(新装版『へバーデン結節を自力で防ぐ』より)
家事のひと工夫で手指も精神的負担も軽減!
手指が痛く医療機関を受診すると、必ずといってよいほど「できるだけ手指を使わないように安静にしてください」と指導されます。
しかし、毎日家事や仕事に追われている私たちにとって、「動かさないようにしてください」は到底無理な話。
そこで、富永先生がおすすめするのが少しでも手指や手首に負担をかけない“生活の知恵”。
できないことを思い詰めて、ストレスや精神的苦痛を募らせてしまっては、痛みも増すばかり。家事などにちょっとした工夫を加えるだけで手指だけでなく、精神的な負担も軽くなるのです。
痛みを我慢してはいけません。人やものに頼ってもよいのです。
「ちょっとくらいラクしても大丈夫!」と何よりもまずは自分を許してあげることで、心豊かな生活を送りましょう。
冨永先生おすすめ、家事中の手指の悩みと解決法
【悩み①】包丁で野菜を切るのがつらい
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【解決法】カット野菜、冷凍野菜を使う
包丁を使って野菜を切るのは、手指が痛い人にとって何よりも苦痛。スーパーやコンビニで売っているカット野菜や冷凍野菜をうまく使いましょう。
カレー用や煮物用など、あらかじめ料理に合ったサイズのものが売られているので、活用してみて。
【悩み②】料理をするのがつらい
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【解決法】出来合いのお惣菜を活用する
![画像: 【悩み②】料理をするのがつらい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/21/f09527325166f20fdab2325b61a8e21267f76ded.jpg)
手指が痛くて今までできていた料理ができなくなってしまうことも……。
そんなときは、出来合いのお惣菜に頼ってもよいのです。頑張れない日があっても大丈夫。痛くても買い物に行った自分を褒めるくらいで。
【悩み③】包丁を使うのがとにかくつらい
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【解決法】ピーラーなどの道具を活用する
痛い手指を我慢して、千切りや細切りはつらいですよね。千切りキャベツやきんぴらごぼうもピーラーを使えば、簡単にできます。
つらいときは手を抜いてかまいません。料理の材料は包丁で切るものという思い込みをまずは払拭し、つらい工程は手抜きで乗り切りましょう。
【悩み④】缶切りで缶詰を開けるのがつらい
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【解決法】プルトップの缶詰を選ぶ
![画像: 【悩み④】缶切りで缶詰を開けるのがつらい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/21/1d0d54611bb99fb50ae9e7b268d5203c05a816f9.jpg)
缶切りを使って缶詰を開けるのは、手首への大きな負担になります。最近はプルトップ型の缶詰がたくさん市販されています。
購入時にそのタイプを選べばよいだけ。サバ缶は開けるだけで、おかずになります。
【悩み⑤】掃除機をかけるのがつらい
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【解決法】粘着式クリーナーでラクチンに
![画像: 【悩み⑤】掃除機をかけるのがつらい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/21/9c43596f868ab90ad1f9140ce9d2bea6eb1937dc.jpg)
掃除はとにかく使う器具を軽いものにすることが大切。そこでおすすめなのが、持ち運びに便利なスティック型の掃除機や、柄の長いタイプの粘着式クリーナーです。
部屋ごとに置いても邪魔にならず便利です。
【悩み⑥】シャンプーがつらい
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【解決法】シャンプーブラシを使う
![画像: 【悩み⑥】シャンプーがつらい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/21/3a4b7ebdbeafa18c4b1e4f6f554f8bbcee8646ac.jpg)
手指が痛くて、シャンプーがつらいという方が多くいます。
髪を洗わないわけにはいかないので、おすすめなのが頭皮の汚れがしっかり落とせる「シャンプーブラシ」。力をさほど入れなくても洗うことができます。
【悩み⑦】変形した手指を見るのがつらい
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【解決法】気分転換にネイルをしてみる
![画像: 【悩み⑦】変形した手指を見るのがつらい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/08/21/16f7124241c8501f8d3465d1a415f52805bc5e01.jpg)
手指の変形が進むと、指先を人目につかないように隠しがちになります。
自分の手指を見たときに悲しいと思うことを払拭するためにも、ネイルを。シールタイプもあるので、手軽に気分転換できます。
本記事は『へバーデン結節を自力で防ぐ』(扶桑社)からの抜粋です
富永喜代(とみなが・きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会認定麻酔科指導医、産業医。1993年より、聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務し、延べ2万人を超える臨床麻酔実績をもつ。2008年には、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業、へバーデン結節外来を開設。経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」を委託され、新しい痛み医療のリーダーとして注目される。著書に『こりトレ』(文藝春秋)、『指先の激痛・腫れ・しびれ へバーデン結節は自分で治せる!』(永岡書店)など。新装版『へバーデン結節を自力で防ぐ』(扶桑社)が2023年8月に発売。
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手指の第一関節にコブのようなものができていたり、曲がって戻らなくなってしまったり。これは「ヘバーデン結節」という手指の病気の症状。進行性の病気で、放置しておくとやがて少しの刺激でも激痛を引き起こし、およそ5年で指先の関節が変形して戻らなくなるといわれています。
更年期を過ぎた女性に多く見られるそんな症状に効く「10秒神経マッサージ」を、日本で初めて「ヘバーデン結節外来」を開設した富永ペインクリニック院長の富永喜代先生が伝授。そのほか痛みが起こるメカニズムから、「ヘバーデン結節」をはじめとする手指や手首が痛むさまざまな病気、自分でできる痛みの予防・改善法、痛いときに役立つ生活の知恵まで、痛みの原因を知り、痛みから解放される手助けとなる情報をまとめた1冊です。