今年の夏は、娘を連れてアンパンマンの映画でも
夏休みにリゾート地に行ったりしている友人知人を見ていると、羨ましい気持ちになります。
こちらは予定を立てるのが遅すぎたのと、妊婦で子連れの旅行っていうのに怯えたのと、混んでいるところに行きたくないのと、なんか色々めんどくさい。というのが重なって、今年の夏はどこに行く予定もありません。
でも今さらですが、予定立てておけばよかったかなぁ。なんて思ったり、でも混んでるだろうしなぁ。なんてまた堂々巡りのことを考えている時に、ひらめきました。
むしろ都内の映画館って空いているんじゃないかしら?
みんなが遠出している中、穴場なのは映画館かもしれない。映画館は最高です。涼しいし、ポップコーン美味しいし、妊婦にも優しい。
というわけで、映画を立て続けに2本観てきました。1本目は宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」。お友達と一緒に観てきました。
一切宣伝を行わないというので話題になっていましたね。ならば! と私もネットの書き込みなど一切見ないで、前情報ゼロで観に行きました。感想を書くと、それこそネタバレになってしまいそうなので控えますが、観てよかった。と思いました。
タイトルにあるように、この世界で私たちはどう生きるのか? 子どもだからとか、大人だからとか、女だからとか、そういった制約をいったん取り払って、私は、私自身はこの世界で、どう生きようと思うのか、そんなことを帰り際考えずにはいられませんでした。
2本目は是枝裕和監督の「怪物」を観てきました。すごい映画でした。こちらも本当に観てよかったと思いました。
小学校が舞台で、そこに嫌な教師たちがこぞっていて、この人たちが怪物なんだ。と思って観ていたのですが、そんな話じゃありませんでした。
さまざまな登場人物の視点から、そこで起こった出来事を見ると、全然違うストーリーが浮かび上がってくるのです。
誰が怪物なのか、そもそも怪物ってなんなのか。辛くなりそうな展開なのに、丁寧に折り重なっていくシーンに重さはありません。
誰かに心情を寄せて、誰かを悪者にして、物語りを見がちな自分に気づかされました。
1つの出来事を本当に正しく見るって、とても難しい。それでも、重ねていく先にあるものに希望を見出したいと、そんなことを思いました。
と、こんなふうに遠出はできないけれど、豊かな経験を映画館でさせてもらいました。日常から少し離れて、そして自分からも少し離れて、いろんなことを考える機会に出会えるってのは、いいですね。
帰りにアイスを食べながら、ぼんやりと今観てきた映画の事を考える時間もよかったです。
次は娘を連れてアンパンマンの映画でも行ってみようかなと思っています。
白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。