• あるものを最後まで使いきったり、再利用やリメイクをして生かしたり。小さなアイデアで、楽しく、やさしい暮らしを実践できます。文筆家・山本ふみこさんの、手を動かしてものを生かす、暮らしの楽しみをお届けします。今回は小物のリメイクや靴下を繕うお話。
    (『天然生活』2020年8月号掲載)

    モノが思いのほか、長持ちしてずっとそばにいる存在だった

    「たいして技術はないのにアイデアはわきやすいたちで(笑)。たとえば、この銀のしおりは、家にあったしおりに娘が昔、お土産でくれた指輪の石を付けたもの。サスペンスドラマを見ていたら同じ形のしおりを使う人が出てきて、『これだ!』と。こういう瞬間は飛び上がらんばかりにうれしいです」

    山本さんは若かりしころ、整理のために徹底して捨てる「捨て魔」だったそう。ところが生活を重ね「モノとの縁(えにし)を知るようになって」、考えが変わったといいます。

    「モノが思いのほか、長持ちしてずっとそばにいる存在だと実感したことが大きいですね。モノは私が捨てたら、そこで人生おしまい。そう思うと、やすやすと捨てられなくなりました」

    長らく同じ屋根の下で過ごしたモノ、家族や自分の思いが宿るモノ。創作のひらめきとともに大事な何かが再び日の目を見るのもまた、山本さんの喜びです。

    画像: モノが思いのほか、長持ちしてずっとそばにいる存在だった

    山本ふみこさんの家で楽しむ工夫
    使っていない小物をリメイクする

    画像: 思い出の品がしおりと指輪に変身

    思い出の品がしおりと指輪に変身

    着ける機会が減ったアクセサリー類は「ひらめき」を頼りにリメイク。写真右の指輪は、娘さんが小学生のときにプレゼントしてくれたネックレスの石の部分を生かしています。

    「指輪にしてまた使うようになりました。パーツはだいたい100円ショップで調達して、接着剤でくっつけるだけ。やり方はでたらめだけど、なかなかの出来で満足しています。モノはやっぱり使わないと、ですね」

    画像: いただきもののカフスボタンは手持ちのフープピアスと組み合わせて

    いただきもののカフスボタンは手持ちのフープピアスと組み合わせて

    山本ふみこさんの家で楽しむ工夫
    「やりたいこと」を風呂敷で包みまとめておく

    画像: 「母から受け継いだ鶴柄の風呂敷は気持ちを込めたものを包む、とっておき」

    「母から受け継いだ鶴柄の風呂敷は気持ちを込めたものを包む、とっておき」

    「時間ができたらやりたいこと」一式を風呂敷でまとめ、定位置にスタンバイ。いつも頭の片隅に置くことで、すき間の時間も逃さず、作業に向かいやすくなったそう。

    「『今度やろう』と思っているだけだと、忙しさにかまけて忘れてしまいがちです。しっかり準備して自分に引き寄せておけば、実行に移しやすいですよ」。

    ちなみに山本さんは大の風呂敷好き。仕事の資料なども風呂敷でまとめています。

    山本ふみこさんの家で楽しむ工夫
    靴下を繕う

    画像: 裏からフェルトをあてて頑丈に補強する。「もう、意地でも捨てないぞっていう感じでやっています」

    裏からフェルトをあてて頑丈に補強する。「もう、意地でも捨てないぞっていう感じでやっています」

    なんでもない繕いものをする時間も価値あるひととき。つい最近、タンスから引っ張り出して修理したのはご主人の靴下。実はこれ、サンタクロースの贈り物で……。

    「私以外の家族のところに毎年サンタさんが来るんです。これはだいぶくたびれていますが、いいお値段だったらしいので(笑)、何度も繕っています。特別な工夫とかはなくて、ただチクチク縫う、それだけ。でもそれがいいんです」



    〈撮影/有賀 傑 取材・文/熊坂麻美〉

    山本ふみこ(やまもと・ふみこ)

    随筆家。暮らしまわり、生活と社会を見つめる多くのエッセイを執筆。「ふみ虫舎通信エッセイ講座」主宰。『家のしごと』(ミシマ社)など著書多数。
    インスタグラム:@y_fumimushi
    ブログ:https://www.fumimushi.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.