浴衣を楽しみましょう
浴衣は夏祭りや花火大会に着るもの、今までならそうだったかもしれません。でも最近では、晩春から秋の初めまで、それぞれの時期に似合う色柄、素材、着こなしもあります。
存分に浴衣を活用してみませんか?
浴衣のいいところ①
きものよりリーズナブル
ほとんどの浴衣は綿生地でつくられます。
絹糸を織ったり染めたりしたきものより安価で、購入のハードルが低いのがうれしいですね。
洋服でいえばTシャツにデニムのような立ち位置になります。構えず気楽に取り入れてみましょう。
浴衣のいいところ②
お手入れができる
素材は綿(ときどき麻、ポリエステルも)。
裏地のない一枚仕立てなので、自分で洗えます。メンテナンスにお金がかかりません。
水に弱い絹と違い、汗をかいても雨に濡れても、うっかり食べこぼしても、怖がらずにチャチャっとお手入れ。いつでもさっぱり着られます。
浴衣のいいところ③
着付けや帯結びが簡単
浴衣に半幅帯なら、着付け教室に行かなくても、動画を見ながら練習すれば着られるようになりますよ。
もともと湯上がりに着ていたのだから、複雑なことは似合いません。帯結びも自由に、適当でいいのです。
「習うより慣れろ」でいきましょう。
浴衣のいいところ④
温暖化で着用期間も長く
昨今、5月や9月の真夏日も珍しくなく、体感的に「もう(まだ)浴衣でいいのでは?」と思う日も。出番は確実に増えています。
5月には5月の、9月には9月の季節感を上手に取り入れながら着れば、箪笥の肥やしにはならないはず。
浴衣のいいところ⑤
よそゆき浴衣も増えて
ここ数年、「これが浴衣?」と見紛うほどの単衣や夏きもの風のものも増えています。襦袢や帯によっては、立派な外出着にも!
半衿を入れる、帯締めや帯留めを加える、きれいな小物をプラスして、素敵なレストランにもいきましょう。
浴衣のいいところ⑥
きものへの助走として
きものは着たい、でもいきなりはちょっと……。そんな人にも浴衣がおすすめ。ローリスクで和装がはじめられます。
浴衣を通して自分の好みがわかり、きものとの付き合い方が見えてきます。
* * *
浴衣は男女に共通の衣服です。そして、子どもからおばあちゃんまで、どんな年齢でも着られます。江戸時代から庶民の夏を彩りました。
10代20代で着る浴衣は、弾ける若さでまぶしいほどキラキラ。30代40代、女盛りの美しさは、爽やかな浴衣姿によって匂い立つよう。50代で着る藍と白のコントラストは、女のゆとりを感じさせます。
「夏はいったいに人を若くする趣があるが、そのうちでもゆかたは六十歳以上の女をえらくきれいにする。」と書いたのは、随筆家の幸田文さん。心強いですね。
湯上がりとして素肌にまとったり、きもの風の装いで食事に出かけたり。モダンに、古風に、ポップにもシックにも。
みんなで着ましょう、出かけましょう。
本記事は『おとなの浴衣、はじめます』(技術評論社)からの抜粋です
〈撮影/豊田都〉
山崎陽子(やまさき・ようこ)
1959年福岡生まれ。マガジンハウスで雑誌『クロワッサン』『オリーブ』『anan』編集。その後、フリーランス。『クウネル』(マガジンハウス)『エクラ』(集英社)『つるとはな』創刊から編集、ライターとして参加。女性誌、ムック、書籍の編集、ライティングの仕事をしながら、洋服ブランド『yunahica』を立ち上げ。浴衣歴は11年に。インスタやさまざまなイベントでの肩ひじ張らない洒落た着こなしが人気。著書に『きものが着たくなったなら』『きものを着たらどこへでも』がある。最新刊『おとなの浴衣、はじめます」』発売中。
インスタグラム:@yhyamasaki
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長年ファッション誌やライフスタイル誌で活躍する編集者、山崎陽子さんが提案する、30代からの浴衣入門。浴衣は冬以外、1年のうち約5カ月、春先から秋口まで楽しむことができます。暑い季節が長くなったいま、できるだけ長い期間を着ることを考えた浴衣選びと着こなし、行き先に応じたコーディネートや着付けをわかりやすく紹介する1冊です。
イベント情報:
◇2023年5月12日〜14日 トーク会 (染と織たかはし・岡山)
◇2023年5月25日 トークイベント 京都きもの市場(丸の内KITTE・東京)
◇2023年5月24日~30日 イベント「ISETAN meets 山崎陽子 ~おとなの浴衣、はじめます~」( 新宿伊勢丹本館7階・ 東京)
(27日、28日 各日14:00 本館7階 呉服売り場にてトークショー開催))