• 行き場のない猫たちを、新しい家族が見つかるまでの間自宅でお世話をする「猫の預かりボランティア」。小禄広海さんは、鎌倉と逗子の境にあるちいさな港町でお菓子づくりをする傍ら、保護猫活動の一環として「猫の預かりボランティア」を行っています。現在、共に暮らしているのは、“預かりっ子”と呼んでいる4匹の子猫たち。そんな広海さんと“預かりっ子”たちの日常をつづった「ねこおば日記」をお届けします。

    預かりっ子ハチのお話

    初めまして。猫の個人ボランティアをしている広海といいます。仕事はお菓子作りで、猫と暮らしながら預かりボランティアもしています。

    いま預かっているのは4匹の子猫たち。2匹はメスの姉妹、もう2匹はオスで、こちらは血のつながりがありません。これから数ヶ月、そんな猫を中心としたお話をしていきたいと思います。

    画像: 預かりっ子ハチのお話

    まず何を話したらいいかな、と考えましたが、今、起きていることにします。

    1週間以上前、預かりっ子のハチが朝から吐いて食欲もなさそう。でも、そこまでしんどそうではなかったので初日は様子を見ることに。

    やっぱり食べてくれないので、次の日から夫が近所の主治医に連れて行くこと数日。波はあるものの、よくならない。

    血液検査は異常なし。最初から誤飲を疑っていたので、エコーもレントゲンも撮る。そうこうして3日目、胃に初めて影が写る

    実は具合の悪くなる前に、いただきもののよくあるネズミのおもちゃを出したままにしてしまっていて、心配で調べたらこのネズミのおもちゃはやはり危険だったようで……。私の頭の中はネズミでいっぱいになる。

    ちなみにうちにあったのは、釣竿みたいなものに紐で6匹くらいの小さなネズミが連なったもの。

    ネズミが1匹、紐から外れた状態で床に落ちていて、危ないからと拾ってポケットに入れたまでは憶えているのに、ゴミ箱に捨てた記憶がなくて(うちは猫の入れない場所にゴミ箱があるのですぐに捨てられなかった)、私が寝てる間にポケットから取り出したんじゃないか、それで食べたんじゃないかと思った。

    悪化していくハチの具合......

    4日目、病院に行ってやはりネズミかもと伝えるが、お腹を開けるという事は一大事だから、もう少し様子見することにしましょうと、点滴や吐き気どめなどの注射をしてもらう。

    しかし、家に帰って最初は他の子達と一緒に寝ていたものの、徐々に具合が悪そうになる

    そして夜中、数回吐いたあと、苦しそうに舌が出て意識が遠のいていくのがわかった。肉球もピンクから紫がかった色に変わっている。

    画像: 悪化していくハチの具合......

    わ、わ、わ……! となり、抱きかかえたまま夫の眠る部屋に向かうと、びっくりしたのかハチの意識が戻る。 ハチは私以外の人間が苦手なのだ。夫は今回けっこうハチを介抱していたのに嫌がられるとか、いかにも猫らしく、あの時は必死だったけど、いま思い出すと可笑しい。

    なんてことはさておき、夜中2時近くなのに主治医の先生に電話。この10年、夜中に電話する相手なんて猫の主治医しかいない。

    しかし、不運な事に前日に麻酔器具を修理に出していて開腹手術が出来ないため、手術する病院を朝一で保護主と決めるように言われる。

    とりあえずハチには朝までうちにある酸素室に入ってもらい、保護主の美樹さんに連絡。手術出来そうな病院を決め、友人に車を出してもらい午前中に病院へ向かう

    ところが、ここでもまた運の悪いことに手術できる先生が不在で明日また来てと言われる。ハチも緊張があり、朝までの様子と違い、一見復活している。

    レントゲンの結果、異物が姿を現す!

    午後、今度は主治医のところへ。また夜に急変が怖いので入院して先生に診てもらいつつ、バリウムを飲ませてレントゲンを撮ってもらった。

    すると、今まではっきり映らなかった異物が姿を現す。胃の下の方に何かある、バリウムがそれより先に進まないので吸着する物ではないか、と先生とやり取りをする。

    朝になり、ハチを主治医のところからピックアップして手術する病院へ向かう。するとその日は体調を整え、手術は次の日になると言われる。

    こちらとしては1時間でも早くやって欲しいところだけれど、ハチの命を託して病院をあとにした。

    手術を終えたハチのお見舞いへ

    次の日、無事に手術が終わったと連絡があり、やっとほっとする。お見舞いに行くと、ステンレス製のケージの中で壁を向いて怯えたハチがいた。私に気づくと鳴いて切ない。

    入院は1週間くらいと言われる。

    画像1: 手術を終えたハチのお見舞いへ
    画像2: 手術を終えたハチのお見舞いへ

    また2日後に皆の匂いがする物を持ってお見舞いに行くと、今度は前を向いていて、目力も前回よりある。

    私と夫を見ると、大声で鳴く。私たちがいないと全く鳴かないと言われる。

    画像3: 手術を終えたハチのお見舞いへ
    画像4: 手術を終えたハチのお見舞いへ

    そこで、もう少し早く退院できないかと提案。予定より数日早く、明日朝一に問題がなさそうならお迎えに行く予定。

    ハチ、待っててね。

    そういえば異物はなんだったのか書いてないですね。次回お話します。



    画像5: 手術を終えたハチのお見舞いへ

    小禄広海(おろく・ひろみ)
    幼少の頃からお菓子作りが好きで、Bakeromi(ベカロミ)という名前で活動中。現在は鎌倉、材木座にあるカフェに毎日お菓子を納める傍ら、猫の預かりボランティアを中心に保護活動もする、バタバタな毎日。来世はやはり家猫になりたい。
    インスタグラム@catladyorock@bakeromi



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