• 生地はこねずに混ぜるだけ、発酵は冷蔵庫まかせでひと晩おくだけ。手間いらずでつくれる、「高加水&湯種」のもちもちパンを提案するパン研究家・池田愛実さんに、バットで焼く「プレーンちぎりパン」のつくり方を教えていただきました。生地を小さく丸め、お行儀よくバットに並べて焼いたかわいいパン。ひと切れずつちぎって、気軽にパクパク食べられるのも楽しいです。
    (『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』より)

    「高加水&湯種」のもちもちベーカリー4つのポイント

     こねなくてOK

    粉と水分は、混ぜて20分以上おくだけでも水和(粉のたんぱく質と水が結びつくこと)し、グルテンが形成されます。私はさらに途中で1回生地を折りたたむことで(=「パンチ」)、グルテンを強化しています。これでこねなくても、生地はふっくらとふくらみ、見た目もなめらかなパンをつくることができます。

     高加水でもちもち

    水分量が約80%と多いので、焼き上がりはしっとり、もちもち。高加水の生地はベタついて扱いにくい傾向がありますが、湯種(粉を熱湯で手早く混ぜ、粗熱をとったもの)をつくることでそれを緩和。通常、湯種はひと晩休ませて使いますが、今回はその簡易版です。湯種の生地はのびにくいので、成形する時は無理せず、破れないように気をつけてください。

     発酵は冷蔵庫でゆっくりと

    生地には少なめのイーストを加え、冷蔵庫の野菜室で一次発酵を。ひと晩かけてじっくり低温長時間発酵させることで、粉のうまみがしっかり引き出されます。野菜室の温度は3~8℃で、冷蔵室(2~5℃)よりも少し高め。イーストが少なめのパン生地をゆっくり発酵させるには、最適な温度です。これで、毎日食べても飽きないほど風味豊かなパンが焼き上がります。

     好きな時に焼けます

    生地は野菜室でゆっくり発酵させるので、発酵が急速にすすむことはなく、2日くらい入れたままでOK。翌日時間がなければ、翌々日に焼いても大丈夫。時間に融通がきくので、自分のタイミングでパンを焼くことができます。一日がかりでつくるパンと違い、「生地づくりから一次発酵」「一次発酵後から焼成」と2日に分けられ、タイムスケジュールが組みやすいのもうれしいです。

    プレーンちぎりパンのつくり方

    画像: プレーンちぎりパンのつくり方

    整列したプチサイズの12個のパンが、とびきりかわいい表情です。

    はちみつの保水効果で、よりしっとり、もっちりとした食感になり、牛乳とバターが入ったリッチな生地だから、そのまま食べてもおいしい。

    丸めるのが手間なら、2×3 列の6分割にしても同じ焼き時間でつくれます。

    バットで焼くことで横と底からは直火があたらず、焼き上がりはしっとり。粉の量が多いので、ボウルはひと回り大きい直径21cmのものを使います。

    画像: バットで焼く「プレーンちぎりパン」のつくり方|こねずにつくれるもちもちベーカリーパン/パン研究家・池田愛実さん

    バットはキャビネサイズ(20.5×16×深さ3cm)のホーロー製のものを使用。近い大きさのものなら、オーブン使用可能なステンレス製でもOK。

    材料(20.5×16×深さ3cmのバット1枚分)

    ● A
    ・強力粉160g
    ・はちみつ(または砂糖)15g
    ・塩4g
    〈湯種〉
    ・薄力粉40g
    ・熱湯80g
    ● B
    ・ドライイースト小さじ2/3(2g)
    ・牛乳50g
    ・水40g*
    ・バター(食塩不使用)10g
    ● ツヤ出し用の牛乳適量

    *夏は冷蔵庫で冷やし、冬は30℃(ぬるま湯くらい)に温めて。

    下準備

    ・ ボウル(直径21cm)に湯種の材料を順に入れ、ゴムベラで手早く30秒混ぜ、10分以上おいて粗熱をとる。

    ・ バターは電子レンジで40秒加熱して溶かし、粗熱をとる。

    つくり方

    1 生地づくり

    湯種のボウルにBを量り入れ、泡立て器で大きなかたまりがなくなるまで混ぜ、Aを量り入れ、ゴムベラで均一になるまで2分混ぜる。

    画像1: つくり方

    休ませる(30分)

    ラップをかけ、室温で30分休ませる。

    画像2: つくり方

    パンチ→休ませる(20分)

    水でぬらした手で、ボウルのまわりから生地をはがし、中心に向かって折りたたむのを1周半くり返す(パンチ)。生地を裏返し、ラップをかけて室温で20分休ませる。

    画像3: つくり方

    2 一次発酵

    生地のふちにテープなどで印をつけ、冷蔵庫の野菜室でひと晩(6時間)~最長2日発酵させる。生地の高さが2倍以上になればOK。

    *2倍になっていなければ、室温で2倍以上になるまで待つ。

    画像4: つくり方

    3 分割&丸め

    生地の表面に打ち粉(強力粉・分量外)をふり、カードを1周差し込んではがし、ボウルを返して取り出す。カードで12分割する。

    *1個あたり約32g

    画像5: つくり方

    手に打ち粉をつけ、手で押して平らにして中の空気を抜き、表面を張らせるようにして丸め、底はつまんで軽くとじる。

    画像6: つくり方

    4 ベンチタイム

    台にのせ、乾いたふきんをかぶせ、室温で10分休ませる。

    画像7: つくり方

    5 成形

    打ち粉をふり、生地の表面を張らせるようにして丸め直し、底はつまんでしっかりとじる。

    画像8: つくり方

    6 二次発酵

    オーブンシートを敷いたバットにとじ目を下にして3×4列に並べ、天板にのせ、オーブンの発酵機能35℃で60分発酵させる(*または乾いたふきんをかけ、室温でひと回り大きくなるまで発酵させる)。ひと回り大きくなればOK。オーブンを180℃に温める。

    画像9: つくり方

    7 焼く

    表面に牛乳をはけで塗り、180℃のオーブンでこんがり焼き色がつくまで18分ほど焼く。粗熱がとれたら、バットから出して冷ます。

    画像10: つくり方

    本記事は『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』(主婦と生活社)からの抜粋です


    〈撮影/衛藤キヨコ スタイリング/駒井京子〉

    画像11: つくり方

    池田愛実(いけだ・まなみ)

    1988年、神奈川県藤沢市生まれ。2児の母。 大学在学中にル・コルドン・ブルー東京校パン科に通いはじめ、卒業後は同校のアシスタントを務める。26歳の時に渡仏し、現地のM.O.F.(フランス国家最優秀職人賞)のブーランジェリー2軒で経験を積み、帰国後は都内レストランのパンのレシピ監修・製造・販売に携わる。2017年から地元・湘南でフランスパンと暮らす教室「crumb-クラム」を主宰。最新著書に『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』(主婦と生活社)。
    webサイト:https://www.ikeda-manami.com/
    インスタグラム:@crumb.pain

    ◇ ◇ ◇

    『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』(主婦と生活社)|amazon.co.jp

    『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』(主婦と生活社)

    『こねずに作れるもちもちベーカリーパン』(主婦と生活社)|amazon.co.jp

    amazonで見る

    生地はこねずに、ただぐるぐる混ぜるだけ。発酵は、冷蔵庫の野菜室にひと晩入れればOKと手間いらず。なのにベーカリーのように最高においしいパンがつくれるようになる、大人気パン研究家・池田愛実さんのミラクルレシピがぎっしり詰まった一冊。

    今回の第2弾で紹介するのは大人気の“高加水”もちもちパン。粉の一部を熱湯で練る「湯種」を作ることで、手軽に、失敗なく、水分をたくさん含んだしっとりもちもちのパンがバラエティ豊かにつくれるようになります。



    This article is a sponsored article by
    ''.