街でカジュアルに浴衣を着こなす
ちょっとおしゃれして出かけるときは、洋服感覚のコーディネートで。都会的で洗練された街着スタイル。
・友人とのランチやお茶
・展覧会や映画、買い物
・ビストロでの食事
・和のお稽古ごと
コーディネート:浴衣+半衿+半幅帯+三分紐+帯留め足袋下駄 か 草履
洋服の友だちと会う日は、ワンピース感覚の色と柄で
昼間の時間帯にデパートへ買い物に出かける、あるいは洋装の友だちと会う。そんなときにあまりに浴衣然とした姿では場にそぐわないこともあります。
なるべく街に似合う現代的な色柄の浴衣を選び、おしゃれなアクセサリーをつけるような気持ちで帯留めを飾りましょう。半衿をつけ足袋をはき、少し高さのある履き物で、足もとにもお出かけ感を。
シャキッとした風合いの綿麻の変わり生地に、紺色の点々が水玉のように見える浴衣は「丸久商店」で。黄色い植物柄と黒のリバーシブルの半幅帯は「紺仁」のもの。帯の色に馴染ませるように黒に金彩があしらわれた小川郁子さんの切子の帯留めを飾りました。
三分紐と「ユナヒカ」のモチーフ編み巾着バッグも黒にして、街の風景に溶け込むように装います。ランチやお茶をしたり、買い物に出かける日は、シャープでモダンなテイストを加味し、洋服をコーディネートする感覚で。
トリコロールの上質着こなし、レストランでも堂々と
細かな柄を両面に染めた綿絽の長板中形に、ロートン織の半幅帯、瑪瑙の帯留めと三分紐。どれもとても手がかかった伝統工芸のアイテムです。
このくらいの繊細さがあると、浴衣とはいえおめかしした印象に。カジュアルだけれど上質というのは、いまの時代いちばん出番が多いスタイルかもしれません。紺、白、赤のトラッドな配色も、都会的な場所に似合います。
いまはつくられていない「島田染工場」の長板中形は年代を経たもので、知人からのお下がり。綿絽素材で涼しく柄も細かく優雅です。
帯は山下健さんによるロートン織、絹の光沢と軽さ、緻密な織りが美しい半幅。「シルクラブ」で見つけ、1年を通して愛用。オーバル型の瑪瑙は「銀座もとじ」、三分紐は「道明」で。おとなっぽい落ち着いた赤はいいアクセントになります。
レストランでの食事、展覧会や展示会、カジュアルな場面から少しエレガントに見せたいシーンまで、幅広く対応してくれるコーディネートです。
本記事は『おとなの浴衣、はじめます』(技術評論社)からの抜粋です
〈撮影/豊田都〉
山崎陽子(やまさき・ようこ)
1959年福岡生まれ。マガジンハウスで雑誌『クロワッサン』『オリーブ』『anan』編集。その後、フリーランス。『クウネル』(マガジンハウス)『エクラ』(集英社)『つるとはな』創刊から編集、ライターとして参加。女性誌、ムック、書籍の編集、ライティングの仕事をしながら、洋服ブランド『yunahica』を立ち上げ。浴衣歴は11年に。インスタやさまざまなイベントでの肩ひじ張らない洒落た着こなしが人気。著書に『きものが着たくなったなら』『きものを着たらどこへでも』がある。最新刊『おとなの浴衣、はじめます」』発売中。
インスタグラム:@yhyamasaki
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長年ファッション誌やライフスタイル誌で活躍する編集者、山崎陽子さんが提案する、30代からの浴衣入門。浴衣は冬以外、1年のうち約5カ月、春先から秋口まで楽しむことができます。暑い季節が長くなったいま、できるだけ長い期間を着ることを考えた浴衣選びと着こなし、行き先に応じたコーディネートや着付けをわかりやすく紹介する1冊です。
イベント情報:
◇2023年5月12日〜14日 トーク会 (染と織たかはし・岡山)
◇2023年5月25日 トークイベント 京都きもの市場(丸の内KITTE・東京)
◇2023年5月24日~30日 イベント「ISETAN meets 山崎陽子 ~おとなの浴衣、はじめます~」( 新宿伊勢丹本館7階・ 東京)
(27日、28日 各日14:00 本館7階 呉服売り場にてトークショー開催))