(『天然生活』2021年6月号掲載)
幸せな気持ちが広がる、見せる収納が暮らしの基本
昔は几帳面で、整理整頓が生きがいだったというエッセイストの麻生圭子さん。しかし、年齢を重ねるにつれてそれも負担になり、ロンドン在住時代に考えを一新。一見雑然としていても美しいインテリアを見たことで、必要以上にすっきりさせない、見せて飾りながら整理整頓する方向へシフトしました。
「若年性の感音性難聴が進み、音楽が聴けなくなり、心の調整はすべて目で行うようになりました。だから室内は便利さより、目で見て楽しめることを優先しています。好きなものは飾って見せる収納、好きでないものは見せない収納。見た目がすべて。それが私のルールかな」
オープンスタイルの台所では、ふだん使うけど見せたくないものは、見えない収納に。キッチン下の黒い容器に、ゴミ袋、洗剤、容器、調味料、乾物などの食料を入れて見えないようにしています。
見えない収納のための箱や缶にはセリアやイケアを活用していますが、目立たない黒などのダークな色と、シンプルな同じ形で統一するのがルール。
見えない収納には、すべてラベリングを徹底しています。クローゼットの高い場所に置いている箱の中身は、ラベリングのほかにスマートフォンやメモで管理することも。
「最近は記憶力があやしくて、ラベリングが役立つんです」
麻生圭子さんの整理整頓術
「飾る」と「ラベリング」で一目瞭然に
見せる収納は、心がワクワクする「飾る」収納。見せない収納は、「ラベリング」することでわかりやすくしています。
フックと足場板を使った、見せる台所収納
鍋やボードはフックで吊って見せる収納。煉瓦とユーズドの足場板を組んだ食器棚は麻生さんの発案。
「台所は好きなものを見せて飾る場所です」
脚立と足場板で、お気に入りの土鍋を一カ所に
ヴィンテージの脚立に足場板をかけたオープンシェルフは、そのときどきの気分でお気に入りのキッチン道具の収納棚として活用。
いまは重い鍋の定位置に。棚板は愛猫りんちゃんが登っても危険がないよう、しっかりとくぎで固定。
ラベリングで記憶力のサポート
キッチンの引き出しで雑然としがちな調味料や小物類は100均のボックスで美しく管理。キッチンでもクローゼットでも、ボックス収納は中身がわかるようにすべて表記することを徹底。
「夫にもわかるようにラベリングしていますが、自分の記憶力のサポートにも役立ちますよ」
同じ容器でそろえれば、見た目もすっきり
スプーンなどのカトラリーはガラスびんに入れて見せる収納、小物類は缶に入れてラベリング収納。容器は形をそろえるのがすっきりさせるコツ。
〈撮影/竹田俊吾 取材・文/西川公子〉
麻生圭子(あそう・けいこ)
作詞家とて数々のヒット曲を手がけた後、エッセイストに。京都町家暮らし、ロンドン生活を経て、現在は琵琶湖のほとりの家に住む。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです