活研究家・消費生活アドバイザーの経験を活かした、科学的かつ合理的、環境に配慮した生活全般にわたる提案をしている。また、世界各国の家庭にホームステイをし、その国の暮らし・家事・環境などを研究している。薬剤師として、現在も調剤薬局で働いている。主な著書に『キッチンに一冊 食べものくすり箱』(講談社+α 文庫)、『「やさしくて小さな暮らし」を自分でつくる』(家の光協会)、『ぶらり、世界の家事探訪 ヨーロッパ編』『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』(ともに大和書房)ほか、多数。

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    『ひとりサイズで、きままに暮らす』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

    『ひとりサイズで、きままに暮らす』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

    『ひとりサイズで、きままに暮らす』(阿部絢子・著/だいわ文庫)

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