(『Then&Now』より)
MOTTAINAI
無駄のない暮らしが日常です
断捨離が苦手なのは、流行は繰り返されると知っているから。そろそろ買い換えたらと言われるゴミ箱も、まだ使えるのなら使い続けたい。
ニンニクやショウガは旬の時期に家にたくさんあるものを冷凍し、無駄なく使いきる…。
これらはみんな私が大事にしている「もったいない」という考え方から。
「もったいない」は日本語にしかない言葉だそうで、環境活動の3R(Reduce:ゴミ削減、Reuse:再利用、Recycle:再資源化)を表すとして世界中に広まりました。
今ではかけがえのない地球や資源に対するRespect(尊敬の念)が込められ、「4R」という言葉となって広がっているそうです。
コンポストを始めたのは、家のベランダで普通の壺を使って小さな家庭用コンポストを実践している英国のテレビ番組を見て、これなら私にもできる! と思ったのがきっかけでした。
空いている素焼きの鉢を再利用して、今では庭に5つ。臭いのきつくない野菜を中心に、一週間から10日もするとふかふかの肥料ができあがります。あの虫たちはどこに行ったの? と不思議に思うくらい、それはもう感動のひと言。
すべては時とともに土に還るということですが、上手くいかないと腐ってしまうし、上手くいけば良い肥料ができる。これを繰り返していると、ふと人生と擦り合わせて納得したり、大切なことに気づかされてハッとしている自分がいます。
SDGsってどうしても見た目をカッコよくはできないけれど、自分なりに工夫を重ねてできることを無理なく続けていければいいと思っています。
アンナさん流、「もったいない」を暮らしにいかすヒント
ホームメイドパイとチャーミングな制服で人気だった「アンナミラーズ」。「これは30~40年前に買ったアップルパイのトレイ。お店のイニシャル入りで名前が同じという親近感もあってか捨てられず、今もナッツをローストしたりバット代わりに使っています」
美味しい時期に買ったショウガやニンニク、鷹の爪は、ジッパー袋に入れて冷凍保存。「にんにくは薄皮までむいて。ショウガは適量をカットして、凍ったまますり下ろせちゃうの。味も香りも落ちないのでおすすめです」
木べらやスプーンなど調理用のカトラリーは、しまい込まずに見せる収納を実践。「日本のボロ市が好きだった母が買った小さな火鉢を譲り受けました。眠らせておくのはもったいないと、カトラリーを入れたらちょうどよくて」
※ 本記事は『Then&Now』(扶桑社)からの抜粋です
〈撮影/須藤敬一 取材・文/向井真樹〉
結城アンナ(ゆうき・あんな)
1955年スウェーデン生まれ。夫は俳優・岩城滉一氏。著書やSNSで自らの心地よいライフスタイルやファッションを発信。そのシンプルで自然体な暮らし方は世代を超えて支持されている。自身の描くイラストにも注目され、2022年12月、初の個展を開催。雑誌やトークショーなど多方面で活躍中のポジティブエイジング。著書に「自分をいたわる暮らしごと」「Anna’s Cookbook/季節の食卓」(主婦と生活社)「北欧が教えてくれたシンプルな幸せの見つけ方」「アンナ流 大人の心地よい装い」(宝島社)
Instagram:@ayukihouse
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心と体がより健康になるために結城アンナさんがたどり着いた、オーガニックでちょっとSDGsな暮らし。
料理、ファッションはもちろん、家族のこと、愛犬の保護犬のことなど今の結城アンナを語る上で欠かせない思いが詰まった、美しい一冊です。
本人が描いた絵本も掲載されています。シニア世代に入ろうとする女性が少しでも生き生きと、素敵に暮らしてもらいたい、そんなアンナさんからのメッセージが詰まっています。