• 仕事一筋に走り抜けてきたこれまでと、年を重ねたこれからの人生。自分らしく働きつづける「B・B・B POTTERS」ディレクターの石井風さんに、これまでの働き方とこれからの働き方について伺いました。
    (『天然生活』2023年3月号掲載)

    これからの私の働き方

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    社会に出てから夢中でかけ抜けてきた数十年。続けることと、手放すこと。新しい挑戦も始まりました。

    もともと体が丈夫で、無理が利くタイプだったという石井さん。ずっと走りつづけてきましたが、5年前に過労で、救急車で運ばれるという出来事がありました。

    「健康を過信してはいけませんね。いまはもう元気ですが、先輩方が『70歳の壁はさらに大変』と話すので、なおさらスタッフに仕事を手わたし、仕事のやり方も変えていかねばと思うようになりました」

    勤務時間を短縮し、休みもしっかり取るように。そんななかでも石井さんの挑戦は続きます。4年前に糸島で始めたゲストハウスもそのひとつ。まったくの未知の分野でしたが、手探りしながら、続ける方法を模索しています。

    「始めたからには続けることが大事。でもそのためには『やれること』『やれないこと』を冷静に判断しなくてはいけませんよね。受け入れることを受け入れ、常に希望をもちながら前を向く。いまはそんな日々を過ごしています」

    「宿泊業」という新しい挑戦

    画像: 宿に滞在しながら、北欧や欧米デザイナーによる名作家具の数々を体感できる。過度なおもてなしをしないぶん、波の音や鳥の声、草木の香りが楽しめる

    宿に滞在しながら、北欧や欧米デザイナーによる名作家具の数々を体感できる。過度なおもてなしをしないぶん、波の音や鳥の声、草木の香りが楽しめる

    雑貨の仕事を続けて40年、この分野では揺るぎない実績をもつ石井さん。しかしゲストハウスを営む宿泊業は、まったくの素人。思い描く確固としたイメージがあったため、未知の世界に飛び込み、いいスタートを切れたものの、はたしてこの先長く続けていけるのかどうか。

    「甘い世界ではないと思っているので、常に手探りです。この先10年、20年と続けていけるのか、見極めている日々です」

    自分の仕事を手わたしていく

    画像: ショップの販売員からMD(商品の展開や販売方法までを考える役職)となったスタッフたちとミーティング。これからの店の在り方を、じっくりと話し合う

    ショップの販売員からMD(商品の展開や販売方法までを考える役職)となったスタッフたちとミーティング。これからの店の在り方を、じっくりと話し合う

    福岡の街になくてはならない店となった「B・B・B POTTERS」。この先も長くこの地で続けていくために、少しずつスタッフに仕事を引きわたしていくように。

    「大変なこと、面白いこともひっくるめて伝えていく。いきなりは難しいので、一緒に仕事をしながら段階を経て任せていきます」

    “わかってくれるだろう”ではなく、きちんと言葉にして思いを伝える。その繰り返しを大切に思っているそう。

    これまでと、これからの時間割

    ●これまでの時間割

    07:00起床 朝食、洗濯など
    09:30出社。薬院のお店とオフィスの巡回、事務やMD的なこと。スタッフたちとミーティングなど。定期的に糸島のゲストハウスにも。土日はお休み
    21:00夕食のあと片づけ
    24:00就寝

    ●これからの理想の時間割

    07:00起床 朝食、洗濯など
    10:30出社。これまでと同様でも時間を短縮。土日や夜に糸島のゲストハウスに行くこともあるぶん、平日にお休みも
    17:00自由な時間
    19:30夕食のあと片づけ
    23:00就寝

    私の仕事の思い出アルバム

    ものとの出合い、人とのご縁で広がっていった石井さんの仕事。楽しみや喜びを多くの人と分かち合ってきました。

    23歳 倉庫で白い器のデッドストックを発見

    画像: おさげ髪が愛らしい20代の石井さん。ものづくりの会社にいたことで、多くのつくり手や商品を見る機会があり、その経験がその後の大きな財産となった

    おさげ髪が愛らしい20代の石井さん。ものづくりの会社にいたことで、多くのつくり手や商品を見る機会があり、その経験がその後の大きな財産となった

    大学卒業後、就職したのは日本有数の陶磁器の生産地、愛知県瀬戸市にある食器メーカー。

    ある日取引先から「使っていない器を引き取ってもらえないか」と、古い倉庫で眠る50~60年代に輸出用につくられたデッドストックの白い器を発見。

    古新聞に包まれた器を洗って真っ白に戻ると、生き生きと息を吹き返しました。白い器の魅力に改めて感じ入ったエピソードとして心に強く残っているそう。

    34歳 「B・B・B POTTERS」をオープン

    画像: ショップの始まりは、35坪の小さな路面店。洋書や洋雑誌を眺めては温めていたイメージを参考に、ディスプレイを工夫しながら商品の魅力を伝えていった

    ショップの始まりは、35坪の小さな路面店。洋書や洋雑誌を眺めては温めていたイメージを参考に、ディスプレイを工夫しながら商品の魅力を伝えていった

    福岡に移住し、雑貨の卸業を営みながら開店資金をため、1991年についに長年の夢だった生活道具店をスタート。

    にぎやかな繁華街から少し離れた静かな通りで、この店に来たいと思ってくれる人がゆっくりと買い物を楽しめるような場所を選びました。

    店のスタイルを理解してもらうには少し時間がかかったものの、確実にリピーターが増え、口コミなどで少しずつお客さまが増えていったそう。

    55歳 薬院に「BBB&」をオープン

    画像: 白い器類はもちろん、「ストウブ」の鍋や「バルミューダ」の調理器具、「ロミユニ・コンフィチュール」のジャムのイベントなども行う

    白い器類はもちろん、「ストウブ」の鍋や「バルミューダ」の調理器具、「ロミユニ・コンフィチュール」のジャムのイベントなども行う

    2013年に「B・B・B POTTERS」の隣のビルに、食器と道具の専門店「BBB&」を開店。

    多くのお客さまを迎え間口が広くなった「BBB」に対し、業務用の食器や調理道具を中心に厳選した食品類や本なども並べ、より奥行きのある品ぞろえに。

    「これぞ」と決めた器やグラスは、サイズ違いのすべてを扱うようにしており、個人客はもちろん、飲食店を営む人からも大きな支持を得るように。

    61歳 糸島に「bbb haus」をオープン

    画像: 元はとある企業の保養所だった場所を、より海の眺めを楽しめるようにリノベーション。レストランでは地元の食材をふんだんに使ったコースが楽しめる

    元はとある企業の保養所だった場所を、より海の眺めを楽しめるようにリノベーション。レストランでは地元の食材をふんだんに使ったコースが楽しめる

    「いままで自分たちが扱ってきた商品を、暮らすようにしながら実際に使える場所を」という思いから、2018年に糸島市にゲストハウスをスタート。

    ショップ、カフェ、レストランを併設したわずか5室のみのゲストハウスは、海を眺めながら日常を離れ、ゆったりとした時間を過ごせるのが魅力。

    菓子研究家・福田里香さんとつくったお菓子やオリジナルのタオル、カップなどお土産も話題に。



    <撮影/渡邉英守 取材・文/宮下亜紀 構成/鈴木理恵>

    石井風子(いしい・ふうこ)
    美術大学卒業後、愛知県瀬戸市の器メーカーに就職。同社で知り合った夫とともに福岡に移住しウィークスを設立、1991年福岡市に「B・B・B POTTERS」をオープン。暮らしを支えるシンプルで飽きのこないテーブルウエアやキッチンウエア、インテリア雑貨などを紹介しつづけている。https://www.bbbpotters.com/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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