(『天然生活』2021年6月号掲載)
家族もわかりやすい片づけの仕組みづくりを
年頃を迎えた子どもたちと暮らす毎日は、小さかったころとはまた別の悩みがあるようです。
昔は、「ちゃんと片づけようね」と促せば、素直に聞いてくれてもいたし、たとえ片づけられないとしても、親が勝手に片づけることになんら問題はありませんでした。しかし成長するにつれ、子ども自身も自我が出てくるし、個室に勝手に入るのも気が引けるという、以前とは少し違う悩みが生まれてきたと、石田さんはいいます。
「小さいころは、できなくてもまあいいか、と思えていたことも、『なんで散らかっている状態が目に入っているのに、さっと片づけられないんだろう?』なんて思ってしまいますよね。自分の部屋だけでなく、キッチンやリビングも、『ちょっと片づけてくれれば、楽なのになあ』なんて」
ふつふつと不満を感じていたけれど、日々、自分だけがイライラするばかり。そこで、発想の転換。
「私ばかりが片づける、という状態をやめました。それには、まず仕組みを変えること。家族もわかりやすい片づけの仕組みづくりを整えることにしたんです」
さらに、少しは目をつぶるのも、実は大切なこと。
「それぞれの個室の中までは、細かくいいません。リビングに服を脱ぎ散らかすのはダメだけれど、自分の部屋ならOK、と受け入れる。いきなりハードルを高くすると、だれでもやる気がなくなってしまいますから」
石田英子さんの整理整頓術
家族が片づけやすいように工夫する
「片づけて」と繰り返すより、簡単に片づけられるシステムをつくる。それが、自分も家族も心地よく暮らす秘訣です。
外出に必要なものは1カ所にすべて掛けて
息子さんの部屋には、イデーのコートハンガーを。
「ひょいと掛けるだけ。“ハンガーにかけてラックにかける”より、ずっと楽だし、雰囲気もいいです」
リュックや帽子もひとまとめ。
娘と共有するネイルはリビングにまとめて
以前は石田さんの部屋にあったもの。
「娘も使うようになり、しかも私の部屋には戻さず……妥協案として、ここに移動」
息子が忘れがちなマスクは玄関の専用かごに
つい、マスクを忘れて玄関を飛び出す息子さん。
「靴を脱いで2階に上がるのが大変なので、玄関に彼のマスク置き場を」
「ここから先はお願いね」と片づけを促す仮置き場
個室は基本的に、子ども自身の領域。洗い上がりの洗濯もの、渡しておきたいものなどは、個室のドアの前のカゴに入れておく。
清浄な空気を漂わせるグリーンは、片づけの味方
あちこちにグリーンが置かれている石田家。四季折々の草花がそこにあるだけで、空間にやわらかさがプラスされ、清々しい空気が漂う。
〈撮影/有賀 傑 取材・文/福山雅美〉
石田英子(いしだ・えいこ)
オリジナルデザインの家具や雑貨を取り扱うインテリアショップ「イデーショップ ヴァリエテ」柏店で店長を務める。2児の母。
webサイト:https://www.idee.co.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです