(『天然生活』2020年8月号掲載)
買うときは「長く使えるか」を考える
ふだんは札幌で、「トロッコ一級建築士事務所」として、住宅や店舗の設計を手がけ、土日だけ「はかり売りとものさし トロッコ」として、食材や日用品の量り売り店を営んでいる、ふたり。店は、お客さんが買い物袋や容れ物を持参するスタイルです。
「モノをできるだけ長生きさせたいと思っているんです。たとえば新しく何かを買う場合は、環境への悪影響が懸念されるプラスチック製品は買わないし、ほかの人にもなるべく買ってほしくないと思っていますが、もしすでに家にあるなら、活用してほしい。いま捨てるのと、何年後かに捨てるのでは、処分という意味では同じですから。それならなるべく使ってあげたいなと」
ゆえに、新しく買うときは、どれぐらい長い期間つきあえるか、を深く考えるのだといいます。
「長くつきあえそうにないなら買わない。それは、耐久性や修繕の可否といった機能面だけではなく、成り立ちやつくり手の姿勢を含めて、長く愛せるかも大事です」
「トロッコ」の家で楽しむ工夫
食器用洗剤は使わない
![画像: 「トロッコ」の家で楽しむ工夫 食器用洗剤は使わない](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/bb0afd44956c9f6f432b3b4f3ba0ef0db0c7f557_xlarge.jpg)
「油がひどいときなどに石けんを少量使うことはありますが、ふだん食器を洗うのに、洗剤は使いません。お湯を流しながら『びわこふきん』でやさしくこすれば、大概はきれいになりますよ」
鉄のフライパンは亀の子たわしで、鍋は自作のヘチマたわしで。皿についた汚れ、といっても、元は食べ物。
いままで口にしていたものが、食べ終えたら“汚れ”に変わるのも、たしかに不思議な気がします。
![画像: ヘチマたわしは、収穫したヘチマを水の中に数週間放置し、果皮や実が腐って繊維だけになったものを取り出し、乾かせば完成](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/cd5c6b5c895a09d3df8d8bb15f9459f16823bf9e.jpg)
ヘチマたわしは、収穫したヘチマを水の中に数週間放置し、果皮や実が腐って繊維だけになったものを取り出し、乾かせば完成
![画像: 「びわこふきん」の汚れや着色が気になったら、重曹大さじ山盛り一杯ほどと一緒に煮洗いしている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/3b487aa4f5527682ead125e4d120ef8946f7f7fc_xlarge.jpg)
「びわこふきん」の汚れや着色が気になったら、重曹大さじ山盛り一杯ほどと一緒に煮洗いしている
「トロッコ」の家で楽しむ工夫
長く使う、直して使う
ふたりが新しく買うときに大事にしているのが、「長く使えるか」ということ。
服なら、ほころびを繕ったり、色あせや汚れが気になったら染め直したりして、長生きさせることは可能ですが、そのぐらい好きであるかが大事なポイントでも。
![画像: 「トロッコ」の家で楽しむ工夫 長く使う、直して使う](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/40e70c9a03ec98e7dd4908a7935c9d5d2027cffe.jpg)
毎日着るほど大好きな「えみおわす」の服は、下山さんは自分で当て布をして、阿部さんは作家さんご本人に直してもらい、大切に着つづけています。
![画像: 欠けやヒビ、塗り直しなど、修繕できる漆器もふたりの好きなもの。「ほかの作家さんのでも修繕してくれる方がいるので安心です」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/35bf5874495629027091401f40007d0f44127062.jpg)
欠けやヒビ、塗り直しなど、修繕できる漆器もふたりの好きなもの。「ほかの作家さんのでも修繕してくれる方がいるので安心です」
![画像: 元は真っ白だったチュニック。汚れが気になって藍染してもらったら、美しく蘇った](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/08/e3e7889b3bbb58f4b6bb4ba5ce1bcdb5a523b7cc.jpg)
元は真っ白だったチュニック。汚れが気になって藍染してもらったら、美しく蘇った
〈撮影/古瀬 桂 取材・文/遊馬里江〉
阿部慎平(あべ・しんぺい)・下山千絵(しもやま・ちえ)
ともに一級建築士。「ゼロウェイスト」をコンセプトに、札幌の「space1-15」にて、土日のみ「はかり売りとものさし トロッコ」を営む。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです